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用語解説

環境用語のうち略語の解説をしています。

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ギャラリー


ASTM注射器法

臭気の強さを人間の嗅覚(きゆうかく)を利用して測定する嗅覚(きゆうかく)測定法の一つ。アメリカで広く用いられていた。ASTMはAmerican Society for Testing and Materials(現在はASTM International、米国試験材料協会)の頭文字。 日本においても昭和40年代まで使われていた。 試料を100mlの注射器を用いて希釈し、においの有無を判定する。 この方法の長所は、測定器材が安価であることなどであるが、容量不足、希釈時の精度などの問題がある。
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BDF

BDF(Bio Diesel Fuel)とは、トウモロコシ、サトウキビ、木材などを発酵させて得られるエタノール(エチルアルコール)、メタノール(メチルアルコール)や菜種、大豆などから得られる食用油など植物由来の燃料のこと。 環境省エコ燃料利用推進会議は、代表的な輸送用バイオ燃料にバイオエタノール、バイオディーゼル(BDF)、バイオマス液化燃料(BTL)、エコ軽油の四つをあげている。 これらを燃やすと、もちろん二酸化炭素(CO2)を発生するが、もともと植物が空気中から取り込んだものであり、温室効果を持つCO2を増やすことにはならない。したがって、京都議定書などでも、CO2の排出は0とカウントされる。 産業経済省は2006年(平成18年)度からバイオエタノールをガソリンに混ぜたエタノールガソリンの安全性の確認や製造の実験に取り組んでいる。 また、フランス、ドイツ、スペインといったEU諸国で普及しているエタノールを石油系ガスのイソブテンと反応させて合成されるエチル・ターシャリー・ブチル・エーテル(ETBE)の毒性評価や製造開発技術の研究にも取り組んでいる。 環境省の「エコ燃料利用推進会議」は、2010年(平成22年)には、ガソリン需要の最大半分をバイオエタノールを3%混合(E3)したものに転換し、2030年(平成42年)までにすべてのガソリンを10%混合(E10)したものにする目標を立てている。E3の場合でCO2の削減率は3%になる。 使用済みの食用油をディーゼル機関に使用するバイオディーゼル燃料(BDF)は、軽油に比べて純度を高めることができ、廃棄ガスがきれいになることから、ドイツを中心としたEUで使用され始めている。国内では、京都市やいわき市の市バスやごみ回収車にすでに使用されている。 また、エタノールやメタノールは小型の燃料電池の燃料としても実用化されている。
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BHC(C6H6Cl6)
BHC(benzene hexa chloride)はベンゼンヘキサクロリドまたはヘキサクロロシクロヘキサン(HCH)といい、α、β、γ、δ体等の異性体がある。 このうちγ-BHCが殺虫剤、シロアリ駆除剤、木材処理剤として用いられる。BHCには同時に殺虫効果が低いβ-BHCがかなり含まれるが、これは化学的に安定した化合物であり、長期間、環境中に残留する。 アメリカでは、殺虫成分を精製した「リンデン」という物質が使用されている。 日本では1971年(昭和46年)に販売の禁止又は制限が行われた。これらの農薬は、当時、無害化処理法が確立されていなかったことから、昭和46年に農林水産省(当時、農林省)が、これらの農薬を周辺に漏洩しない方法により埋設処理を行うことを決め、都道府県、市町村、農業者団体等により処理が行われた。その後、技術の進歩により、環境を汚染せずに埋設農薬を無害化する処理法が確立したことから、2001年(平成13年)調査において確認されていた埋設農薬、約4,400tのほとんどが処理され、2014年(平成26年)現在、約330tが残るのみになっている。 BHC類は環境省による2002年(平成14年)度のモニタリング調査において、すべての環境媒体・地点・検体から検出されている(水質:38地点114検体、底質:63地点189検体、魚類:14地点70検体、貝類:8地点38検体、鳥類:2地点10検体)。 発ガン性のほか、眼、皮膚、気道を刺激する。また、2002年(平成14年)には、内分泌かく乱作用の可能性がある化学物質のうちの一つとされた。
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BOD

BOD(Biochemical Oxygen Demand)は水中の好気性微生物によって消費される溶存酸素の量のことで、生物化学的酸素要求量ともいう。試料を希釈水で希釈し、20℃で5日間放置したとき、消費される溶存酸素の量で表す。 BODは河川への排出水に適用されている。また、水中では酸素を消費する物質が主に有機物であることから、この値は水中の微生物によって分解可能な有機物の量を示す指標として用いられてきている。数値(mg/lまたはppm)が大きいほど水質汚濁の著しいことを示している。 BODについての環境基準は、河川が1~10mg/l以下、湖沼が1~8mg/l以下である。 問題点としては、①生物により代謝されない有機物を表していない、②生物に対して有害物質があるとBOD値は小さくなる、③アンモニアや亜硝酸による酸素消費もBODとして実際より高く測定されるなどがある。 国土交通省によると、2013年(平成25年)の一級河川のBOD(またはCOD)値が環境基準を満足している調査地点の割合が90%であった。直轄管理区間に複数の水質調査地点を有する河川のうち、年間の平均的な水質(BOD値)が最も良好な河川は、尻別川、荒川(阿武隈川水系)、庄川、安倍川、小鴨川、高津川、仁淀川、吉野川、川辺川、五ヶ瀬川の全10河川の全10河川であり、そのBOD値は0.5 mg/ℓであった。 過去10年間にBOD値が大幅に改善されている地点は、太子橋(大和川水系大和川)、亀の子橋(鶴見川水系鶴見川)、遠里小野橋(大和川水系大和川)、秋山川末流(利根川水系秋山川)、浅香新取水口(大和川水系大和川)及び市坪(重信川水系石手川)であった。 また、 新しい水質指標による調査結果によると約26%(79地点/308地点)が「泳ぎたいと思うきれいな川」と評価されている。
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BS7750
イギリス規格協会(BSI)が世界に先駆けて、パイロット規格として制定した環境マネジメントシステムの規格。1992年(平成4年)6月に第1版、1994年(平成6年)1月に改訂版が制定された。11章からなり、システム構築による環境パフォーマンスの継続的向上をねらっている。内外からの情報、環境法規制、自らの方針などを基にして、環境影響評価を実施することが特徴である。 BSはBritish Standardsの略で世界にある工業標準規格のなかでも権威があるとされる。 このBS7750は、EUの環境管理監査規則(EMAS)やISO14001のベースになり、1996年(平成8年)9月、ISO14001の制定にともない消滅した。
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BSE

BSE(Bovine Spongiform Encephalopathy)は牛の脳の組織にスポンジ状の変化を起こすので牛海綿状脳症とか狂牛病ともいう。 感染すると、2年以上の長い潜伏期間の後、行動異常、運動失調等の神経症状を呈し、発病後2週間から6ヵ月の経過で死にいたる遅発性かつ悪性の中枢神経系の病気。現在のところ治療法はない。 イギリスで1986年(昭和61年)に発見されたのが最初である。 プリオンという通常の細胞タンパクが異常化したものが原因で、汚染された肉骨粉のはいった飼料によって広がったと考えられている。この異常化したプリオンは加熱処理しても不活化しない。 これが人に感染すると、新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病を引き起こすと考えられている。 日本国内では、2001年(平成13年)9月21日に最初の一頭が発見され、2009年(平成21年)1月までの間に36頭の感染牛が発見された。 世界では、発生のピークであった1992年(平成4年)に約3万7千頭の感染があったが、2012年(平成24年)には21頭に激減した。 これは、日本や海外で、牛の脳や脊髄などの組織を家畜のえさに混ぜないといった規制が行われた結果である。 我が国では、2002年(平成14年)に牛海綿状脳症対策特別措置法が施行された。 BSE検査の対象月齢は、国内初のBSE感染牛が確認された直後には「全月齢」の牛を検査対象とした。その後、2005年(平成17年)に「21か月齢以上」、2013年(平成25年)4月には「30か月齢超」へと引き上げ、さらに、同年7月1日からは「48か月齢超」となっている。
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CBD

