eoさんの旅ノート
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ピレネーハイキング    花・滝・奇岩…… 
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ピック・ド・ミディ  ルルド

 2017年初夏6月、ピレネーのハイキングに行った。
 ピレネーは、フランスとスペインにまたがる、東西方向の長さほぼ430kmの山脈。スイスと同様に美しいところで、旅行業界では「スイスの次はピレネーへ」と旅行客を募っているようで、私達もミーハーよろしく「スイスの次はピレネーへ」と、ピレネーに向かったというわけだ。

 しかし、行ってみて驚いた。「スイスの次はピレネー」のコトバは間違いだった。ピレネーは、スイスとはまるで違うのだ。
 例えば、スイスの風景とアジアの風景とはまるで違うし、スイスの風景とアフリカの風景とも、まるで違うが、どちらの方がいい、というような問題ではない。それと同じような意味で、スイスとピレネーとはまるで違っているし、ピレネーはスイスの次にあるというものでは、絶対ない。スイスとピレネーとの間に順番などない。ピレネーとスイスとは全くの別物だ。

 今回もツアー参加である。スペイン語はからっきしダメだし、ピレネーは初めてだし、ということで、個人旅行ではなく、簡単にツアー参加を決めた。行程が効率いいし、ラクだし、ね。
 参加したツアーは「圧巻の大峡谷と可憐な花の競演 美しきピレネー山脈ハイキング」という長い名前で、参加客は私達2名(私とツレアイ)を入れて12名、女性の添乗員を入れて13名。ツアー会社は「朝日旅行」、11日間の旅程である。

6月12日

 飛行機はアムステルダムで乗り換えてトゥールーズへ。空港近くの宿に泊まって、翌朝8時頃にはバスで出発。

6月13日  ピック・ド・ミディ  ルルド

 この日は、ピック・ド・ミディ展望台でピレネー山脈の眺望を楽しみ、その後、ルルドへ向かう。
車窓

それにしても天気がいい。

車窓から見る、フランスの田舎の景色も美しく、
私達の気持ちまで快晴。
ラ・モンジー

11時過ぎ、ラ・モンジーに着いた。

ホテルがびっしりと建ち、いかにもスキー場だということがよく分かる
ピック・ド・ミディ

ロープウェーでピック・ド・ミディ展望台に上がると、
天気がいいこともあり(天気は関係ない?)、
展望台は見物客でいっぱい。

 景観に向かって飛び出すように造られている展望台を前にして、広場いっぱいに椅子が並べてある。4,50席くらいか(正確ではない)だが、空いている椅子はない。山の景観なので、椅子に寝そべるようにしても、景観をたっぷり見ることができる特等席だ。

 中央にある建物のまわりをぐるりと歩いてみると、巨大な望遠鏡がある。これは、1963年にNASAによって造られ、アポロ計画の準備のために月の地形の詳細の撮影に用いられたものだそうだが、今でもフランス最大の望遠鏡だそうだ。

panorama
 添乗員が「ここで、こんなことは初めてだ」と言う。好天気のことである。「ここの景観がこんなに美しく見えるなんて素晴らしい! 100%、いや120%!」と彼女は言う。私達も幸運を喜んだ。そして、「この旅行の最後までこんな天気が続くといいね」と皆で言い合った。
車窓
昼食の後、バスでルルドへ向かう。

 

バスの車窓から景色を見ていて思った。フランスの田舎は本当にきれいだ。

そうそう、
ツアーのバスは大型で、私達ツアー客12名には大きすぎる感じだ。1名に4席以上の割り当てで、ゆったりと外を眺められる。
車窓
 午後3時過ぎにはルルドへ到着。

 直ぐに目についたのはいくつかの大きな寺院。その前に川が流れ、その川を挟んで、ホテルや土産物屋で一大門前町 (キリスト教寺院でも「門前町」というのかどうか自信ないが) となっている。
 土産物屋が多いのにも驚いたが、人の多さにはもっと驚いた。その人の流れの中に、車椅子の人がかなり目立つ。
 ここは「ルルドの奇跡」の場所で、ここの泉の水に触れると病人の不治の病が完全治癒したということで、カトリック最大の巡礼地となっている。殊に足の病気に効果が高いということで、車椅子の人が多いのはそのためだが、"奇跡"となるとそうそうは起きるものではない。実際にカトリック教会から正式に"奇跡"と認定されているのは少数だそうだ。

 本当の"奇跡"が少数でも、自分がもし車椅子の身であれば、たとえ数万分の一の可能性であろうとも自分の身に"奇跡"が起こるならば……どんなに幸せか、分かるような気がする。信仰とか宗教とかいうものはそれこそ各人の自由だが、幸せになることも、共通する目的の一つなのだ、と思う。はるばるとここまでやってきた車椅子の人の多さを見て、彼等に幸せを、と思わざるを得ない。

