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オークランド〜東京(2) -- ダブルレインボウ


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赤道付近には赤道無風地帯と言ってまったく風のふかないところがあります。
凪の鏡のような海面の海。
赤道付近の海と言うとこの海を思い出すほどです。
ここを抜けると、貿易風帯。
大航海時代にはこの風を利用して船乗りたちが世界を広げていきました。

このあたりで、シャワーにあいました。
無茶苦茶すごい雨をよくスコールという人がいますが、スコールには風がというか風の変化が必要です。
バケツをひっくり返したような雨でも風がなければ、または風の変化がなければシャワーとなります。

そして、ころっと晴れて、ギンギンとする日差し。
この航海では一度素晴らしい虹を見たと言う話しをしましたが、ここでも珍しい虹を見ました。
二重虹。
ダブルレインボウといえば、第一の虹が水蒸気の反射ででき、その水蒸気を突き抜けた光が、次の水蒸気による反射で第二の虹を作ります。(どうも変な表現でスミマセン。)
したがって、第二の虹は水蒸気を突き抜ける時と反射する時の二回スペクトル分解されるので、あまり鮮明には見えないのが通常のようです。また、同じように光の反射でできているため、色の並びは変わりません。

しかし、この時の虹は、ダブルレインボウ。しかも、鮮明。色が逆。
どうも、第二の虹は雲に反射してできているものらしい。(**1)
日差しがあまりにも強烈なためにできたのだろうと教官は言っていました。

さてこの頃、星雲丸はグアム島に向かためにカロリン諸島を航行していました。
ここには第二次世界大戦当時の輸送船が、浮いているような格好で座礁していることで有名なところです。
それを聞くまでは向こうから船が来ていると思うほど自然な格好です。
日本なら危険だといって取り除くところでしょうが、ここらあたりは浅瀬が多く、座礁船が灯台の代わりになり、そこに浅瀬があることを知らせているという理由か、そのままの状態になっているそうです。

なんとも無気味なこの海域を抜け、青雲丸はグアム島に向かいます。


(**1)
この虹は専門的には「副虹」であったと思われます。
雲に反射したというのはウソで、水滴に2回反射してできる虹なので、色の並びは逆になります。
詳細は「機船の話し・長期実習編 >> 虹に関する補足説明」をご覧ください。

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