CBD(Convention on Biological Diversity)は生物多様性条約とか生物の多様性に関する条約ともいう。 1987年(昭和62年)の国連環境計画(UNEP)管理理事会の決定によって設立された専門家会合における検討、および1990年(平成2年)以来7回にわたり開催された政府間条約交渉会議における交渉を経て、1992年(平成4年)6月の国連環境開発会議(地球サミット)で採択された条約。1993年(平成5年)12月29日に発効した。 アメリカを除き、わが国を含む主な先進国や、ほとんどの途上国の合計168ヵ国が地球サミット開催中に署名を行い、2015年(平成27年)5月現在、194ヵ国および欧州連合(EU)、パレスチナが締結。ただし、アメリカは未締結。 本条約は、①地球上の多様な生物をその生息環境とともに保全すること、②生物資源を持続可能であるように利用すること、③遺伝資源の利用から生ずる利益を公正かつ衡平に配分することを目的としており、国家戦略の策定、生物多様性保存の国内措置、遺伝資源利用による利益配分と、バイオテクノロジーの安全性確保の方針などが定められている。 2006年(平成18年)3月にブラジルのクリチバで開催された第8回締約国会議では、生物多様性の損失速度を顕著に減少させるという2010年目標の達成に向けた条約の実施状況について議論が行われ、新たに島嶼(とうしょ)の生物多様性の作業計画が採択されたほか、森林の生物多様性に関する作業計画、侵略的外来生物等に関する決議が採択された。
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CCS
CCSはCarbon dioxide Capture and Storageの頭文字で、Carbon dioxide つまり二酸化炭素(CO2)を回収・貯蔵する技術をいう。火力発電所や工場から発生する二酸化炭素は地球温暖化の大きな原因物質である。この二酸化炭素を大気中に放出する前にアミン溶液などで回収し、圧力をかけて気体と液体が混在した状態で地下1000m以上深いところに貯蔵する。貯蔵場所としては、褶曲の背斜部分で上部に泥岩などCO2が浸透しない層があり、粒の粗い砂などが固まった砂岩や火山岩などでできた帯水層が向いている。これまでの調査で、日本には年間排出量のおよそ100年分に相当する約1,4000億トンのCO2が貯蔵できると見積もられている。貯蔵されたCO2は、高い圧力により、やがて塩水に溶解したり、岩石のすき間で凝固し鉱物になると考えられている。
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CCUS
Carbon dioxide Capture,Utilization and Storageの略で、工場から出る二酸化炭素を回収して再利用したり、貯留したりする方法のこと。貯留技術のCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)と活用技術のCCU(Carbon Capture and Utilization)を合わせたもの。
CCSについては、日本経済新聞などによると、北海道苫小牧市の製油所から出るCO2を、2016年から19年11月までの3年間に30万tを沖合、深度1100~1200mと、2400~3000mの2つの貯留層に貯留するのに成功している。
CCUについては、人工光合成が有望視されている。まず、水槽に光触媒を塗布したパネルを沈め、太陽光を当てることで水素を発生させる。得られた水素と回収したCO2を触媒を使って合成し、プラスチックの原料を作ろうというものである。
また、藻類のミドリムシにCOを吸収させ、それからバイオ燃料を作る技術開発も進んでいる。
このように二酸化炭素を資源として捉えて、回収したCO2を製品や燃料に再利用することをカーボンリサイクルという。もちろん、再利用されるCO2の量がこの課程で排出されるCO2の量より多くないと、何をしていることかわからない。国は2019年6月に技術ロードマップを策定し、2050年頃までに重点的に取り組む内容をまとめた。
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CDM
CDM(Clean Development Mechanism)とは「クリーン開発メカニズム」のこと。CDMは開発途上国において、先進国および企業の資金や技術支援によって温室効果ガスの排出削減等につながる事業を実施すると、その事業により生じる温室効果ガス削減量の全部または一部に相当する量を先進国が排出枠として獲得できるというシステムである。 この制度が利用されることで、先進国の温室効果ガスの削減目標が達成できるとともに、先進国の進んだ環境対策技術や省エネルギー技術を、速やかに途上国に移転できるというのがこの制度のねらいである。この仕組みを先進国同士で行う場合は、「共同実施(JI、Joint Implementation)」と呼ばれる。 1997年(平成9年)12月に開催された国際連合気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)において、京都議定書が採択された。この議定書で、先進国は2008年(平成20年)から2012年(平成24年)までの間に、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量を、1990年(平成2年)レベルより5.2%削減することが定められた。 そして、この温室効果ガスの削減目標を達成するための対策手段として考えられた「京都メカニズム」に、この「クリーン開発メカニズム」と、「排出量取引(Emissions Trading)」および「共同実施」の三つが盛り込まれた。 しかし、環境NGOなどは、国内の排出削減に努力しなくても済む抜け穴になるのではないかと危惧(きぐ)している。
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CFC
メタンやエタンを構成している元素のうちの水素原子の一部を、フッ素や塩素原子に置き換えたものの総称。 日本ではフロン、アメリカではフレオンという。フルオロカーボン類には、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)がある。これらは、冷媒、発泡剤、洗浄剤、溶媒、噴霧剤に用いられている。 フルオロカーボンは化学的に安定しており、無毒、不燃性であり、沸点が低いので、気体から液体、液体から気体の変換が比較的簡単にでき、また、液体フルオロカーボンは表面張力が低く浸透性が高いなどの優れた特性を持っている。 フルオロカーボンは大気中へ放出されてもきわめて安定であり、やがて成層圏に達したCFCやHCFCなど塩素原子を含むものは、短波長の紫外線によって化学分解され塩素原子を放出するが、この塩素原子が成層圏のオゾンを連鎖的に破壊する。 また、その温室効果の程度は、二酸化炭素の約1万倍とされており、地球温暖化への寄与率は温室効果ガスの約10%となっている。 1987年(昭和62年)に、「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が採択され、フルオロカーボンの生産と使用について規制されるようになった。そのうちで、オゾン層の破壊力が大きいクロロフルオロカーボンは、1995年(平成7年)末で生産が全廃された。 フルオロカーボンの化合物には、コードナンバーが決められており、たとえば、CFC-11(CCl3F)、CFC-113(CCl2FCClF2)などがあり、一位はFの数、十位はHの数プラス1、百位はCの数マイナス1を示している。 世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)は、2018年(平成30年)11月5日に一時破壊が進んだオゾン層が2060年代には地球全体で1980年代の水準まで回復すると予測する報告書を発表した。これは「モントリオール議定書」によるフロンの規制が奏功したとしている。しかし、CFC-11が12年以降、東アジアで放出されていると指摘、モントリオール議定書違反だとしている。
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CLRTAP
国連欧州経済委員会によって1979年(昭和54年)に採択、1983年(昭和58年)3月に発効した長距離越境大気汚染条約(Convention on Long range Transboundary Air Pollution:CLRTAP)のこと。この条約ができたのには、1950年代から北欧を中心として、湖沼や河川がイギリスや中部ヨーロッパから流れてきた酸性の排気ガスにより、酸性化して魚や植物が死滅するなど生態系に深刻な影響が生じていたことが背景にある。ヨーロッパ諸国を中心に49ヵ国が加盟(日本は加盟せず)。 加盟国には酸性雨等の越境大気汚染の防止対策を義務づけ、酸性雨等の被害影響の状況の監視・評価、原因物質の排出削減対策、国際協力の実施、モニタリングの実施、情報交換の推進等を定めている。 この条約の発効後、資金供与について定めたEMEP議定書(1984年)、SOxの30%削減を定めたヘルシンキ議定書(1985年)、NOxの削減について定めたソフィア議定書(1988年)、VOC規制議定書(1991年)、SOxの削減について定めたオスロ議定書(1994年)、重金属議定書(1998年)、POPs議定書(1998年)、酸性化・富栄養化・地上レベルオゾン提言議定書(1999年)の8つの議定書により補足・強化された。
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COD
COD(Chemical Oxygen Demand)は化学的酸素要求量ともいわれる。試料中に有機物や亜硝酸塩、鉄(Ⅱ)塩、硫化物などがどれくらい含まれるかを示す。 過マンガン酸カリウム(KMnO4)や重クロム酸カリウム(K2Cr2O7)などの酸化剤によって一定の条件で試料水を処理したときに消費される酸化剤の量を求め、それに対応する酸素の量(mg/lあるいはppm)に換算して表す。 数字が大きいほど人間活動による有機物で水は汚れていることを示しており、河川や湖沼、海域などにおける有機物量を表す代表的な指標の一つとしてよく用いられる。 環境基本法による水質の汚濁等に係る環境基準は、湖沼が1~8mg/l以下、海域が2~8mg/l以下であり、また、水質汚濁防止法による排出水の規制のための基準値が別に定められている。 有機物による汚れを表すのによく用いられるその他の指標としては、生物化学的酸素要求量(BOD)や全有機炭素(TOC)がある。
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COP3
COP3とは気候変動枠組条約第3回締約国会議のことで、通称「地球温暖化防止京都会議」という。1997年(平成9年)12月、京都市で、約170の国や団体、約5,000人以上が参加して開催された。 この会議では、温室効果ガスについて先進国の2000年(平成12年)以降の排出削減目標の設定と、途上国の将来的な排出抑制政策が主要課題となった。期間中は各国間の会議だけではなく、NGOの活発な活動が注目された。 この会議では、温室効果ガスの排出を減少させる京都議定書が採択され、その目標を達成することで合意がなされた。 その議定書では、①先進国全体での二酸化炭素、メタンなど6種類の温室効果ガスの総排出量を2008年(平成20年)~2012年(平成24年)の間に、1990年(平成2年)を基準にCO2換算で5.2%削減、各国削減目標として、日本6%、アメリカ7%、EU8%などとすること、②温室効果ガスの排出枠に余裕のある国が、その一部を他国に売買することができるシステム(排出量取引)などを決定した。 しかし実施の仕組みの構築は今後の交渉に委ねられ、結果によっては先進国の抜け穴にしかならないという懸念が途上国などにあり、採択した後の各国の取り組みが注目される。 また、クリーン開発メカニズム(CDM)や森林などの二酸化炭素吸収能力認定などは、どれもこれからその内容に関して話し合い、運用の仕組みをつくらなければならない。専門的な内容で各国の利害が複雑に絡んでいるため、議論の場はあってもその進展は遅々としている。 京都議定書は2004年(平成16年)11月、ロシアが締結したことで、アメリカ抜きに2005年(平成17年)2月16日発効した。わが国は2002年(平成14年)6月に締結。 気候変動枠組み条約は2013年(平成25年)7月現在、195ヵ国および欧州連合が締結している。
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CSR
CSR(Corporate Social Responsibility)は「企業の社会的責任」ともいい、社会に対する公正さや環境への配慮を企業の活動に取り入れる考え方。この考え方は、欧米で90年代に急速に普及した。 企業は、株主や消費者だけでなく、従業員、金融機関、取引先、地域社会、環境、NPOなどと関わり、それぞれに対して情報開示、説明責任を果たすことが求められる。そして、これを果たすことにより企業の社会的な信頼度を得ることができる。 個人や機関投資家がCSRを考慮して行う投資を社会的責任投資(SRI、Socially Responsible Investment)という。2013年(平成25年)現在における世界の社会的責任投資額は、13.6兆ドルに及ぶ。そのうち、欧州市場が8兆7,600億ドル、アメリカ市場が3兆7,400億ドルに対して、わが国では100億ドルにすぎない。
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DAC
DACはDirect Air Captureの頭文字。大気中の温室効果ガスを直接回収する技術のことをいう。
この技術を用いると、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーの導入や、原子力発電所の稼働、石炭火力発電所の廃止などと違い、経済活動に影響を与えることなく大気中の温室効果ガスを減らすことができる。
アミンや水酸化カリウムなどにCO2を吸収させる、CO2を吸収しやすい固体に吸収させる、CO2だけを通す膜で分離するといった技術などが研究されている。
現在の太陽電池や風力発電などが1トンのCO2を減らすのに100ドル程度のコストかかるのに対して、DACによる回収費は上のいずれの技術でも1トンあたり600ドル前後と高くつくのがネックとなっており、いかに下げるかが今後の課題となっている。
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DDT
(C14H9Cl5) p,p'-ジクロルジフェニルトリクロルエタンを略したもの。 1874年(明治7年)に合成され、1938年(昭和13年)に優れた殺虫性を持つことが見つけられた。第二次世界大戦後は、農薬やシラミなどの衛生害虫の駆除に広く使用された。 DDTは化学的に安定しており、その半減期は水中で3.1日~12年、土壌中で50日~15.6年と長い。 したがって、DDTが散布された米、麦などの農作物には残留する。この汚染された農作物を摂取すると、DDTは脂溶性のために排出されにくく蓄積されるので慢性毒の危険性がある。 日本では、1973年(昭和48年)「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」により、第一種特定化学物質に指定され、製造・輸入が禁止された。 2001年(平成13年)5月に採択され、2004年(平成16年)5月に締結された「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」では、残留性有機汚染物質(POPs)に指定されている。 しかし、一部の国ではマラリアを媒介する蚊の駆除に残効が長く、安価であるため、現在も用いられている。
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DEP
DEP(Diesel Exhaust Particles)はディーゼル排気微粒子のことでディーゼル・スモークあるいはディーゼル黒煙ともいう。ディーゼルエンジンでは、排出ガスに黒煙が発生しやすく、その黒煙中に含まれる直径2μm以下の微粒子状物質のことをいう。大気浮遊粒子状物質(SPM)の原因物質と考えられている。 ディーゼル排気微粒子は炭素と灰分からなる固体粒子で、水分、有機物質、硫酸塩など吸着した物質を含んでいる。また、この粒子には発ガン性を有するベンツピレンなど多環芳香族炭化水素等が含まれることが知られている。近年では直径2.5µm(pm2.5)以下のPMは肺の深部に沈着し、ぜん息をはじめ呼吸器・循環器疾患を引き起こすなど人の健康を損なうので早急な対策が講じられねばならない。 発生原因は三つあり、①燃料の不完全燃焼により排出される黒煙またはすす、②コールドスタート(エンジンを暖めない状態での運転開始)、アイドリングおよび低負荷の際に排出される青煙(主として液状物の微粒子)、③潤滑剤および添加剤を含んだ微粒子に大別できる。特に①は窒素酸化物と並んでディーゼル機関から排出される汚染物質で、対策の急がれるものである。 このため、1992年(平成4年)6月に「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」が制定された。DEP対策としては、1993年(平成5年)度から黒煙に加え、粒子状物質排出量全体の規制が開始された。 1996年(平成8年)1月には、大気汚染防止法に基づく「自動車排出ガスの量の許容限度(環境庁告示)」が改正され、大型のバス、トラックを除くディーゼル車に対して、新しい許容限度に基づく規制が開始された。最近では、ガソリン車、ディーゼル車とも排出ガス試験法が見直され、2008年(平成20年)に排出ガス規制(ポスト新長期規制)が実施された。また、 2010年(平成22年)には、ディーゼル特殊自動車に対し排出基準が強化され、自動車の排出ガスの低減が図られている。 最近、交通局のバスにディーゼル排気微粒子除去装置(DPF)を取り付けている自治体が見受けられるようになってきた。
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DO
DO(Dissolved Oxygen)とは水中に溶けている酸素のこと。 水に酸素が溶ける量は、気圧、水温、塩類等に影響される。1気圧、20℃の蒸留水1リットルには8.84mgの酸素が溶ける。 溶存酸素は水中の有機物を酸化する水域の自浄作用に不可欠のもので、水が清純であればあるほど飽和量に近く含まれる。 溶存酸素は水中の好気性微生物によって消費され、不足すると魚介類等に悪い影響を与える。溶存酸素がなくなると、嫌気性状態となり、硫化水素等の悪臭を発生する。そのため、溶存酸素は河川、湖沼、海域の汚染指標として用いられる。数値(ppm)が小さいほど水質汚濁の著しいことを示す。 水質汚濁に係る環境基準のうち、生活環境の保全に関する環境基準が水域の利用目的に応じて定められている。山奥の清流やヤマメ、イワナなどが生息し、通常処理で水道に使用できる水質は7.5mg/l以上、コイ・フナなどが生息したり水田かんがい用に使えるが、工業用には処理がいる水質は5mg/l以上、それ以外の水質は2mg/l以上の基準がある。 溶存酸素と生物化学的酸素要求量(BOD)とは逆の相関関係であり、DOが低くなるとBODが高くなる。
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DOP
フタル酸ジオクチル(DOP)は、通常、その一種であるフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)のことをいう。分子式はC24H38O4。かすかににおう無色透明の油状の液体で、環境中でよく分解する。最もよく使用されている塩化ビニル樹脂用可塑剤の一つである。 体内に摂取されると速やかに吸収され、5~7日のうちに80%がふん尿中に排せつされる。体内蓄積の度合いはPCBに比べて低く、これによる環境汚染の障害の報告はない。また食品包装用として、非脂肪性食品と接触しても障害発生の心配はない。 1993年(平成5年)3月の環境基準の拡充、強化の際に、水質汚濁に係る人の健康の保護に関する物質として「要監視項目」に位置づけられ、その指針値が0.06mg/l以下と定められた。 1982年(昭和57年)、アメリカ環境局はDEHPをラットなどに投与すると肝臓に腫瘍が発生するとし、人に対する発ガン性の懸念を発表した。 しかし、2000年(平成12年)、国際ガン研究機関(IARC)によって、DEHPには発ガン性がないという評価が下されている。 日本では、環境省が2002年(平成14年)および2003年(平成15年)に、SPEED'98にリストアップされていたDEHPはじめ9種類の可塑剤について、「低用量では内分泌かく乱影響は認められなかった」と発表している。
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ELV指令 ELV指令(End of Life Vehicles)はEUにおける使用済み自動車指令のことで、2000年(平成12年)10月21日に発効した。 この指令の概要は、①2007年(平成19年)以降、自動車製造業、輸入業など生産者は廃車の無料引き取りを保証する ②2007年以降、生産者は廃車引き取り費用のすべて、またはそのほとんどを負担する ③2006年(平成18年)までに、廃車の85%、2015年(平成27年)までに、95%をリサイクルする などであった。 これは、2002年(平成14年)6月に次のように一部修正された。 ①生産者は、全国規模の廃車の引き取り網を構築し、2007年(平成19年)以降、すべての廃車を無料引き取りしなければならない。 ②引き取り所は廃車を認定解体事業者へ、認定解体事業者は廃車ガラを認定破砕事業者へ渡さなければならない。 ③生産者は無料引き取りのために、社内に廃車引き取りのための引当金を準備しなければならない。 また、2003年(平成15年)7月以降は自動車の部品・材料に鉛、水銀、カドミウムまたは6価クロムの4物質を非含有にしなければEU加盟国に輸出することができなくなった。
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EMAS
EMASはEco-Management and Audit Scheme(環境管理監査規則)のこと。1993年(平成5年)6月に当時の欧州共同体(EC、現在は欧州連合、EU)が公布し、EC参加国15ヵ国における国内法として、1995年(平成7年)4月から実施されている。 2015年(平成27年)現在、登録数は4,500以上の組織と約8,150のサイトに上る。 EMASは21ヵ条の規則と詳細な要求事項の附属書(Annex・Ⅰ~Ⅴ)で構成されており、その目的を企業の自主的参加を前提とした環境業績の継続的改善やその公開においている。 EMASは環境マネジメントシステムをISO14001と同様に構築、実施するが、活動結果を「環境声明書」に表し、外部の公認検証人の審査を受けなければならないという点が異なる。認定の有効期間は3年なので、企業はそのたびごとに新しい目標を設定しなければならない。 2001年(平成13年)4月には、EMAS改訂版が発行された。対象範囲が製造業をはじめとした環境負荷の高い特定の分野およびビジネスに限られていたのが、この改訂でISO14001と同様、全分野に広げられた。 また、要求事項に関するより具体的なアクションプランと、新たにロゴ(認証マーク)について定められた。
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EMEP議定書
EMEPはEuropean Monitoring Evaluation Programの頭文字。 1979年(昭和54年)に締結され、1983年(昭和58年)に発効した長距離越境大気汚染条約に基づく計画を遂行するため、締約国に資金を拠出するよう規定した議定書。 正式には「欧州における大気汚染物質の長距離越境移動の監視及び評価に関する協力計画の長期的資金計画に関する議定書」という。 1984年(昭和59年)に締結、1988年(昭和63年)に発効した。
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EM菌
Effective(有用)とMicro-organisms(微生物)を組み合わせた造語で、有用微生物という意味。 一般に、EM菌とは光合成細菌、酵母菌、乳酸菌、放線菌など約80種類を集めた複合培養液のことをいう。 土壌改良や野菜栽培、家畜ふん尿処理、生ごみの堆肥化などに用いられる。
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EPA
United States Environmental Protection Agency、アメリカ環境保護庁のこと。設立は1970年(昭和45年)。本部はワシントンDCに置かれている。2015年度の予算は81億4000ドル、2014年度の職員は15,408人。 空気、気候変動、生態系、健康、土地や廃棄物のクリーンアップ、農薬、有害物質、持続可能な社会の構築、水の管理など地球環境や公衆衛生に関わるすべての事柄を統括・規制する機関である。
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EPN
(C14H14NO4PS) 有機リン系の殺虫剤、o-エチル-o-4-ニトロフェニルチオホスホネートの一般名。イネ、果樹、野菜などの広範な害虫に有効な殺虫剤で、残効性がある。 農薬としての残留基準は、米、果実、野菜等については0.1ppm、夏みかん(皮)については0.5ppmとされている。 登録発効期間は1951年(昭和26年)10月より。 EPNについては、パラチオン、メチルパラチオン、メチルジメトンと合わせて有機リン化合物として規制され、次のように定められている。 ①水質汚濁防止法では、1971年(昭和46年)6月に有害物質と定められ、有機リン化合物の排水基準が1mg/lと定められている。 水質汚濁に係る環境基準のうち、人の健康の保護に関する環境基準(健康項目)では、1970年(昭和45年)4月には有機リンとして「検出されないこと」とされていたが1993年(平成5年)3月にこの項目は要監視項目に移され、指針値は0.006mg/l以下となっている。 ②2003年(平成15年)2月施行の土壌汚染対策法で、有機リン化合物は第三種特定有害物質に指定され、土壌溶出量基準、地下水基準ともに検出されないことと定められている。 ③廃棄物の処理および清掃に関する法律で、有機リン化合物は特別管理産業廃棄物に指定されており、排出事業者は事業場ごとに特別管理産業廃棄物管理責任者を置かなければならない。
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ESD
Education for Sustainable Developmentの略で、「持続可能な開発のための教育」のこと。第57回国連総会で、我が国より、「持続可能な開発のための教育の10年」に関する決議案を提出。先進国と途上国を含む47ヵ国が共同提案国となり、満場一致で採択された。環境省によると、ESDとは、「一人ひとりが世界の人々や将来世代、また、環境との関係性の中で生きていることを認識し、持続可能な社会の実現に向けて行動を変革するための教育のこと」と説明している。さらに、単なる知識の習得や活動の実践にとどまらず、日々の取組の中に、持続可能な社会の構築に向けた概念を取り入れ、問題解決に必要な能力・態度を身につけるための工夫を継続していくことが求められるとしている。 また、文部科学省はESDの実施に際しては、特に次の二つの観点が必要としている。1 人格の発達や、自律心、判断力、責任感などの人間性を育むこと。2 他人との関係性、社会との関係性、自然環境との関係性を認識し、「関わり」、「つながり」を尊重できる個人を育むこと。
「そのため、環境、平和や人権等のESDの対象となる様々な課題への取組をベースにしつつ、環境、経済、社会、文化の各側面から学際的かつ総合的に取り組むことが重要である」と説明している。
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ESG投資
Environment(環境)、Social(社会)、Governance(統治)の頭文字を取って作られている。企業の環境や社会問題、企業統治への取り組みを分析し、より優れたところに投資するというもの。「環境」では企業が二酸化炭素の排出量を減らすとか、有害物質を排出しないとか、水資源を汚したり枯渇させないとかの取り組み等が評価される。「社会」では働き方とか女性の登用、人権への配慮などが評価される。「統治」では情報開示ができているか、社外取締役の制度が機能しているかなどが評価される。1990年代の環境に関する取り組みが進んでいる企業に投資する「エコファンド」があったが、その現代版といえる。 背景として、2015年に地球温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」が採択され、環境対策が企業価値に直結するようになったこと、2017年頃から多くの企業で過労死が大きな社会問題になったことやデータ改ざん問題が相次いだことなどがある。
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ETBE
エチル・ターシャリー・ブチル・エーテル(Ethyl tertiary butyl ether)の頭文字。エタノール(エチルアルコール)と石油系ガスのイソブテンを合成して製造される。 ETBEを混合したガソリンはオクタン価が高く、水との相溶性が低い。 フランス、スペイン、ドイツなどでは、温室効果ガスである二酸化炭素を削減するために、バイオマス由来のエタノールを原料とするETBEを自動車の燃料であるガソリンに7%程度混ぜて、一部使用され始めている。 ETBEには刺激作用、肺機能障害、生殖障害があるとされ、発ガン性については不明なので、アメリカのカリフォルニア州やオーストラリアでは使用が禁止されている。 日本では2007年(平成19年)度からバイオETBEを混合したガソリンの試験販売を開始し、2010年(平成22年)度には本格導入され、21万kl(原油換算)のバイオ燃料が販売された。 しかし、植物由来のエタノールを使用しても、ETBEを合成するためにエネルギーが必要であり、実際どれほど温室効果ガスを削減できるか疑問視する意見もある。
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GHS

