第41話 強敵、現る?



「俺は絶対認めないからな!!」

一難差ってまた一難?

またもや問題発生。

・・・もう。何でこんなことに。



***



あたしは久しぶりに篤ちゃんと会っていた。
篤ちゃんはパパの弟で、あたしの叔父さん。
篤ちゃんはあちこち飛び回ってるから、ほんとに会うの久しぶりだ。少なくとも母さんが再婚してからは会ってない。

「新しい生活は慣れたのか?」
「うん。あたしずっと一人っ子だったから。」

あたしにとってはすっかり慣れた生活だけど、篤ちゃんにとっては新生活なんだなぁなどと考えつつ答えると、篤ちゃんが訝しそうな表情をした。
兄弟いなかったし、とかそういうことが言いたかったんだけど分かりにくかったかな?

「兄がいるのって新鮮だな、と。」

新鮮っていうのも何か違う気がするけど、適当な言葉が思い浮かばない。

「・・・兄?」
「え? うん。」
「向こうにも、子供がいるのか?」
「そうだよ? え、知らなかったの?」
「だってお前、今三人暮らしなんじゃないのか?」
「まあ、ほとんどそうだね。」
「その三人ってのは・・・」
「あたしと、兄二人――― 一哉と悠都さんだけど?」

黙っちゃった。

もともとおしゃべりな方ではないけど(母さんとの軽口は別として)こんな風に言葉を失くす篤ちゃんっていうのも珍しい。
と思った次の瞬間、きっと顔をあげて、あたしの肩を掴んで捲し立てた。

「お前まだ16だろ? その年で男と同棲なんてしてんじゃねぇよ!」
「あたしのせい?! ていうか、同棲じゃなくて同居だもん! 人聞きの悪いこと言わないで! それに、家族なんだから別に普通じゃない。」
「そりゃ両親が一緒にいればな。大体、高校生にもなって家族なんて割り切って考えられるか。どんだけお子様なんだお前! つーか、お前がそんなだから余計心配なんだよ!」
「何でもそんな風に考える方が不純なの!!」
「考えない方がかえって不健全だ!!」
「そんなんじゃないもん!!」

そりゃあ、あたしも最初は何て非常識な。と思ったし、その時に言われてたら賛成してたかもしれないけど。
でも、そんなことは今は放っておく。
だって、篤ちゃんの言葉、すっごい失礼なんだもん。

が、ふと思う。

確かに、篤ちゃんが疑ってるような問題はないんだけども。

あたし、告白されてるんだよね。
抱きしめられたりとか、したこともあるし。



・・・これって、バレたらまずいかな。



「まずいでしょうね。ていうか、バレちゃったんだ。」
「バレちゃった、じゃない! 篤ちゃん怒ってたじゃない! 最初からちゃんと説明しといてくれれば良かったのに!!」

宥めつすかしつ、半ば無理矢理、何とか落ち着かせた篤ちゃんと別れた後で、母さんのところに殴りこみに来た。

「言ったわよ? これからは三人いるし、真衣も淋しくないわねぇって。」
「そんな紛らわしい言い方しないでよ・・・」
「幸せになれよとかってかっこつけて、野暮な事は聞かないとか言って詳しく話を聞こうとしなかった向こうが悪いのよ。聞かれてもないことべらべら喋るのも変じゃない。」

絶対嘘だ。
誤解するように話したに決まってる。

母さんと篤ちゃんは仲が悪い。
何故って、篤ちゃんブラコンだから。
おまけに、母さんが見せ付けるようなことするから更に悪い。
要は、パパを巡って仲が悪くなったらしい。
傍から見ると、仲良く見えるんだけどそれ言うと篤ちゃん本気で嫌がるんだよね。
それに篤ちゃん根が真面目だから、人をからかって陥れることを生きがいとするような性格の母さんとはどうあっても気があわないんだろうなぁ。

あたしは可愛がってもらってるんだけどね。
昔から「父親には似ても、母親には似るなよ。」って真剣な表情で言われたっけなぁ。

「ちょっと前にあんたが倒れたとか言ったら即連れてこうとするわね。」

だよねぇ。

いい人なんだけど、猪突猛進っていうか人のいう事聞かないんだよね・・・


・・・気をつけよっと。




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