 午後6時過ぎに今日の宿泊地コトゥレに着いた。明日は、ピレネーで最も有名なカヴァルニー峡谷へ行く。

6月14日  カヴァルニー

 朝9時頃ホテルを出発、1時間ほどでカヴァルニーに到着。
山並み
 天気が良い。
 空が晴れ渡る、とはこういうことをいうのだ。

 歩き始めた頃からカヴァルニーの山並みは見えていた。  ヨーロッパ最長といわれるカヴァルニー滝も見事に見えている。
   この写真では、写真の真ん中に薄く見えている。
 今日は好天気なので、草原を通る通常のルートではなく、それに並行してはしっている脇の道に入った。登りが多いが、花が沢山見られるそうだ。

 地域によってそれぞれ現地ガイドが付いたが、大抵のガイドは添乗員と親しげに話しているところを見ると、毎年同じ現地ガイドに依頼しているようだ。
 その現地ガイド大抵が、表紙に日本語で「ピレネーの花の手帳」等と書いてある、この地域の花を解説した本を手にしながら、私達に花の名前などを教えてくれる。日本語が読めるのかな?と思って覗いてみると、確かに、その花の絵を見ながら例えば「ロトウス・アルピヌス」等と日本語で言っている。しかし実際は、彼女等は日本語の「カタカナ」だけが読めるのだ。本の花の絵を見て、それに付いたカタカナを読んでいる。花の名前を言うには、カタカナだけでコト足りるのだ。私達にもそれで十分だ。
 添乗員は「現地ガイドは花の名前も勉強してますよ」と言ったが、日本語のカタカナだけを覚えたとしても、外国人なら立派なものだ。私達客には大変参考になった。

 下は、このルートで見た主な花たち。
 グラニウム・キネニウム
花
  ギンラン
花
 ラヌンクルス・レベンヌ
 (キンポウゲ科)
花
 ロトウス・アルピヌス
花
 ハクサンチドリの仲間
花
 ピレネー・キンポーゲ
花
 オダマキの仲間
花
 クワガタソウ
花
 イワタバコ
花
 ホルミヌム・ピレナイクム
花
 ミオスティス・アルベストリ
 (ワスレナグサ)
花
 ルリカンザシ
花
 

グラニウム・シルバテクス
 (ハクサンフウロの仲間)

花

下の道
 ルートには沢山の花もあったが、

 時々見える下の道の風景も美しく、
  登りは少しきつかったが
 楽しかった。

カヴァルニー  

 ここで、まわりの美しい景色を眺めながら休憩。
 気温はどんどん高くなり、ツアーのみんな、半袖シャツになった。

 この後、カヴァルニー小屋に向かって下った。

   カヴァルニー小屋に向かう下の道と合流すると、あとはまた、登りになる。

カヴァルニー  

 カヴァルニー小屋まで登る道の途中も美しい。

 川の水量も豊富にある。

 素晴らしい道だ。天気も快晴で気持ちいい。

カヴァルニー  

  カヴァルニー小屋に着いた。

  こんなに人が来てた? と思うほど、多くの人が。
  歩いている人はそんな多くないと思ったが。

 

  いい場所にありますね。
  まる一日をここで過ごしてもいい感じ。

  まず、カヴァルニー小屋の食堂で昼食を済ませ、
  それから、外の景色をじっくり眺めた。

カヴァルニー

 

  今は緑が美しい時期でもある。

  雄大な風景。その中での水と緑の配置は、
   その雄大さをいや増して素晴らしいものに見せる。

 

 

  実は、最近まで10日間ほど雨の多い悪天候が続き、この2、3日前(私達が到着した頃!)から天候が戻って晴れ間が続いているそうで、その結果、山の雪解けが急に始まったらしい。
カヴァルニー  

 

  山の至る所から雪解けの水が流れ落ちている。

  水量が非常に多いので、単なる"流れ"ではなく、滝になっているのだ。滝が何本も出来ている。

  ツアーの仲間達と一緒に、滝のそばまで行ってみようと近づいたが、滝に行きつく前に、滝から流れ出ている川の流れそのものがすごい水量で、更に、水の勢いも強く、その流れを渡るのに恐怖を覚えた。 付いていた現地ガイドは「この川がこんな多い水量なのを見たのは初めて」と言った。結局、私達は、滝に近づくことを諦めた。 
カヴァルニー  

 帰りは、行きとは違って、下の道を行った。
 こちらの道も景色がよく、気持ちいい。
 写真は、午後4時頃。

 すれ違う(カヴァルニー小屋方面へ登る)人々も多い。このあたりは夜10時ごろまで明るいので、この時間から行っても、見る時間は充分あるだろう。

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