Exaktaの歴史

―緒言―

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 最近、クラシックカメラへの関心が高まっています。その中にあってエキザクタは、ライカなどに較べればマイナーな存在と云えます。今の眼から見れば、エキザクタは奇異で、使い辛く不恰好に見えるかも知れません。そして、よく壊れるという話も聞きます。

 まず、基本的に35ミリフイルムを使うエキザクタは壊れないカメラです。壊れるところが無いのです。そして、機構を理解すれば使いにくくありません。エキザクタの使いにくさを象徴する有名な左巻き上げのシャッターは、設計者が左利きだったから・・・という話も聞きますが、これはウソです。その証拠は、1950年頃にアメリカで出版された『EXAKTA PHOTOGRAPHIE』という本の中にある1枚の写真で見ることができます。見て判るように、Exaktaは顕微鏡撮影など、レンズを下にしてカメラを垂直にセットした状態で便利なように巻き上げレバーが通常とは逆に取り付けられたのです。その使い勝手は、ウエストレベル・フアインダー(上から覗き込む)使用を中心に考えられていました。

 何故なら、Exaktaが生まれた1930年代、まだペンタプリズムフアインダーは発明されていませんでした。エキザクタが誕生した時代、エキザクタは唯一の小型一眼レフでした。医学、天文、科学実験の方面からの需要が大変高いカメラでした。一風変ったスローシャッター装置も、あの12秒の長時間露光とか、普通の撮影では考えられないようなシャッター速度設定は、その為なのです。

 エキザクタは、現在の一眼レフの元祖となった歴史的な意義の大変に高いカメラです。そして、EXAKTA(精密な、厳密なという意味)という名は、科学機器としてのカメラにいかにも、ふさわしい名です。エキザクタを知る為の専門書は多くはありませんが、ここに推薦書を紹介します。


EXAKTA CAMERAS 1933〜78
by CLEMENT AGUILA and MICHEL ROUAH/HOVE FOTO BOOKS England 1987

東ドイツカメラの全貌
リヒャルト・フンメル著 リチャード・クー 村山昇作共編 朝日ソノラマ 1988年

カメラレビュー15号〜レンズ
「東ドイツカメラの歴史・前編」竹田正一郎著 朝日ソノラマ 1990年

カメラレビュー61号〜キネエキザクタから始まるクラシック一眼レフ
「エキザクタとその分類」吉田稔著 朝日ソノラマ 2001年

カメラレビュー65号〜F1とF2の時代
「戦前型・戦後型のエキザクタ66」吉田稔著 朝日ソノラマ 2002年

カメラレビュー66号〜20世紀のカメラ50選
「ベスト・エキザクタ〜小型一眼レフのさきがけ」吉田稔著 朝日ソノラマ2003年

 この6冊があれば、ほぼ完全なエキザクタの通史が判るようになりました。最後に挙げた吉田稔さん著述の3冊はお薦めです。日本語でかかれた最新のエキザクタの通史とでも云うもので、1つの到達点でしょう。これは、ひとえに友人である吉田稔さんの、ここ数年における努力の結晶であると思っています。改めて、吉田さんに敬意を払いたく思います。



◆第一部
  近代的一眼レフの定義と歴史的考察
◆第二部
  現代的1眼レフ成立への過程〜前編
 
現代的1眼レフ成立への過程〜後編