GHSとは国連において2003年(平成15年)に採択された、「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)」の略称。長年の検討を経てこのGHSが採択されたのは、近年、様々な化学品(化学物質又はそれを含有する製品)が世界各国で流通しており、国際標準となる情報伝達方法の整備の必要性が高まったことが背景にある。ただし、GHSは勧告なので強制力は持たないが、2008年(平成20年)を実施時期の目標としている。 GHSを導入した国では、化学品の製造業者や輸入業者などが、GHSで決められた基準に従って化学品を分類し、絵等を用いて分かりやすく表示を行っていくことになる。この分類表示をラベルやSDS(Safety Data Sheet:化学物質等安全データシート)に反映させることで、販売業者や消費者などが、身の回りにある化学品の危険有害性をより正しく知ることができるようになること、また、それらの表示に従って化学品を正しく取り扱うことで、誤った取り扱いによって引き起こされる事故などを防ぎ、リスクを最小限におさえ、人の健康及び環境の保護がより進むことが期待されることにある。 GHSの導入は、世界各国においても進められてきている。我が国でも、化学物質排出把握管理促進法(化管法)に基づき、2012年(平成24年)6月から、ラベル表示に関する努力義務が規定されている。
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GRI
GRI(Global Reporting Initiative)は、環境報告書のグローバル・スタンダードをつくる目的でCERES(セリーズ、Coalition for Environmentally Responsible Economies)や国連環境計画(UNEP)が中心になって、1997年(平成9年)に設立された国際機関のこと。本部はオランダのアムステルダムに設置されている。 2000年(平成12年)にGRIガイドライン第1版を発行 、2013年(平成25年)にGRIガイドライン第4版を発行している。このGRIガイドラインは、あらゆる組織がサステナビリティ(持続可能性)報告書を作成する際に利用することができる枠組みを提供することを目的としている。 環境省によると、2004年(平成16年)現在、GRIガイドラインを活用して環境報告書を発行した日本企業は125社に上る。 CERESはセリーズ原則をつくったことで知られる米国のNGO。
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HCB
ヘキサクロロベンゼンのことで、殺菌剤や除草剤PCPの原料、ポリ塩化ビニールの可塑剤等として用いられた。 半減期は、空気中で0.5年~4.2年、水中で7時間~約10年、土壌中で2.7年~23年と長い。 日本では1972年(昭和47年)に生産が中止され、1979年(昭和54年)には化学審査法の第一種特定化学物質に指定され使用が禁止された。しかし、焼却の過程等で非意図的に生成されることがあるので、現在でも環境中に存在する可能性がある。このため、2007年(平成19年)にHCBなど副生成物として他の化学物質に微量含有される第一種特定化学物質の取り扱いを明確化するため、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の運用について」が一部改正された(その後平成21年にも改正)。海外では殺菌剤として麦類の種子消毒に用いられている。 内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)としての作用があることが知られており、使用禁止後の調査では、約10年間、環境中の残留濃度の横ばい状態が続いている。 ヘキサクロロベンゼンは、2001年(平成13年)5月に採択され、2004年(平成16年)5月に締結された「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」で、残留性有機汚染物質(POPs)に指定されている。 ヘキサクロロシクロヘキサン(ベンゼンヘキサクロリド、BHC)と混同されることがあるが、まったく別の物質である。
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HCFC
CFC
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HFC
ハイドロフルオロカーボン(Hydrofluorocarbon)のこと。クロロフルオロカーボン(CFC)やハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)は塩素を含んでおりオゾン層を破壊する。それに対してハイドロフルオロカーボンは塩素を含んでおらずオゾン層を破壊しない。このため、HFCはCFCやHCFCの利用が規制された後、冷蔵庫やエアコンなどの冷媒としての利用が急増した。このことからHFCのことを「代替フロン」、CFCやHCFCを「特定フロン」という。 しかし、HFCは二酸化炭素の数百倍~数万倍の温室効果があり、地球温暖化の原因になるとして大きな問題になっている。2016年10月ルワンダで開催されたモントリオール議定書の締約国会議では、代替フロンの段階的な規制を盛り込んだ改定案を採択した。この改定案は開催地のキガリにちなんで「キガリ改正」と言われる。それによると日本など先進国は2036年までに代替フロンの生産量を、2011~2013年の平均数量等を基準値として85%削減することが義務づけられた。モントリオール議定書事務局によると、キガリ改正が着実に実施された場合、HFCによる地球全体の平均気温上昇を、今世紀末までに従来の約0.5℃分抑制できると推計されている。 改定案はモントリオール議定書に参加した197カ国・地域のうち、20カ国以上が批准したことにより2019年1月に発効した。この段階で日本はまだ批准しておらず、対応に追われている。 →CFC
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IAEA
IAEA(International Atomic Energy Agency)は国際原子力機関の略称で、原子力の平和的利用を促進するとともに、原子力が平和的利用から軍事的利用に転用されることを防止することを目的として、1957年(昭和32年)7月に発足した。本部はオーストリアのウィーンに置かれており、2012年(平成24年)4月現在、154ヵ国が加盟している。 この機関が設置されることになったのは、第二次世界大戦終結後、①原子力エネルギーの平和的利用に対する関心が強まったこと、②東西冷戦が深刻化するとともに核兵器の拡散に対する懸念が強まったことから、原子力は国際的に管理すべきであるとの考えが広まったからである。 したがって、IAEAの事業は、原子力の平和的利用に関する分野と、原子力が平和的利用から軍事的利用に転用されることを防止するための保障措置の2分野に大別される。
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ICCAT
ICCAT(International Convention for the Conservation of Atlantic Tunas)は「大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約」の略称。大西洋におけるまぐろ類の資源を最大の持続的漁獲を可能にする水準に維持することを目的とする条約で1969年(昭和44年)3月に発効した。 日本は1966年(昭和41年)5月に署名、1967年(昭和42年)8月に批准した。 この条約に基づき、「大西洋まぐろ類保存国際委員会」(ICCAT、International Commission for the Conservation of Atlantic Tunas)が設けられており、大西洋における対象魚種の調査研究、対象魚種に関する勧告等の保存管理措置を行っている。 事務局はスペインのマドリッドに置かれ、2015年(平成27年)6月現在、50ヵ国(EUを含む)が加盟している。 2014年(平成26年)11月にイタリアのジェノバで開催された年次会合で、これまでの漁獲枠の削減、漁獲証明制度の導入など、保存管理措置が強化されてきた結果、資源の回復が確認された。その結果、クロマグロの漁獲枠を、東大西洋では2015年は16,142トン、2016年は19,296トン、2017年は23,155トンと前年比20%ずつ増すことが決められた。また、西大西洋では 現行1,750トンである漁獲可能量を、2015年及び2016年の2年間、2,000トンに増加することが合意された。 まぐろ類の資源を管理する国際機関は、この委員会のほかに、全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)、インド洋まぐろ類委員会(IOTC)、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)、みなみまぐろ保存委員会(CCSBT)がある。
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IEA
国際エネルギー機関(International Energy Agency)のこと。OECDの下部機関として、第1次石油危機後の1974年(昭和49年)に設立された。事務局はフランスのパリに置かれている。 2015年(平成27年)7月現在、OECD加盟国(34ヵ国)の内、29ヵ国が加盟している。 設置のねらいは、OECD加盟国において、石油を中心としたエネルギーの安全保障を確立し、中長期的に安定的なエネルギー需給構造を確立することにある。 石油などに関する情報の提供や、省エネルギーの研究・普及、新エネルギー開発の国際協力などを主に行っている。機関内にIEA天然ガス技術国際会議や、IEA天然ガス情報センター等、技術情報の収集、交換、提供を目的とした会議が設置されている。 IEAの「世界エネルギーアウトルック2014年版」によると、エネルギー需要は現状のまま推移すると、2012年(平成24年)の13,371百万トン(石油換算)から、2040年(平成52年)には19,276百万トンまで増加する。現在、一次エネルギー消費の82%は石油、石炭、天然ガスなど化石燃料であるが、今後の増分も7割以上が化石燃料によってまかなわれる。一方、再生可能エネルギーの2040年までの増分は石油換算で1,120百万トンになる。その結果、世界の発電量は2040年には40,000TWh(テラ・ワット・アワー)に達するが、再生可能エネルギーがその22%をまかなうようになる。 現状のままだと、世界の温室効果ガス排出の6割を占めるエネルギー起源二酸化炭素排出は増加の一方で、2050年(平成62年)には2012年(平成24年)より44%多い47.0Gtに達する。もし、技術進展ケースをたどったとすると、今後は大幅な増加はなく横ばいから微減で増加する。しかし、これでも温室効果ガス排出量を2050年に現状に比べ半減させるという目標にはほど遠い。
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IEC
国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)のこと。1906年(明治39年)に設立された民間法人で、当時アメリカ、イギリス、イタリア、オーストリア、オランダ、カナダ、スイス、スペイン、ドイツ、日本、ハンガリー、フランス、ベルギーの13ヵ国が参加。1947年(昭和22年)以降はISOの電気・電子部門を担当し、電気および電子技術分野の国際規格の策定を行っている国際標準化機関である。本部はスイスのジュネーブに置かれている。 IECは電気および電子技術分野における標準化および適合性評価等に関する国際協力、国際理解を促進し、これによって国際貿易の振興および利用者の利便性の向上に寄与することを目的としている。 2001年(平成13年)に環境諮問委員会の勧告に基づき、環境方針が定められた。2004年(平成16年)10月には、環境に関する規格づくりのためにTC111を設置した。ここでは、2006年(平成18年)8月現在、三つのワーキンググループ、「WG1;製品中の材料物質組成開示(Material Declaration)」、「WG2;環境配慮設計(Environmentally Conscious Design)」、「WG3;有害物質測定法(Test Method of Hazardous Substances)」が活動している。 2011年(平成23年)以降では、TC117(太陽熱発電)、TC118(スマートグリッドインターフェース)、TC119(プリンテッドエレクトロニクス)、TC120(電気エネルギー貯蔵システム)等が設立されている。 IECには、2015年(平成27年)5月現在、83ヵ国が加盟しており、日本からは日本工業規格(JIS)を調査・審議している日本工業標準調査会(JISC)が代表機関として登録されている。一国一機関が原則となっているため、IEC関係の国際会議への出席はすべてJISCが窓口となって調整を行っている。
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ILEC
国際湖沼環境委員会(International Lake Environment Committee)のこと。1984年に滋賀県大津市で開催された「世界湖沼環境会議」において、国連環境計画(UNEP)のM・K・トルバ事務局長が提言した「国際滋賀委員会」の設置を受け、当時の滋賀県が中心になり1986年(昭和61年)に設立された団体。 世界の湖沼環境の健全な管理と、これと調和した持続的開発の在り方を求めて国際的な知識交流と調査研究推進を図る機関。湖沼環境問題に関する世界中の著名な研究者、政策・計画の専門家13名(2015年現在)からなる「科学委員会」を有し、その助言のもとに活動を行っている。(http://www.ilec.or.jp/jp/wlc参照)
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IPCC
IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)「気候変動に関する政府間パネル」は、世界的な大洪水、干ばつ、暖冬などの異常気象が続いたことがきっかけとなり、国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)によって、1988年(昭和63年)11月に設立された政府間機関である。2021年(令和3年)現在、195の国と地域が参加している。 気候変動のうち、特に地球温暖化問題に関する科学的知見、環境・社会経済に与える影響、および対応策を検討すること、気候変動枠組条約の交渉と実施に関して科学的な助言を与えることを目的としている。 三つの作業部会とタスクフォースからなっている。「第1作業部会」は、気候システムおよび気候変化の自然科学的根拠についての評価、「第2作業部会」は、気候変化に対する社会経済及び自然システムの脆弱性、気候変化がもたらす好影響・悪影響、ならびに気候変化への適応のオプションについての評価、「第3作業部会」は、温室効果ガスの排出削減など気候変化の緩和のオプションについての評価、「温室効果ガス目録に関するタスクフォース」は、温室効果ガスの国別排出目録作成手法の策定、普及および改定をそれぞれ行っている。 これまで1990年(平成2年)、1995年(平成7年)、2001年(平成13年)、2007年(平成19年)に評価報告書を発表しており、最近では第5次評価報告書が2013年(平成25年)から翌2014年にかけて公表された。第6次評価報告書は2022年(令和4年)に出される予定である。
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ISO
国際標準化機構(International Organization for Standardization)の頭文字IOSの順序を変えてISO(ラテン語でisoは「等しい」という意味)という。 1947年(昭和22年)スイスに設けられた民間法人で、本部はジュネーブにある。各国の代表者で構成される技術委員会(Technical Committee)によって運営されている。国家間の製品やサービスの交換を助けるため、機械、鉄鋼、自動車、繊維、化学、情報処理、銀行業務など電気・通信分野を除くあらゆる分野の国際規格を開発し、発行する機関。 身近なものとして、ISOネジと呼ばれるネジ関連規格、写真フィルムの感光度、非常口のシンボルマークなどがあげられる。有名なものに、品質管理及び品質保証の規格としてISO9000シリーズ、環境マネジメントの規格としてISO14000シリーズ、リスクマネジメントの規格としてISO/IECガイド72等がある。 ISOの前身は、第一次世界大戦終了後の1926年(昭和元年)、各国が自国の標準化の情報交換を始めたことを契機に発足した国家規格協会(International federation of the National Standardizing Associations,ISA)である。 ISOには2014年(平成26年)12月現在、165ヵ国が会員として加入している。一国一機関が原則となっているため、日本からは日本工業規格(JIS)を調査・審議している日本工業標準調査会(Japanese Industrial Standards Committee,JISC)が代表機関として加盟している。 電気分野の国際標準化に関しては、国際電気標準会議(IEC)が担当しているが、1987年(昭和62年)からは共同作業を行うようになっている。 通信分野に関しては、電気通信標準化セクタ(TSS)と密接な協力関係にある。
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ISO/IECガイド
国際標準化機構(ISO)および国際電気標準会議(IEC)が、発行するガイドで、製品認証や校正・試験、検査、マネジメントシステム審査登録などを実施する適合性評価機関が満たすべき用件や手順が規定されている。 たとえば、ISO/IECガイド25には、試験・校正機関を対象とした国際規格が規定されている。 また、ISO/IECガイド58には、試験所認定制度を運営する機関について、必要な一般要求事項が規定されている。
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ISO/TC207
環境管理の国際規格づくりを検討するために、ISOが設置した環境マネジメント専門委員会である。TCはTechnical Committeeの頭文字。 国際的な地球環境問題への関心の高まりのなかで、1991年(平成3年)6月に開催された「持続可能な開発のための産業人会議(Business Council for Sustainable Development,BCSD)」から依頼を受けたことが、この委員会設立のきっかけとなった。 この委員会には、「環境マネジメントシステム」、「環境監査」、「環境ラベル」、「環境パフォーマンス評価」、「ライフサイクルアセスメント」の5分科委員会(SC;Subcommittee)と「用語」に関する用語整理部会(TCG;Terminology Coordination Group)ならびに「環境コミュニケーション」、「気候変動」、「温室効果ガスに係る検証・認証機関に対する要求事項」、「環境側面の製品規格への導入」の4作業部会(WG;Working Group)が設置されている。 最近では、第217回会議が、2014年(平成26年)5月に、パナマのパナマシティで開催され、39ヵ国、10機関より245名が参加した。
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ISO14000シリーズ
企業、会社、事業所、官公庁などの組織が地球環境に配慮した事業活動を行うことができるように、国際標準化機構(ISO)によって1996年(平成8年)に発行された環境に関する国際規格のこと。 組織が法の遵守はもちろんのこと、さらに、環境に対する負荷を減らしていくための努力目標を自主的に設定し、そのための人材教育やシステム構築を行った結果を認証機関が認定するもので、公害対策のように決められた基準値を守ればよいといった消極的なものではない。 環境マネジメントシステムや環境監査などの組織の環境マネジメントに関する規格と、環境ラベルやライフサイクルアセスメント(LCA)などの製品に関する規格とがある。 2015年(平成27年)7月22日現在の適合組織数は36,378件。
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ISO14001
1996年(平成8年)に発行され、環境マネジメントシステム(Environmental management systems、EMS)を構築するための仕様と利用の手引(Specification with guidance for use)からなっている。 企業や自治体などの組織が、自ら環境方針および目的を定め、その実現のための計画(Plan)を立て、それを実施および運用(Do)し、その結果を点検および是正(Check)し、さらに次のステップを目指した見直し(Action)を行うというPDCAサイクルを確立する。このサイクルを繰り返すことで、環境マネジメントシステムを継続的に向上させ、環境に与える有害な負荷を減少させることをねらっている。 ISO14001には法的拘束力はなく、各組織が自ら定めた環境方針を経済的、技術的に可能な範囲内で達成することによって、地球に対する環境負荷の低減を図っていこうというものである。 ISO14001を認証取得することによるメリットとしては、①地球環境に配慮している企業ということで、企業イメージがアップする、②効率的な省資源、省エネルギーによってコストの削減ができる、③環境問題への迅速な対応、環境リスクの事前回避などがある。 世界の審査登録件数は、ISOによると2010年(平成22年)末で250,972件(前年比12.5%増)。
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ISO14004
環境マネジメントシステムの一般原則(Environmental management systems)と、その運用についてのガイドライン(General guidelines on principles,systems and supporting techniques)について記述している。 企業など組織が環境マネジメントシステムを導入し、実施し、維持・改善するための環境マネジメントシステム全体を概説したもの。したがって、認証規格ではない。
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ISO14015
規格の名称は「環境マネジメント─用地および組織の環境アセスメント」といい、土壌汚染に関する国際規格である。2001年(平成13年)11月に発行された。JIS化(JIS Q 14015)は、2002年(平成14年)8月。 土地取得などの場合に必要となる土壌環境調査(サイトアセスメント)のうち、資料調査および現地視察(フェーズⅠ)等の部分に関して、評価者等の役割や調査手順を標準化している。 したがって、実測調査(フェーズⅡ)や土壌浄化(フェーズⅢ)は含まれていない。
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ISO14064
2006年(平成18年)3月に発行された温室効果ガス排出の測定・報告・検証ガイドラインについての国際規格で、次の三つのパートからなる。 ISO14064-1は、事業者レベルを対象とする温室効果ガスの排出に係る算定、報告についてのガイダンス規格。 ISO14064-2は、プロジェクトレベルを対象とする温室効果ガスの排出量に係る算定、モニタリング、報告についてのガイダンス規格。 ISO14064-3は、温室効果ガスの排出量に係る確認、検証についてのガイダンス規格。 関連する規格として、ISO14065と14066がある。ISO14065は検証機関等の認定のための要求事項が書かれた規格で、発行は2007年(平成19年)4月。ISO14066は検証チームの力量についての要求事項が書かれた規格で、発行は2011年(平成23年)4月。
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ISO19011

