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| ピレネーハイキング 花・滝・奇岩…… | ||||
![]() 遠景の山は Monte Perdido |
今日はハイキングではなく、アインサ、ボイ渓谷を経て、そしてアルティエスまでのバス移動である。
水の美しい川で、それもあって、景観も美しい。
車窓の景観を見ていて、ふと、普通でないものに気付いた。異様な感じのものがある。ポツンと、廃家があるのだ。
嘗てそこには住んでいる人がいて、例えば家が古くなったので他の家に引っ越したが前の家はそのまま放置した、というような、言わば、普通の感じではない。ある時突然、何かが起きて、そこに住んでいる人が突然いなくなった、というような異様な感じ。家の壊れかたがそれを想像させるのだ。 廃家はそんなに多くない。2.3軒だったが。
そして、ついに、村全体がそういう感じのところがあった。
この村全体が、突然襲われたのだ、ある悲劇に。間違いなく、それは悲劇だ。この家の壊れ方は、絶対に、幸運が訪れたのではない。襲ったのは”悲劇”だ。
ぶれているが、走るバスからやっと撮れた写真
確か、現地ガイドからも聞いたのだと思う。
1930年、スペインで軍事クーデターが起き、フランコ将軍を中心とする反乱軍と共和国派との内戦となった。フランコ派をファシズム陣営のドイツ・イタリアが支持・直接参戦。一方、共和国派には義勇軍として数多くの欧米市民知識人らも参加。スペイン国内で激しい戦闘が起きたが、フランコ派の反乱軍が勝利、フランコ将軍によるファシスト体制が独裁権力を築き、それは、1975年のフランコ将軍の死まで続いた。
義勇軍に参加したアーネスト・ヘミングウェイはその体験から名作『誰がために鐘は鳴る』を書き、ピカソは名画『ゲルニカ』を描いた。あの村で起きたことは、『ゲルニカ』と同様のことだったかも知れない。
それにしても、90年近く前に廃家となったものが今でもそのまま残っているのは、ただ放置されているからだけだろうか?
バスは更に進む。川に沿って、すごい景観になった。
山全体が縦線で割れたようになって、独特の景観を造っている。
これらも、奇岩というのでしょうねえ。
9時半頃にはアインサに着いた。ホテル出発が8時半頃なので、1時間ほどで着いたことになる。
アインサはヨーロッパの中世中期13世紀頃、アラゴン王国の都だった。
中世期のものとはいえ本当に中世期の雰囲気を残しているところはヨーロッパでも少ないが、ここは珍しく、当時の雰囲気がかなり残っている。
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↓城壁で囲まれていたことが分かる
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広い草原や水の美しいアラ川に囲まれた、景観も美しい場所にある。 数日間滞在したいような街だ。しかし、今はまだ朝9時台、街中には街の人は誰もいない。ここの昼間は、別の活気があるだろうな。
店やレストランが開きかけた頃に、私達はアインサを出発。パックツアーだからしょうがない。次はボイ渓谷へ。
ボイ渓谷までの景観もなかなかのものだった。
水がきれい。
川の水の色が緑がかっているのは、氷河から流れてきた川かな?
ここも、岩が、今もなお変化している途中であるかのよう。
あと何十年(何百年?)か経てば、
カッパドキアみたいになるのかな。
ボイ渓谷には昼頃着いた。
サン・クレメンテ教会で当初にあった壁画を再現して見せるプロジェクションマッピングが12時15分から始まるというので、その時間直前に教会に到着、セーフ。
サン・クレメンテ教会のこの建物は12世紀位に建ったもので、石造りの趣のあるもの。その当時、この地域は銀の生産で栄えていたそうだ。
サンタ・マリア教会も見に行って、そこの高い塔に登ってボイ渓谷の景観を眺め、
そして、レストランで昼食。
アラン渓谷の中心ともいえるビエラに着いたのは午後4時頃。
黒い三角の屋根で石造りの家がずらりと並んでいるのは、正直言って、驚くほど美しい。このような山地で、家並みの美しさに驚くのは珍しい。
アラン渓谷の観光の中心はビエラにあるそうで、ここはリゾート地としても有名だそうだ。
ここビエラを通り抜けて10分ほどバスで走ると、今夜の宿のパラドールがあるアルティエスだ。
6月20日 アラン渓谷ハイキング トゥールーズへ
今日は午前中、アラン渓谷の山の麓をハイキング、そして、午後は帰国のためにトゥールーズに移動する。
今日がこのツアーの最後のハイキングになる。
朝9時頃バスで出発。9時半頃には、ちょっとした展望台に到着。
アネト山が見える。ピレネーの最高峰。
氷河も見えた。
とにかく、今日も好天気で良かった。
アラン渓谷はフランスとスペインの国境近くにあり、ここの言語アラン語はスペイン語やカタルーニャ語とともにこの地域の公用語になっているそうだ。
地域によって公用語が違うとは、日本とは政治体制がちょっと違うんですね。
この草原は牛の放牧地なのだが、
とにかく広〜い草原。
草原には細い小川、いや、小川というにも細すぎる、ただのせせらぎと言っていいような水の流れがある。
このせせらぎ、片や地中海へ、片や大西洋への流れとなる分水嶺なのだそうだ。
この広〜い草原に立ってこの事実を聞くと「ほ〜、そうなのか」と、特別な意味もなく、思ってしまう。
ハイキングルートとしては凹凸が少なく、そしてどこまでも同じように続く道。大きな変化はないが、しかし、草原の中を、花を見ながら散策をするように歩く、いいところです。
sisymbrium Officinal![]() |
アチノス・アルピヌス![]() |
ベルバスクム・リクニティス![]() |
フトキンシア・アルピナ![]() |
プラサンテラ・クロランタ![]() |
ゲイティアナ・ルテア![]() |
11時半頃には今日の目的地(放牧小屋)に着き、そこで折り返し。これまでの道をそのまま戻る。
草原に座ってピクニックランチを食べた。
宿のパラドールに戻り、私達のスーツケース等をバスに積み込んで、13時半頃、バスはトゥールーズへ向けて出発。
14時20分には国境を越えて、スペインからフランスへ入る。
宿泊ホテルに入る前に、ショッピングセンターに入って、お土産等を買った。
翌日6月21日、トゥールーズから帰国便に乗る。アムステルダムで乗換え、日本へ。翌日8時半頃、大阪着。
今回も素晴らしい旅だった。天気も私達を応援してくれた。それにしても、私の日頃の行いがいかに素晴らしいかが証明されたわけでもあります、ですね。
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