「で、結局一緒にいた美人は何だったんだ?」
「・・・妹だって」
「ベタな展開だなぁ」

放課後。
ハルカに約束のケーキセットを奢ってもらいつつ、昨日の顛末を話していった。
お試し期間云々の話になると、ハルカが感心したような呆れたような目でこっちを見てくる。何だその目。

「それはまた、大きく出たな」
「何よ」
「お前誘惑って何か分かってんのか? 誘って惑わせるんだぞ? お前のどこにそんな要素があるんだよ。色気もないし胸もな・・・だっ!!」
「うっさい! セクハラ男! だいたい、あたしは“色仕掛け”なんて言ってない!」
「誘惑っつったら普通そうなんだよ、ガキ」

心の底から馬鹿にされ、ハルカは更なる暴言を吐いた。

「まあ、24の男が高校生程度の、ましてや見た目中学生精神年齢それ以下のお前ごときにそんなもん感じるわけないけどな」
「すいませーん。ショートケーキとプリンアラモードとアイスカフェオレ追加でくださーい」
「お前っどんだけ食うんだよ!」
「ハルカが失礼なコトばっかぬかすせいで傷ついたあたしの繊細な心の慰謝料分!」
「ただでさえ幼児体型なのにそれ以上腹ふくらませてどうするんだ」
「セクハラ! 最低だ――っ!!」
「それしか言えんのか。語彙の少ない脳みそだな。知ってたけど」
「ごい・・・?」

って何?
首を傾げるあたしに、ハルカがはっと嫌味な笑みを浮かべた。
ちょっと頭いいからって、馬鹿にすんな!!

「バーカ」
「バカっていう方がバカ!」
「じゃ、帰ろ」
「え?」
「バカに相談することなんか何もないだろ?」
「性悪!!」
「どうも」
「・・・・・・っ!!」

くーやーしーっ!!
何だ、あの憎ったらしい顔!!

いつか絶対ぎゃふんと言わせてやるんだから!!





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