規格の名称は、「品質およびまたは環境マネジメントシステム監査のための指針」という。2002年(平成14年)10月に発行された。JIS化(JIS Q 19011)は2003年(平成15年)2月。ISO9001の2000年(平成12年)度版の「内部監査」の参考にあったISO10011-1、-2、-3の監査の指針を改訂するとともに、環境の監査指針であるISO14010、11、12を統合したもの。改訂にあたって、審査員の個人的特質が明確化された。 2011年(平成23年)度に改訂された。主な改正点は、1.第3者(認証審査)が対象から除外され、第1者監査(内部監査)と第2者監査(サプライヤー監査)だけを対象の規格とした 2. 適用範囲をマネジメントシステム全般に拡大した 3.監査員の力量に関する記述を変更した 4.トップマネジメントの役割、責任を明確化した 等である。
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ISO9000シリーズ

経済のグローバル化が進むなか、国や企業によって品質保証の考え方が異なると、物やサービスの自由な流通を妨げることになりかねない。こうしたことから、1987年(昭和62年)、国際標準化機構(ISO)により制定された品質を管理・保証するための規格。 ISO9000シリーズは、イギリス規格協会のBS5750をベースにしてつくられている。 日本では、これを基準に1991年(平成3年)10月、JISZ9000シリーズがつくられた。 この規格の特色は、供給者と消費者の双方で品質保証と品質管理を評価し、消費者の満足度を向上させる仕組みになっていることである。製品、材料、または工程についての技術的な仕様を規定するものではないので、業種を問わずに一般的に適用できる指針となっている。 ISO9000シリーズの審査登録を受けることによって、その企業の品質システムが一定の基準に達していると保証され、国際市場のパスポートを手に入れたことになる。 2000年(平成12年)に大幅な改訂が行われ、品質マネジメントシステム規格に変更された。 全世界の認証件数は2011年(平成23年)12月末現在、約111万件、日本の認証件数は56,912件。
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IUCN
自然及び天然資源の保全に関する国際同盟(International Union for Conservation of Nature and Natural Resources)のこと。略称は国際自然保護連合という。 1948年(昭和23年)に設立され、本部はスイスのグランに置かれている。我が国は1995年(平成7年)6月に国家会員として加盟。環境省は政府機関会員として1978年(昭和53年)9月に加盟。その他、非政府機関会員として20団体が加盟。2012年(平成24年)11月現在、91カ国、127の政府機関、903の非政府機関、44の協力団体が会員になっている。 ICUNの目的および活動のうち、主なものは次のとおりである。 (1)自然及び天然資源の保全に関わる国家、政府機関、国内及び国際的非政府機関の連合体として、全地球的な野生生物の保護、自然環境・天然資源の保全の分野で専門家による調査研究を行い、関係各方面への勧告・助言、開発途上地域に対する支援等を実施している。 (2)特に、ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)と、ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)とは関係が深い。ワシントン条約については、附属書改正提案の検討に際し、締約国の意思決定に資する科学的な情報提供を行っている。また、ラムサール条約においては、事務局業務を行っている。 IUCNには専門委員会として、世界中の生物多様性の保護に取り組む専門家からなる種の保存委員会、世界保護地域委員会、生態系管理委員会、教育コミュニケーション委員会、環境経済社会政策委員会、環境法委員会の6つがある。 IUCNが2014年(平成26年)11月17日に公表した最新のレッドリストで、カラスフグやアメリカウナギとともに太平洋クロマグロを絶滅危惧種に指定した。 出典:外務省http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/kikan/iucn.html 国際自然保護連合http://www.iucn.org/
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JAB
JAB(The Japan Accreditation Board for Conformity)は日本適合性認定協会の略称。 わが国唯一の純民間で非営利の品質マネジメントシステムおよび環境マネジメントシステムの認定機関である。 前身の日本品質システム審査登録認定協会は1993年(平成5年)11月に、関係団体による基本財産拠出の協力を得て財団法人として設立され、1993年(平成5年)12月より運営を開始した。その後、環境その他の分野に対応するため1996年(平成8年)6月に現在の名称に変更し、2010年(平成22年)7月に公益財団法人に移行している。 審査登録機関、認証機関、試験所等の認定および登録、審査員研修機関の認定および登録、製品認証機関の認定および登録、適合組織(品質マネジメントシステム、環境マネジメントシステム)等の公表、海外との相互承認の推進、調査および研究、普及・啓発活動など適合性評価制度に関わる事業を行っている。 JISCとともにISOの適合性評価委員会(CASCO:Committee on conformity assessment)に代表を送っている。
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JCLA
日本化学試験所認定機構(Japan Chemical Laboratory Accreditation)のこと。計量法第121条に基づき、特定計量証明事業者の認定審査を行う指定機関として、1998年(平成10年)に設立された。 社団法人日本化学工業協会の下部機関であり、化学関連分野の試験所認定を行っている。認定範囲を、環境(測定)のほか、プラスチック、ゴム、塗料、石油、その他の化学製品としており、試験方法は国際規格、国内規格、業界規格のほかに、インハウス(企業内)試験方法も対象にしている。環境の技能試験の開発については、社団法人日本環境測定分析協会などが協力している。
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JISC
日本工業標準調査会のこと。Japanese Industrial Standards Committeeの略称。1949年(昭和24年)に制定された工業標準化法に基づいて経済産業省に設置されている審議会。工業標準化全般に関する調査・審議を行う他、工業標準化の促進に関し、関係各大臣の諮問に応じて答申し、また関係各大臣に対し建議する役割を持つ。具体的には、日本工業規格(JIS)の制定や改正等に関する審議を行ったり、工業標準、JISマーク表示制度、試験所登録制度など工業標準化の促進に関して関係各大臣への建議や諮問に応じて答申を行うなどの機能を持っている。JABとともにISOの適合性評価委員会(CASCO:Committee on conformity assessment)に代表を送っている。 JISは、2015年(平成27年)3月末現在で、10,599件が制定されている。最近では2014年(平成26年)に繊維製品の洗濯表示に関するJIS が制定されたほか、10 件の制定および29 件の改正が行なわれている。
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JNLA
試験事業者認定制度(Japan National Laboratory Accreditation System)のこと。1997年(平成9年)9月に施行された改正工業標準化法(JIS法)に基づく試験所認定制度をいう。 JNLAの業務は、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)が国際ルールに基づいて行っている。 試験所認定制度とは、試験を行う事業者が信頼できる試験結果を出す能力があるかどうかを第三者機関が認定する制度である。この制度を運用することで、日本の試験事業者が行う試験の信頼性を国際的なものに高め、一度の試験(One Stop Testing)で、国際取引を可能にすることが目的の一つである。 2004年(平成16年)に、工業標準化法が一部改正されたことにより、それまでの認定制が登録制に変更された。 同時に、認定対象の試験の範囲が指定商品以外の鉱工業品に限定されていたのが、JISで定めるすべての鉱工業品に広げられた。 登録された試験事業者は、試験結果に特別なロゴをつけた報告書を発行することができる。
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KES・環境マネジメントシステム・スタンダード
環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001は、維持・管理するのに費用がかかりすぎること、内容が高度すぎることなどから、特に規模が小さい事業所にとっては負担が大きいシステムといえる。 そこで、ISO14001の基本コンセプトを活かしつつ、中小企業などが簡単で取り組みやすい低コストでシンプルなシステムをということで、「京(みやこ)のアジェンダ21フォーラム」がこのシステムを策定した。 Kyoto Environmental Management Systemの頭文字を取ってKESという。 認証は2001年(平成13年)5月に開始され、その後、2003年(平成15年)5月より、「おおつ環境フォーラムOES」、「こうべ環境フォーラムKEMS」など9団体が審査・登録活動に加わった。その後しだいに増えて、 2015年(平成27年)現在、それらを含め21の機関が加わっている。また、登録事業者は4,000を超えている。 このシステムの特徴は、企業、自治体、学校、家庭等、規模や業種を問わずに取り組めることである。同様の考え方の環境マネジメントシステムとして、エコアクション21やエコステージなどがある。
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K値規制
K値とは、一つのばい煙発生施設から排出されたイオウ酸化物が拡散し、地上に到達したときの最大着地濃度を定数化したものである。 ばい煙発生施設が多数設置されている地域においては、地域全体の濃度規制では有効な対策とはなりえなかった。これを解決するために、1968年(昭和43年)6月に制定された大気汚染防止法において、このK値規制が導入された。 K値規制は、個々のばい煙発生施設の煙突の高さに応じて、イオウ酸化物の許容排出量を定める規制方式で、具体的には、地上の濃度が一定以下になるように基準式の定数Kを地域のばい煙発生施設の集合度などによって決定し、実際の規制の進みぐあいと環境の汚染濃度とを見比べながら順次規制を強化し、目標年次までに環境基準の達成を図ろうというものである。 1996年(平成8年)現在、Kの値は、日本全国を121の地域に区分し、それぞれの地域をランク1(K値:3.0)からランク16(K値:17.5)までに分類して、各施設から排出されるイオウ酸化物の排出規制をしている。 イオウ酸化物の許容排出量Q(Nm3/h、Nは標準状態)は、次の式で表される。 Q=K×10-3×He2 K:地域ごとに定められた定数 He:補正されたばい煙排出口の高さ(煙突実高+煙上昇高、単位m) 発生源が集合している地域においては、施設ごとのK値規制では環境基準の達成が困難であるので、国が総量規制地域としての指定(2015年現在24地域)を行う。当該都道府県知事は地域全体での排出許容総量を算出し、総量削減計画を作成するという、いわゆる総量規制がとられている。
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LCA
LCA(Life Cycle Assessment)はライフサイクルアセスメントの略称。 製品やサービスについて、原材料採取から原料製造、部品製造、最終製品生産、流通、販売、使用、廃棄まで、全ライフサイクルを通じて、環境への負荷がどの程度あり、最終的にどの製品やサービスが環境への影響が最小なのか見極めようとする手法。 投入されるエネルギー量、材料の使用量、排出される二酸化炭素量などの数値を使って表される。最近は循環型社会構築のため、再利用まで広げられるようになってきている。 この手法を用いると、各過程およびトータルの環境負荷が定量的に把握できるので、環境負荷を効果的に削減することができる。 1997年(平成9年)、国際標準化機構(ISO)から、ISO14040シリーズとして発行されており、最近、欧米に製品を輸出する場合に求められるケースが増えてきている。
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LOHAS
Lifestyles of Health and Sustainabilityの頭文字をとったもので、「ロハス」または「ローハス」という。健康的で持続可能な生活スタイルの意味。 アメリカの社会学者であるポール・レイと心理学者のシェリー・アンダーソンが、研究結果を基に新しいライフスタイルの人たちが増えていると1998年(平成10年)に発表したのが最初といわれている。 1970年代から続いた大量生産、大量消費は生活を便利にしたが、地球温暖化や、オゾンホールの拡大など深刻な地球環境問題を引き起こした。この反省から、地球環境への負荷が小さく、健康を重視するライフスタイルである「ロハス」が生まれた。 「日米合同LOHAS消費者調査2005」によると、現在の日本人の29%がロハス層ということである。 太陽光発電をはじめとする環境配慮型住居、ハイブリッド車、有機食品、サプリメントなどをロハス関連商品と呼ぶ。
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MOX燃料
原子炉でウラン燃料を使用すると、プルトニウムが生成され、その量がしだいに増えていく。 使用済みのウラン燃料から、残ったウランと生成したプルトニウムを再処理工場で取り出し、それらを混合して燃料に使うのがウラン・プルトニウム混合酸化物(Mixed Oxide)燃料、つまりMOX燃料である。したがって、ウランの燃えかすをリサイクルした燃料といえる。 MOX燃料を通常の原子力発電所(軽水炉)で使用することをプルサーマルという。 日本では、1997年(平成9年)にプルサーマルを早急に開始することが必要であるという閣議了承がなされた。それを受け、電気事業者は国とともに、2010年(平成22年)には16~18基の原子力発電所でプルサーマルを実施するとの具体的な計画を発表している。 2006年(平成18年)までに、プルサーマル導入で国の安全審査を通過したのは、関西電力の高浜3、4号機、東京電力の福島第一3号機と柏崎刈羽3号機、九州電力玄海3号機、四国電力の伊方原発3号機の計6基である。 しかし、現在まで福島第一の3号機、九州電力玄海3号機、関西電力高浜3号機でしか実施されていない。2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに伴って発生した津波により、福島第一の4つの原子炉すべてが壊滅し、今後数十年かけて廃炉される。その影響で2015年(平成27年)8月現在、他の原子炉も安全審査が終わるまで運転をストップしている。 海外では、フランス、ドイツ、ベルギーなどを中心に30を超える発電所ですでに使用されている。 また、プルトニウムを含んでいるため、核兵器への転用が懸念されているが、これにはその原料になるプルトニウム239はわずかしか含まれておらず、90%以上の純度を必要とされる核兵器への転用は不可能といわれている。 核燃料を再利用できる点は優れているが、MOX燃料の加工コストはウラン燃料の1.5~2倍といわれている。
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MSDS制度
MSDSはMaterial Safety Data Sheet(化学物質等安全データシート)の略称。 1999年(平成11年)7月に公布、2001年(平成13年)1月に施行された「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化学物質排出把握管理促進法、化管法、PRTR法ともいう)」の二本の柱、PRTR制度とMSDS制度の一つ。 PRTRはPollutant Release and Transfer Register(汚染物質の廃棄および移動についての登録制度)の略したもの。 この化管法は、有害性のあるさまざまな化学物質を事業者が環境中へ排出する量を国が把握し、情報公開することなどにより、化学物質を取り扱う事業者の自主的な化学物質の管理の改善を促進し、化学物質による環境の保全上の支障が生ずることを未然に防止することを目的としている。 この法律が対象とする化学物質は、人の健康や生態系に有害なおそれがあるなどの性状を有するもので、環境中に存在している量によって「第一種指定化学物質」と「第二種指定化学物質」の二つに区分されている。 「第一種指定化学物質」は、PRTR制度とMSDS制度双方の対象物質であり、354物質が指定されている。 「第二種指定化学物質」は、MSDS制度のみの対象物質で、81物質が指定されている。 PRTR制度は45業種が対象であり、従業員数、対象化学物質の年間取扱量で決められた条件に合う事業者が対象である。この事業者には、環境中への排出量および廃棄物としての移動量についての届け出が義務づけられている。 提出されたデータは、県を経由して国(各業種の所管大臣)に集められ、集計されたのち、その他の発生源(家庭、農地、自動車など)からの排出量とあわせて公表される。 2004年(平成16年)度、排出量が多かった物質は、①トルエン(190,758トン/年)、②キシレン(120,541トン/年)、③エチルベンゼン(32,865トン/年)、④塩化メチレン(24,772トン/年)、⑤直鎖アルキルベンゼンスルホン酸およびその塩(19,532トン/年)であった。 他方、MSDS制度はPRTR制度のような条件がなく、指定化学物質等を取り扱っているすべての事業者が対象となる。 事業者が指定化学物質やそれを含む製品を、他の事業者に出荷する際に、その相手方に対して化学物質等安全データシートを交付することにより、成分や性質、取り扱い方法などに関する情報を提供することになる。 したがって、この制度によって、事業者から事業者へ有害性の情報が確実に伝達されることになる。 なお、MSDS制度については、この法律とは別の観点から、労働安全衛生法および劇毒物取締法にも規定されている。 MSDSは国際的な整合性を保つため、2012年(平成24年)度からSDS(Safety Data Sheet :安全データシート)に統一された。
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NEPA
アメリカのNational Environmental Policy Act(国家環境政策法)のこと。1969年(昭和44年)に制定され、1970年(昭和45年)1月1日に施行された。 この法律は、国家政策における環境問題との関連について、広範囲な原則と目標、そして連邦政府機関が従うべき手続きについて規定している。この法律によって、連邦政府が行うあらゆる施策について環境影響評価を実施し、環境影響評価書(Environmental Impact Statement: EIS)と呼ばれる報告書を作成しなければならなくなった。 この影響を受けて、 日本では環境影響評価法(アセス法)が1997 年(平成9年)に制定されるなど、世界各国の環境アセスメント(EIA)制度導入のきっかけとなった。 この法律が生まれた背景として、レイチェル・カーソンによる「沈黙の春」が1962年(昭和37年)に出版され、その後、アメリカで環境保護運動が盛んになったことなどがあげられる。
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NGO
NGOとは、政府とは無関係な、国際協力に携わる市民ボランティア組織Non-Governmental Organization(非政府組織)のこと。民間公益団体とか非政府機関ともいう。 このNGOという用語はもともと国連憲章のなかで使われたのが始まりで、一般に、開発、環境、人権、平和など、地球規模の問題に取り組んでいる地域、国家あるいは国際レベルで組織された非営利、非政府の民間組織のことを指す。日本での活動は、1960年代から始まり、1980年代に盛んになった。 その中で、特に環境問題を扱っている組織を環境NGOと呼んでいる。 環境保全のためには、政府による強制や事業だけでなく、このような民間の自主的な活動も必要だからである。 2000年(平成12年)現在、日本全国で環境NGOの数は4,132団体に達している。設立された時期をみると、1980年代の1,001団体をピークとして、近年は減少傾向にある。 活動分野は森林の保全・緑化、自然保護、大気環境保全、水環境保全、砂漠化防止、リサイクル・廃棄物、消費・生活、環境教育、地域環境管理、地球温暖化防止など多岐にわたっている。 環境NGOが国際的に注目されだしたのは、1972年(昭和47年)、ストックホルムでの第1回国連人間環境会議において、欧米を中心に多数の団体が参加して集会や展示会が開かれてからである。 日本の環境NGOは昭和40年代に反公害住民運動として活動が始まり、地方公共団体や国の環境行政を前進させるきっかけともなった。ただ、欧米に比べると規模が小さく、専門的な知識や技術を持つスタッフや資金が少ない。 そのため、民間の環境保全活動の支援を目的の一つとする環境事業団(当時、現在は環境再生保全機構)は、1993年(平成5年)に「地球環境基金」を発足させてサポートしている。 NPO(民間非営利組織)とは非政府、非営利という点で共通するので、日本では同じ意味で用いられることが多い。
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NPO
NPOとは、民間非営利組織、Non-Profit Organizationのこと。組織形態、活動内容等の異なるさまざまな組織体を含む。 NPOとは、もともとはアメリカの民間非営利組織のことを指し、登録によって非営利法人格を取得し、さらに内国歳入庁の非課税免税組織の規定に合致していると認定されたものをNPOといっている。 NPOに関してこの規定では、収益を上げてもいいが個人に収益を配分してはならないと規定しており、これが“非営利”の基本的な考えとなっている。 わが国における民間非営利組織として、民法の公益法人などはかなり古い歴史を持っているが、NPOの名のもとに市民活動団体、ボランティア団体、NGO(Non-Governmental Organization)などの活動が注目され始めたのは1980年代になってからである。その後、NPOは経済活動の新しい主体となって、量的にも質的にも比重を増してきている。 また、1998年(平成10年)3月には、特定非営利活動促進法(NPO法)が成立し、同じ年の12月に施行された。 この法律は、市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進することを目的としており、その対象団体の一つに環境保全活動団体もあげられている。
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OECD環境政策委員会
OECDとは、経済協力開発機構、Organization for Economic Cooperation and Developmentのこと。ヨーロッパ諸国を中心に日・米を含め30ヵ国の先進国が加盟する国際機関で、1961年(昭和36年)に発足した。 OECDは国際マクロ経済動向、貿易、開発援助といった分野に加え、環境問題にも活発な活動を展開し、1970年(昭和45年)に環境委員会を設置した。 その後、気候変動等の環境問題への関心が高まったことなどがあり、1992年(平成4年)にこの委員会は環境政策委員会(Environment Policy Committee,EPOC)と名称を変更している。委員会はOECD加盟国で構成されている。 環境政策委員会の常設下部組織は何度か改編されており、現在は次のとおりである。 ①気候・投資・開発作業部会(WPCID):気候変動、貿易・投資等グローバルな環境問題 ②環境政策・経済政策統合作業部会(WPIEEP):環境税、家庭の行動、環境コンプライアンス、エコイノベーション等 ③環境保全成果作業部会(WPEP):環境政策の成果に関する国別レビュー ④生物多様性・水・生態系作業部会(WPBWE):生態系サービスへの支払い(PES)、生物多様性オフセット、窒素サイクル等 ⑤環境情報作業部会(WPEI):統計整備、指標開発 ⑥資源生産性・廃棄物作業部会(WPRPW):持続可能な物質管理、拡大生産者責任、ナノ物質含有廃棄物、物質フロー分析等 ⑦化学品・農薬・バイオ技術作業部会(WPCPB):化学品データの相互受入れ、テストガイドライン、優良試験所基準等 さらに、この下にいくつかのワーキング・グループがある。
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PBB
ポリ臭素化ビフェニルのこと。これには臭素数が1から10のものがあり、白色の固体でPBBと省略される。アセトン、ベンゼンなど有機溶媒に溶ける。 ABS樹脂、ポリウレタンフォームなどの添加剤や難燃剤として使用されたが、発ガン性が認められており、国内では現在、製造、輸入は行われていない。 アメリカのミシガン州で1973年(昭和48年)、家畜の飼料に混入する事件があった。汚染された牛乳や肉を摂取した人に記憶力の減退、抑うつなど広範な中枢神経症状や骨格筋系の症状が現れた。 水質汚濁防止法の要調査項目(300物質)に登録されている。 また、1998年(平成10年)の環境庁(現在の環境省)による内分泌かく乱化学物質調査暫定基準表に掲載されており、その疑いが指摘されている。 EU(欧州連合)において2006年(平成18年)7月から実施されたRoHS(電気電子機器の有害物質使用制限)指令で、原則使用禁止となった。また、WEEE指令では2005年(平成17年)8月以降に販売される製品について、メーカー各社が自社製品について回収・リサイクルコストを費用負担することとなった。
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PBDE
ポリ臭化ジフェニルエーテル(Polybrominated diphenyl ether)のことでPBDEと省略される。プラスチック類の難燃性を高めるために最も一般的に使用されていた。ダイオキシンと構造が似ており油や油脂によく溶けることから、人体への蓄積性が高く、肝臓や甲状腺への毒性や神経発達毒性があるとされている。また、内分泌かく乱化学物質の疑いがもたれている。PBDEは PCBやダイオキシン類などとともに残留性有機汚染物質(POPs)の一種である。 EU(欧州連合)において2006年(平成18年)7月から実施されたRoHS(電気電子機器の有害物質使用制限)指令で、原則使用禁止となった。
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PCB
Polychlorinated biphenylの頭文字をとって一般にPCBといわれ、ポリクロロビフェニル、ポリ塩素化ビフェニル、塩素化ビフェニル、塩素化ジフェニルとも呼ばれる。異性体の一つであるコプラナーポリ塩化ビフェニル(Co-PCB)は毒性が非常に強く、ダイオキシンに似ていることから、わが国ではダイオキシン類に分類される。 ドイツのシュミットとシュルツによって、1881年(明治14年)に初めて合成され、1929年(昭和4年)に生産が開始された。 商品名はアロクロール、カネクロールという。市販品は塩素数、置換位置の異なったものの混合物である。 日本では、1954年(昭和29年)に生産が始まり、1972年(昭和47年)に中止されたが、その間に約6万トンが生産された。 熱に対する安定性、電気絶縁性に優れ、トランス油、コンデンサー、熱交換機の熱媒体、ノンカーボン紙に用いられ、これらの製造過程や製品の廃棄によって土壌等の環境中に放出された。 1974年(昭和49年)に施行された「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」によって、製造、輸入および新たな使用が原則的に禁止されているが、難分解性であるため、現在でも多くの環境試料中で検出されている。 回収されたPCBはほとんどがそのままの状態で長期間保管管理されていたが、2001年(平成13年)6月に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」が成立した。 この結果、保管されているPCBを2016年(平成28年)7月までに処分することが義務づけられた。しかし、法律施行後に大量のPCBが存在することが分かり、処理期間が2027年(平成39年)3月まで延長された。その後、これでは余りに長すぎるので地区により異なるが2023年(平成35年)前後に処理を終える義務が課されている。 PCBは脂溶性であるため、食物連鎖による濃縮が起こり、人の健康にまで被害を与える。中毒性があり、その症状は、吐き気、無気力、皮膚への色素沈着、皮膚障害、消化器障害、肝障害などである。生体内では、脂肪組織に蓄積する。さらに、胎盤や母乳を通じて胎児や乳児にも被害が及ぶ。 人体の分析結果では、母乳は0.001~0.7ppm、脂肪組織は0.1~18.04ppmという報告がある。魚介類については、0.01~1ppmであるが、水中から水生生物への濃縮蓄積性はきわめて高く、数万倍に達したという報告もある。 1968年(昭和43年)に起こったカネミ油症事件では加熱パイプにできたピンホールから、米ぬか油のなかにPCBが混入し、気づかずに販売したため、多くの中毒患者が発生した。 PCBについての法規制は次のように定められている。 ①水質汚濁に係る環境基準のうち、人の健康の保護に関する環境基準(健康項目)の項目として1975年(昭和50年)2月に加えられ、PCBとして「検出されないこと」と定められている。 ②水質汚濁防止法では、1975年(昭和50年)2月にポリクロリネテッドビフェニルの名称で有害物質と定められ、排水基準がPCBとして0.003mg/l以下、また、地下水浸透規制の評価基準としては「検出されないこと」と定められている。 ③下水道法において、特定事業場から下水道へ下水を排出する際に、0.003mg/l以下に制限されている。 ④2001年(平成13年)に改正された環境庁(現在の環境省)告示による土壌の汚染に係る環境基準では検出されないことと定められている。 ⑤2003年(平成15年)2月施行の土壌汚染対策法では、第三種特定有害物質に指定し、土壌溶出量基準、地下水基準ともに検出されないことと定められている。 コプラナーポリ塩化ビフェニルは、他のダイオキシン類であるポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDD)とポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)とともに、2001年(平成13年)5月に採択され、2004年(平成16年)5月に締結された「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」で、残留性有機汚染物質(POPs)に指定されている。 測定法は土壌の場合、水酸化カリウムのエタノール溶液を加え還流加熱した試料をガスクロマトグラフ法により定量する。
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PDCAサイクル
PDCAサイクルはマネジメントサイクルの一つで、PDCAはPlan、Do、Check、Actionの頭文字。 このサイクルはウイリアム・E・デミングが提唱したのでデミングサイクルともいわれ、ISO規格だけでなく、品質やコストの管理など、一般の仕事の進め方の基本として広く用いられている。 ISO14001規格に記述されている環境マネジメントシステムのモデルでは、「環境方針」、「計画」、「実施および運用」、「点検および是正処置」、「経営者による見直し」から構成される。 PDCAサイクルを用いる目的は、企業の環境に対する取り組みが、このサイクルを繰り返すことによって、らせん状にしだいに向上することにある。すなわち、計画が立てられ(P)、実施され(D)、点検され(C)、見直しされ(A)、それが次の環境方針や環境マネジメントプログラム(環境計画)に反映される。そして、サイクルを継続的に繰り返すことで、システムの改善を図るとともに、環境への負荷を低減していくという仕組みである。
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PFAS
PFASは4700種を超える有機フッ素化合物の総称をいう。PFASとは、perfluoroalkyl substances and polyfluoroalkyl substances(ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物)の略称。PFASsともいう。
PFASのうち、ペルフルオロオクタン酸(PFOA:perfluorooctanoic acid) 、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS:perfluorooctanesulfonic acid)などの物質は、水や油をはじき、耐熱性があることからフライパンのコーティング材や消火剤として使用されてきた。
これらPFOAやPFOSなどは環境や人体への影響が懸念され、我が国では法令で2021年までに製造と輸入を禁止した。
ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)については、PFOS及びPFOAと同様の性質を持ち、その代替品としてこれまで使用されていたが、環境省は2023年11月28日にこれの製造および使用の禁止を決めた。PFHxSについては化審法を改正し、第一種特定化学物質に指定し、2024年2月1日から製造、輸入、使用が禁止された。また、PFHxSを使用している製品は2024年6月1日から輸入禁止となった。
PFASは自然界で分解されにくく、河川や地下水に蓄積しやすく、これを飲料に用いている地域では、人体への毒性が心配されている。環境省が2021年度に実施した河川や地下水の調査では、31都道府県のうち13都道府県81地域で暫定的な目標値*を上回る高い数値が出た。これを踏まえて、地下水からPFOSやPFOAが検出された自治体では、住民に井戸水を飲まないよう指導を始めている。

*我が国の水道水の暫定目標値は、2020年4月にPFOSやPFOAの合計値が50pptに設定されている。
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pH
水素イオン指数または水素イオン濃度指数ともいう。水素イオンのモル濃度[H+]の逆数の常用対数値で示す。 pH=log10(1/[H+]) pHは水溶液の酸性、アルカリ性を表す基準で、pH=7で中性、pH<7では酸性、pH>7ではアルカリ性である。ちなみに水道水のpHの基準は5.8~8.6である。 pHは比色法でも測れるが、この方法は誤差が大きいので、一般には、ガラス電極pH計で測定する(JISZ8802、pH測定方法)。
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PIC条約
PIC条約(The Rotterdam Convention on the Prior Informed Consent Procedure for Certain Hazardous Chemicals and Pesticides in International Trade)はロッテルダム条約ともいわれるが、正式名称は「国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意の手続に関するロッテルダム条約」という。 1992年(平成4年)に開催された国連環境開発会議(地球サミット)において採択されたアジェンダ21に基づき、1998年(平成10年)9月にロッテルダムで採択された。 2004年(平成16年)2月に発効し、2013年(平成25)年8月現在、153ヵ国およびEUが締結している。 この条約は先進国で使用が禁止または厳しく制限されている有害な化学物質や駆除剤が、危険有害性に関する情報が乏しい開発途上国にむやみに輸出されることを防ぐために、締約国間の輸出に当たっての事前通報・同意手続(Prior Informed Consent;PIC)等を規定している。 主な内容は、①特定の化学物質を禁止しまたは厳しく規制するための国内措置をとった締約国は、当該措置を事務局に通報する(第5条)、②条約の附属書Ⅲに掲げられた27種の化学物質の将来の輸入に関する回答を送付する(第10条)、③自国において禁止または厳しく規制された化学物質が自国から輸出される場合には、輸入締約国に対して輸出の通報を行う(第12条)などである。
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PL法
PL(Product Liability)法は製造物責任法ともいわれ、1994年(平成6年)に成立し、翌年に施行された(法律第85号)。 製造物の欠陥により人の生命、身体、財産に係る被害が生じた場合における製造者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図ることを目的とした法律。 この法律における「製造物」とは、製造または加工された動産のことをいう。従来の過失責任から欠陥責任への転換を図った法律で、消費者の立証負担が軽減され、環境法全般に与える影響は大きい。
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PM2.5
浮遊粒子状物質、SPM(Suspended Particulate Matter)のうちの、さらに粒径が2.5μm以下の微小粒子状物質をPM2.5という。。 SPMは1973年(昭和48年)環境庁(現在の環境省)告示25号、「大気の汚染に係る環境基準について」において、大気中に浮遊する粒子状物質(粒子状汚染物質であって、粒径が10μm以下のもの)と定義されている。 浮遊粉じん、エアロゾルなどの浮遊粒子状物質は微小なため大気中に長時間ただよい、肺や気管に沈着して、高濃度でこれら呼吸器に影響を及ぼし、慢性気管支炎など非伝染性呼吸器症状を引き起こすとともに、循環器系への影響が危惧されている。 PM2.5のうち、ディーゼル車から排出される微粒子(DEP)は肺がんなどとの関係が疑われている。最近ではさらに微小な粒径が1µm以下のPM1や超微小粒子といわれる粒径が0.1µm以下のPM0.1は肺の奥深くまで浸入するので、心筋梗塞などを起こす原因になるといわれている。 SPMには発生源から直接大気中に放出される一次粒子と、イオウ酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、揮発性有機化合物(VOC)、オゾン(O3)などのガス状物質として放出されたものが、大気中での光化学反応により粒子状物質に変化する二次生成粒子がある。 その発生源は、工場などから排出されるばいじんやディーゼル車の排出ガスに含まれる粒子状物質などの人為的なものと、火山活動や風による土壌の巻きあげ(たとえば黄砂)など自然発生によるものとがある。 PM2.5に関する大気環境基準は2009年(平成21年)9月に年平均値が15µg/m3以下、かつ1日平均値が35µg/m3以下であることと定められている。 2013年(平成25年)11月に開催された第5回専門家会合において、注意喚起のための暫定的な指針が示された。 浮遊粒子状物質に関する2011年(平成23年)度の環境基準達成率は、一般環境大気測定局で100%、自動車排出ガス測定局で99.5%であった。 大気汚染防止法では、浮遊粒子状物質による大気汚染が著しくなった場合には、都道府県知事は緊急時の措置を講じることができることとしている。 測定方法は、ろ過捕集による重量濃度測定法、光散乱式粉じん計法、圧電天秤法などがある。 2011年(平成23年)度からは、「大気汚染防止法第22条の規定に基づく大気の汚染の状況の常時監視に関する事務処理基準(平成22年3月最終改正)」に基づき、各都道府県、政令指定都市等からPM2.5の自動測定器による測定データが公表されている。また、日本気象協会のホームページ(http://www.tenki.jp/particulate_matter/)で現在から48時間後までのPM2.5の 分布予測を知ることができる。
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PNL
Perceived Noise Levelの略称。感覚騒音レベルともいい、航空機騒音のうるささ(noisiness)の評価法の一つで、K.D.Kryterにより提唱された。PNLは現在、航空機騒音の測定単位としてISOに登録されており、主にジェット航空機騒音の単位として使われる。 航空機騒音は周波数が高いとうるささが増すので、2~4kHzの高音域周波数に重みづけをしたnoy曲線というものを用いる。オクターブ(バンド)ごとのうるささをnoyという単位で表し、各バンドのnoyからPNLを算出する(下表)。 また、騒音計に組み込んで、PNLを直接読み取れるように国際的に規格化され、dB(D)という単位が決められている。

 noy  PNL(dB)
 1  40
 2  50
 4  60
 8  70

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POPs
POPs(Persistent Organic Pollutants)とは残留性有機汚染物質のことで、小文字のsは複数を表す。
化学物質のなかには、毒性が強く、環境中で分解されにくく、生物体内に蓄積しやすく、長距離移動性があるものがあり、これを残留性有機汚染物質という。
このような物質がいったん環境中に排出されると、自然に分解されにくいことから地球全体に移動、拡散し、広い地域の人の健康や環境に長期間にわたって悪影響を及ぼすことになる。
また、環境中の存在がたとえ微量であっても、生物体内に蓄積されやすいことから、食物連鎖によって生物濃縮され、高次の捕食者である鳥類やほ乳類に大きな影響を与えることが危惧(きぐ)されている。
実際、DDT、PCB、ダイオキシン類が、それらの放出に無関係なバイカル湖のアザラシやアラスカのイヌイットの人たちの血液から検出されている。 2001年(平成13年)5月に、スウェーデンのストックホルムで開催された政府間交渉会議で採択された「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」では、アルドリン、エンドリン、ヘプタクロル、ヘキサクロロベンゼン(HBC)、ディルドリン、DDT、クロルデン、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、トキサフェン、マイレックス、ダイオキシン類(PCDDs、PCDFsおよびコプラナーPCBs)の12種類をPOPsに指定している。
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POPs議定書
残留性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants)に関する議定書なので、POPs議定書といわれる。
1979年(昭和54年)に締結され、1983年(昭和58年)に発効した長距離越境大気汚染条約に基づくもので、1998年(平成10年)に採択、2003年(平成15年)に発効した。
ダイオキシンなど残留性有機汚染物質の排出規制、削減、除去について取り決めている。また、ダイオキシンについては1990年(平成2年)のレベル以下に下げることを義務づけている。
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POPs条約
「POPs条約」は2001年(平成13年)5月にスウェーデンのストックホルムで開催された政府間交渉会議で採択された条約。「残留性有機汚染物質条約」とか「ストックホルム条約」ともいわれる。わが国は2002年(平成14年)8月に締結している。この条約は2004年(平成16年)2月に締約国数が50ヵ国に達したこと受け、同年5月に発効した。
2018年(平成30年)12月現在151カ国および欧州連合(EU)が署名、我が国を含む181カ国およびEUが締結している。
残留性有機汚染物質は、Persistent Organic Pollutantsの頭文字をとってPOPsとも省略され、毒性が強く、環境中で分解されにくく、生物体内に蓄積しやすく、長距離移動性があり、人の健康または環境への悪影響を有する化学物質のことをいう。POPsのなかには、ダイオキシンのように廃棄物の焼却時に意図せず生成するものもある。
この条約では、アルドリン、エンドリン、ヘプタクロル、ヘキサクロロベンゼン(HBC)、ディルドリン、DDT、クロルデン、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、トキサフェン、マイレックス、ダイオキシン類(PCDDs、PCDFsおよびコプラナーPCBs)の12種類をPOPsに指定した。
さらに、人の健康と環境を保護するために、PCB、DDT等10物質の製造・使用、輸出入の禁止ないし制限、ダイオキシン等4物質の非意図的生成の削減などについて取り決めている。
このような物質がいったん環境中に排出されると、自然に分解されにくいことから地球全体に移動、拡散し、広い地域の人の健康や環境に長期間にわたって悪影響を及ぼすことになる。
この危険性については、1992年(平成4年)6月の国連環境開発会議(UNCED)で指摘された。これを受けて、国連環境計画(UNEP)と米国国務省の共催で、1995年(平成7年)にアメリカのワシントンで開催された政府間会合で、環境問題に関する「世界行動計画」および「ワシントン宣言」が採択され、上の残留性有機汚染物質12種類を減少させるための早急な枠組みの確立が求められた。その結果、この条約が採択されることとなった。
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ppb
part(s) per billionの略。十億分の1のこと。ppmの1000分の1。
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ppm
part(s) per millionの略。百万分の1のこと。ある量が全体の百万分のいくつあるかを表す無次元量。一般に気体の場合は体積比、その他の場合は重量比で表す。
ただし、水溶液ではmg/kgとmg/lを同一とみなしてmg/lをppmで表す。
したがって、大気中の一酸化炭素濃度が2ppmということは、1m3の大気中に2mlの一酸化炭素が存在しているということであり、排水中の銅が3ppmということは、1kgの排水中に3mgの銅が存在しているということである。
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ppt
part(s) per trillionの略。兆分の1のこと。ppbの1000分の1。
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PRTR
PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)は事業者が規制・未規制に関係なく有害な物質について環境媒体(大気・水・土壌)別の排出量と廃棄物としての移動量を自ら把握し、これを透明、客観的なシステムのもとに集計し公表する制度。「環境汚染物質排出移動登録制度」ともいう。
経済協力開発機構(OECD)は、PRTRをさまざまな排出源から排出または移動される潜在的に有害な化学物質の目録または登録簿と定義しており、1996年(平成8年)、各国にこの制度を導入するよう勧告している。
日本では、1999年(平成11年)、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化学物質排出把握管理促進法、またはPRTR法)」により制度化された。この法律は大きく分けると、①事業者による化学物質の排出量等の把握と届出、②国における届出事項の受理・集計・公表、③ データの開示と利用の3つからなる。
この法律によって、該当の事業者は、2001年(平成13年)4月から化学物質の排出量などを把握しなければならなくなった。また、2002年(平成14年)4月から排出量などの届け出が始まり、2003年(平成15年)3月に環境省および経済産業省は第1回目の集計結果の公表を行った。
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PRTR法
PRTR法は1999年(平成11年)7月に公布、2001年(平成13年)1月に施行された。正式名称は「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」といい、化学物質排出把握管理促進法、化管法ともいわれる。PRTR制度とMSDS制度を二本の柱とする。
PRTRはPollutant Release and Transfer Register(汚染物質の廃棄および移動についての登録制度)、MSDSはMaterial Safety Data Sheet(化学物質等安全データシート)をそれぞれ省略したもの。 MSDS制度は国際整合の観点から2012年(平成24年)度、SDS(Safety Data Sheet)制度に変更された。
この法律は、有害性のあるさまざまな化学物質を事業者が環境中へ排出する量を国が把握し、情報公開することなどにより、化学物質を取り扱う事業者の自主的な化学物質の管理の改善を促進し、化学物質による環境の保全上の支障が生ずることを未然に防止することを目的としている。
この法律が対象とする化学物質は、人の健康や生態系に有害なおそれがあるなどの性状を有するもので、環境中に存在している量によって、「第一種指定化学物質」と「第二種指定化学物質」の二つに区分されている。
「第一種指定化学物質」は、PRTR制度とSDS(MSDS)制度双方の対象物質であり、354物質が指定されていたが、2010年(平成22年)度に462物質に改正された。
「第二種指定化学物質」は、SDS(MSDS)制度のみの対象物質で、81物質が指定されていたが、2010年(平成22年)度に100物質に改正された。
PRTR制度は45業種が対象であり、従業員数、対象化学物質の年間取扱量で決められた条件に合う事業者が対象である。この事業者には、環境中への排出量および廃棄物としての移動量についての届け出が義務づけられている。
提出されたデータは、県を経由して国(各業種の所管大臣)に集められ、集計されたのち、その他の発生源(家庭、農地、自動車など)からの排出量とあわせて公表される。
2013年(平成25年)度、排出量が多かった物質は、①トルエン(89,393トン/年)、②マンガンおよびその化合物(49,932トン/年)、③キシレン(36,069トン/年)、④エチルベンゼン(17,378トン/年)、⑤塩化メチレン(17,241トン/年)、⑥クロム及び三価クロム化合物(16,797トン/年)であった。
他方、SDS(MSDS)制度はPRTR制度のような条件がなく、指定化学物質等を取り扱っているすべての事業者が対象となる。
事業者が指定化学物質やそれを含む製品を、他の事業者に出荷する際に、その相手方に対して化学物質等安全データシートを交付することにより、成分や性質、取り扱い方法などに関する情報を提供することになる。
したがって、この制度によって、事業者から事業者へ有害性の情報が確実に伝達されることになる。
なお、SDS(MSDS)制度については、この法律とは別の観点から、労働安全衛生法および劇毒物取締法にも規定されている。
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RDF
Refuse Derived Fuelの略。家庭から出る可燃性のごみに、生石灰、消石灰などの添加物を加えて固め、燃料にしたもの。廃棄物固形燃料とかごみ固形燃料ともいう。
RDF化することで、貯蔵性、輸送性が良くなり、発熱量がほぼ一定の16,000~20,000kJ/kgになるので、発電所などの燃料として利用しやすくなる。
2003年(平成15年)8月、三重県の三重固形燃料発電所のRDF貯蔵施設で爆発が起こり、消防隊員2人が死亡する事故があった。原因は貯蔵中のRDFが発酵のため高温になり、火災が発生した可能性が高い。
消防庁が全国のRDFの製造施設や貯蔵施設約200ヵ所を調査したところ、53施設で事故(機械設備の事故を含む)が発生していることが判明した。また、燃焼過程や乾燥過程においてダイオキシンが発生することが分かり、2001年(平成13年) に排出規制の対象となった。現在のところRDFの実用化は、特に安全性の点で課題がある。しかし、最近、環境省廃棄物対策課では、ゴミ焼却発電の発電効率が平均12%なのに対して、RDFを発電燃料に使えば熱回収効率は28%、熱利用すれば80%にもなるので、中小都市でのRDFの利用の価値を見直すべきだとしている。
環境省によるとRDFの製造工場は、2014年(平成26年)度現在、全国で52ヵ所存在する。
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RFID
Radio Frequency Identificationの略。
RFIDとは、半導体メモリーを紙やプラスチックでできたカードやタグに貼り付けたり、直接印刷しておいて、電磁誘導や電波でデータを書き込んだり読み出したりできるようにした方式のことをいう。したがって、電波が届く範囲であれば遠くにあっても読み書きが可能である。また、非接触なので、梱包されている複数のタグを同時にスキャンすることが可能である。将来、バーコードに変わって使われることになるといわれている。
0.5mm四方の小さな物まで開発されており、素材の成分などを記録しておけるので、さまざまな機材や部品のリサイクルや廃棄の管理が可能になり、環境の分野でも期待されている。
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RoHS指令
RoHS(Restriction of the use of certain Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment)指令はEU(欧州連合)15ヵ国で、2006年(平成18年)7月から施行された有害物質の使用制限指令で、「電気電子機器の有害物質使用制限指令」ともいわれる。
この指令では、原則として、鉛、カドミウム、水銀、六価クロムおよびポリ臭化ビフェニル(PBB)とポリ臭化ディフェニール(PBDE)の2種類の臭素系難燃剤を使用禁止としている。
この指令はアムステルダム条約95条に準拠して目的を定め、EU各国の自由裁量権を制限するものであり、具体的なことについてはEU加盟各国の国内法に委ねられる。
EU域内において国ごとに使用禁止物質が異なると統一市場が成り立たないので、このような指令に基づき国内法を整備することにより、製品の自由流通を図るというのが目的である。
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RPS法
RPS法は2002年(平成14年)6月に成立、2003年(平成15年)に施行された。正式名称は「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」といい、「電気事業者新エネルギー利用特別措置法」ともいう。
この法律は、電力を一般顧客に供給している事業者に対し、販売量に応じて一定割合の風力、太陽光、地熱、水力、バイオマス、廃棄物など6種類の新エネルギー導入を義務づけるもの。
資源エネルギー庁再生可能エネルギー推進室によると、2015年(平成27年)度の各電気事業者の経過措置利用量は2,980,971,000キロワット時とされている。内訳はここをクリックしてください。
この法律によって、新エネルギーによる電気は「電気の価値」と「新エネルギー環境価値」に分離され、別々に売買できるようになった。
自ら新エネルギーで発電できない場合には、外部から「新エネルギー環境価値」を購入することで義務が果たせる。
2012年(平成24年)7月1日、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行に伴い廃止された。

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SAF
持続可能燃料、Sustainable Aviation Fuelの頭文字でサフという。CO2の排出削減が喫緊の課題である今日、これまで石油由来の燃料を使ってきた航空機も例外ではない。この航空機の新しい燃料として、SAFが最近、大きく注目を浴びている。
SAFの原料は主に植物などのバイオマス由来のものや、飲食店や家庭から排出される食用油などであり、これらはすべて植物が光合成により作り出したものである。したがって、これまでジェット機に使用されていた化石燃料と比較すると、約80%の二酸化炭素排出量を削減することができる。

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SDGs
SDGsとは持続可能な開発目標、Sustainable Development Goalsの頭文字。国連本部で2015年9月25日から27日の間、「国連持続可能な開発サミット」が開催された。この会議には150を超える加盟国首脳が参加し、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択された。このアジェンダでは、人間、地球および繁栄のための行動計画として、「持続可能な開発目標(SDGs)」が掲げられた。このSDGsは17の目標と169のターゲットからなり、国連に加盟するすべての国は、全会一致で採択したアジェンダをもとに、2015年から2030年までに、貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会など、持続可能な開発のための諸目標を達成すべく力を尽くすことを約束した。
【17の目標】
目標 1. あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
目標 2. 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
目標 3. あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
目標 4. すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
目標 5. ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う
目標 6. すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
目標 7. すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
目標 8. 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
目標 9. 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
目標10. 各国内及び各国間の不平等を是正する
目標11. 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
目標12. 持続可能な生産消費形態を確保する
目標13. 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
目標14. 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
目標15. 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
目標16. 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
目標17. 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
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SDS制度
安全データシート(Safty Data Sheet)制度の略称。
化管法によって定められた安全データシート(SDS)制度は、事業者による化学物質の適切な管理の改善を促進するため、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化学物質排出把握管理促進法、あるいは単に化管法ともいう)で指定された「化学物質又はそれを含有する製品(化学品)」を他の事業者に譲渡又は提供する際に、その化学品の特性及び取扱いに関する情報を取引先の事業者に事前に提供することを義務づけるとともに、ラベルによる表示に努める制度である。2011年(平成23年)度まではMSDS(化学物質安全シート:Material Safety Data Sheet)と呼ばれていたが、2012年度から国際的な整合性を保つ観点からSDSに統一された。
この背景には、化学品を取扱う事業者には、本来、規制の有無に関わらず、人の健康や環境への悪影響をもたらさないよう化学品を適切に管理する社会的責任が求められる。特に、化学品の適正管理を行うためには、有害性や適切な取扱方法などに関する情報が必須である。ところが化学品の譲渡・提供を行う事業者は、取引先の事業者に比べて化学品の有害性等の情報を入手しやすい立場にある一方で、これらの情報は、取引の際に積極的に提供されにくい性質を有することから、“事業者から事業者へ”の有害性等の情報の確実な伝達の必要が認識されるようになってきた。そのため、1999年(平成11年)7月に公布された「化学物質排出把握管理促進法」のもと、化学品の性状や取扱いに関する情報の提供を規定する制度(化管法SDS制度)が法制化され、2001年(平成13年)1月から運用されている。同時に、化学品の譲渡・提供事業者に対し、化管法ラベルによる表示を行うよう努めることとしている。
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SEPA
アメリカ合衆国において、1970年(昭和45年)1月に国家環境政策法(NEPA)が施行された後、カリフォルニア州やマサチューセッツ州などの州レベルでも、NEPAに準ずる州法が制定されるようになった。
これをThe State Environmental Policy Actの頭文字をとってSEPAとか、little NEPAという。
環境保護庁(Environmental Protection Agency,EPA)などの調査によれば、1991年(平成3年)の時点で、29の州で何らかの形のSEPAが定められている。その多くは、NEPA同様1970年代に制定されたものである。
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SPM
SPM(Suspended Particulate Matter)は「浮遊粒子状物質」ともいわれる。1973年(昭和48年)環境庁(現在の環境省)告示25号、「大気の汚染に係る環境基準について」において、大気中に浮遊する粒子状物質(粒子状汚染物質であって、粒径が10μm以下のもの)と定義されている。
浮遊粉じん、エアロゾルなどの浮遊粒子状物質は微小なため大気中に長時間ただよい、肺や気管に沈着して、高濃度でこれら呼吸器に影響を及ぼし、慢性気管支炎など非伝染性呼吸器症状を引き起こす。
その中でもさらに粒径が2.5μm以下の微小粒子でPM2.5と呼ばれるディーゼル車から排出される微粒子(DEP)は、肺がんなどとの関係が疑われている。
SPMには発生源から直接大気中に放出される一次粒子と、イオウ酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、揮発性有機化合物(VOC)、オゾン(O3)などのガス状物質として放出されたものが、大気中で粒子状物質に変化する二次生成粒子がある。
その発生源は、工場などから排出されるばいじんやディーゼル車の排出ガスに含まれる粒子状物質などの人為的なものと、火山活動や風による土壌の巻きあげなど自然発生によるものとがある。
1999年(平成11年)の環境庁(現在の環境省)告示による大気の汚染に係る環境基準で、浮遊粒子状物質について1時間値の1日平均値が0.10mg/m3であり、かつ、1時間値が0.20mg/m3以下であること(48. 5.8告示)とし、工場・事業所からのばいじん、粉じんや自動車からの粒子状物質等の排出規制を行っている。
浮遊粒子状物質に関する2013年(平成25年)度の環境基準達成率は、一般環境大気測定局で97.3%、自動車排出ガス測定局で94.7%であった。平成24年度は一般局が99.7%、自排局が99.7%であったので、一般局ではやや低下、自排局では低下している。
大気汚染防止法では、浮遊粒子状物質による大気汚染が著しくなった場合には、都道府県知事は緊急時の措置を講じることができることとしている。
測定方法は、ろ過捕集による重量濃度測定法、光散乱式粉じん計法、圧電天秤法などがある。
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T&Tオルファクトメーター
耳鼻咽喉(いんこう)科医の豊田文一、北村武と生理学者の高木貞敬らにより開発された嗅力測定装置で、厚生労働省により公認されている。
嗅覚(きゆうかく)検査のために基準臭5種を用い、におい紙の一端ににおい液をつけ、被験者に嗅がせて、検知閾(いき)値(ち)、認知閾値(いきち)を測定し、その結果を特別の記録用紙(オルファクトグラム)に記入させるという方法をとる。
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TOC
TOC(Total Organic Carbon)は「全有機炭素」ともいわれる。水中に存在する有機物の炭素のこと。有機態炭素あるいは有機体炭素ともいわれる。
定量には二酸化炭素を除去した空気または酸素とともに資料を燃焼させ、生成した二酸化炭素濃度を、赤外線ガス分析計で測定する。
有機物、無機物炭素、つまり全炭素を燃焼させた量から、無機物のみ燃焼させた無機物炭素量を差し引いてTOCを算出する。
水道水質基準における有機物の量は、2005年(平成17年)3月までは、過マンガン酸カリウム消費量(COD)が10mg/l以下と定められていたが、4月から全有機炭素(TOC)が5mg/l以下と改正された。
変更された理由は、過マンガン酸カリウム消費量は、水中の一部の無機物によっても消費され、不正確であるのに対し、全有機炭素の量は水中有機物の量を的確に測定できることによる。
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TOD
TOD(Total Oxygen Demand)は「全酸素消費量」ともいわれる。試料を燃焼させたとき、試料中の有機物を構成している元素である炭素、水素、窒素、イオウ、リンなどにより消費される酸素の量をいい、有機汚濁の指標の一つである。
試料を一定量の酸素を含む不活性気体とともに燃焼させた後、不活性気体中の酸素の濃度を測定し、その酸素濃度の減少量よりTODを求める。
したがって、これには生物学的に酸化されない物質も含まれる。
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UNCED
UNCED(United Nations Conference on Environment and Development)は国連人間環境会議の20周年を記念して、1992年(平成4年)6月、ブラジルで開かれた国連会議。「国連環境開発会議」とか「地球サミット」ともいわれる。
開催地のリオデジャネイロには172ヵ国の首脳、国際機関、NGOが集まり、地球環境の保全と持続可能な開発を実現するための具体的な方策について討議した。
この会議において、「環境と開発に関するリオデジャネイロ宣言」とそのための行動計画「アジェンダ21」が採択され、「気候変動に関する国際連合枠組条約」、「生物多様性条約」などの署名が開始された。
その10年後の2002年(平成14年)8月、南アフリカのヨハネスブルグで2回目の地球サミットとして、「持続可能な開発に関する世界サミット(WSSD)」が開催された。
この国際会議には、約190ヵ国の首脳や政府関係者、NGOなどが参加し、「ヨハネスブルグ宣言」によって持続可能な開発の実現へ向けての決意表明を行い、その実行計画である「世界実施文書」を採択した。
さらに10年後の2012年(平成24年)6月、リオデジャネイロで「国連持続可能な開発会議」が開催された。「リオ+20」とか「地球サミット2012」ともいわれる。この会議では、「持続可能な開発に向けての新たな政治的合意の確保」、「持続可能な開発の取り組みの進捗と残された課題の評価」、「今後新たに発生する課題への対処」を目的とした。
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UNFCCC
UNFCCC(United Nations Framework Convention on Climate Change)は「気候変動に関する国際連合枠組条約」のこと。この条約は1992年5月9日に作られた。発効は1994年3月21日。加盟国は195カ国(及び欧州連合)に及ぶ(平成25年7月現在)。
その目的と活動は大気中の温室効果ガスの濃度の安定化を究極的な目的とする気候変動枠組条約及び京都議定書の目的を遂行するために、締約国会議の会合及び気候変動枠組条約により設置される補助機関の会合を準備すること。また必要に応じてこれらの会合に役務を提供し、他の関係国際団体の事務局との必要な調整を行うことである。わが国は1993年5月に気候変動枠組条約を、2002年6月に京都議定書を締結。
京都議定書が2012年(平成24年)に終了したので、新しい排出削減のあり方や枠組みをどのように構築するか、2013年(平成25年)から継続して交渉が行われている。その結果、遅くとも2015年(平成27年)中に作業を終え、2020年(平成32年)から実施に移すことが合意されている。
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UNDP
UNDP(United Nations Development Programme)は国連の機関の一つであり、国連が実施する途上国技術協力活動を推進する資金供与機関として1966年(昭和41年)に設立された。本部はニューヨークにある。「国連開発計画」ともいう。
国連、国連専門機関および国際原子力機関(IAEA)の加盟国は、自動的にUNDPの加盟国になる。
2006年(平成18年)6月現在の加盟国は191ヵ国・地域。
UNDPの政策および活動を決定する最高意思決定機関である執行理事会は36ヵ国で構成され、経済社会理事会より選出される。理事は3年の任期で毎年1/3ずつ改選される(再選可)。
UNDPの任務は、国連システムを通じて途上国のあらゆる経済的、社会的分野の開発促進のための技術援助を行うことにあり、民主的ガバナンス、貧困削減、危機予防と復興、エネルギーと環境、エイズの5つを重点活動分野としている。
環境問題との係わりでは、「地球環境ファシリティ」を国連環境計画(UNEP)と世界銀行とともに管理しているほか、地球サミットのフォローについても途上国の援助を中心に取り組みを行っている。
1990年(平成2年)から「人間開発報告書(HDR)」を毎年発行している。その2003年版では、過去10年の開発に関する成功と失敗を検証し、「ミレニアム開発コンパクト」という目標達成のための行動計画が示されている。2005年(平成17年)の日本の拠出額は5位であったが、2000年(平成12年)にはアメリカを抜いてトップになっている。
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UNEP
UNEP(United Nations Environment Programme)は1972年(昭和47年)6月に、「かけがえのない地球」を合い言葉にストックホルムで開催された国連人間環境会議で採択された「人間環境宣言」および「環境国際行動計画」を実施に移すための機関。第27回国連総会決議に基づき、同年の12月に設立された。「国連環境計画」ともいう。
UNEPの目的は国連諸機関の環境に関する活動を総合的に調整、管理し、未着手の環境問題に関して国際協力を進めていくことにある。
地球監視、条約事務、研修、国際協力等を通じたその活動は、生物の多様性保全、オゾン層保護、気候変動、有害廃棄物、砂漠化防止など広範囲に及ぶ。
機構は管理理事会、事務局(本部はナイロビ)および環境基金からなる。管理理事会は国連総会で選出され、日本は当初から理事国となっている。環境基金は自発的拠出の任意基金で、日本はアメリカ、イギリスに次ぐ第3の拠出国となっている。
UNEPと国連環境計画(WMO)は、2018年11月5日、一時破壊が進んだオゾン層が2060年代に1980年代の水準まで回復するという報告書を出した。国際条約「モントリオール議定書」による原因物質フロンの規制が奏功したとしている。報告書によると、成層圏上部のオゾンは両極地方を除き2000年以降、10年ごとに1~3%増加しており、このペースが続けば、北半球の中緯度地域では30年代までに1980年代の水準まで完全に回復し、南半球の中緯度でも2050年代には回復するとしている。破壊がもっとも進んだ両極地方でもオゾン量は増加しており、60年代には回復すると予測した。しかし、12年以降東アジアにおいてフロンの一種「CFC-11」が放出されていると指摘し、モントリオール議定書違反だとしている。
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VOC
VOC(volatile organic compounds)は、揮発性有機化合物ともいわれ、トルエン、ベンゼン、キシレン、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレンやテトラクロロエチレンなど数百種類あり、溶剤、洗浄剤、接着剤、インキ等に広く用いられている。
揮発性有機化合物は代表的な大気汚染物質であり、光化学オキシダントや浮遊粒子状物質(SPM)の原因物質として知られており、近年、光化学オキシダントの被害者が年に千数百人出ている。
また、一般に難分解性であり水より比重が大きいので、地下水汚染や、シックハウス症候群の原因物質にもなる。
吸入すると頭痛やめまいを起こし、発ガン性が疑われている。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によると、日本では2000年(平成12年)度、大気中に年間約185万トンが排出されており、そのうち約9割が工場や事業所などから、残りの約1割が自動車などからである。
このような現状から、揮発性有機化合物の排出抑制対策のため、2004年(平成16年)5月に「大気汚染防止法の一部を改正する法律」が成立した。これにより2006年(平成18年)4月から揮発性有機化合物排出濃度規制が施行される。
この改正で揮発性有機化合物の排出量の多い施設が排出規制対象となり、排出規制と事業者の自主的取り組みとを適切に組み合わせて効果的な排出抑制が図られることになった。
具体的には、2010年(平成22年)までに、揮発性有機化合物の排出量を2000年(平成12年)度の30%削減するという数値目標が掲げられている。
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VOC議定書
揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)に関する議定書なので、VOC議定書といわれる。「揮発性有機化合物の排出またはその越境移動の規制に関する議定書」ともいう。
1979年(昭和54年)に締結され、1983年(昭和58年)に発効した長距離越境大気汚染条約に基づくもので、1991年(平成3年)に締結、1997年(平成9年)に発効した。
揮発性有機化合物の排出を、1999年(平成11年)までに、1984年(昭和59年)から1990年(平成2年)までを基準年とし、その30%以上削減することなどが規定されている。
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WCPFC
中西部太平洋まぐろ類委員会(Commission for the Conservation and Management of Highly Migratory Fish Stocks in the Western and Central Pacific Ocean)は、2004年6月19日に発効した「西部及び中部太平洋における高度回遊性魚類資源の保存及び管理に関する条約(Convention on the Conservation and Management of Highly Migratory Fish Stocks in the Western and Central Pacific Ocean)に基づいて設立された委員会。中西部太平洋におけるマグロ類など高度回遊性魚類資源の長期的な保存及び持続可能な利用を確保することを目的とする。事務局はミクロネシアのポンペイにおかれている。
この委員会の主な機能は、次の通りである。
(1)総漁獲可能量・漁獲努力量の決定や当該資源の長期的持続性を確保するために必要な保存管理措置・勧告を採択すること。
(2)委員会の構成国間の協力・調整を推進すること。
2014年9月現在の条約締約国は、豪州、カナダ、中国、クック諸島、ミクロネシア、フィジー、仏、日本、キリバス、韓国、マーシャル、ナウル、ニュージーランド、ニウエ、パプアニューギニア、フィリピン、サモア、ソロモン、トンガ、ツバル、バヌアツ、パラオ、米、EU、台湾、インドネシアの計26カ国。日本の効力発生は2005年8月7日。
2014年9月4日福岡市で開催された小委員会で、減少しているクロマグロの生息数を増やすために、重さ30kg未満の幼魚の漁獲枠を2015年から過去の実績の半分とすることで合意した。(出典:http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fishery/wcpfc.html)
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WECPNL

加重等価平均騒音レベル、Weighted Equivalent Continuous Perceived Noise Levelのこと。航空機騒音の単位の一つ。
同じ音の強さであっても、継続時間が長かったり、周りが静かになる夜間の方がうるさく感じられる。そこで、時間帯と機数を考慮して騒音レベルを算出したときの単位である。
航空機騒音のパワー平均レベルをdB(A)、午前0時から午前7時までの間、午前7時から午後7時までの間、午後7時から午後10時までの間、午後10時から午後12時までの間の航空機の機数を、それぞれ、N1、N2、N3、N4とすると、環境基準の基準値は、次式のように表される(単位はWECPNL)。
dB(A)+10log N-27
N=N2+3N3+10(N1+N4)
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WED
世界環境デー、つまりWorld Environment Dayの頭文字。1972年の国連総会で6月5日を「世界環境デー」と制定した。
コフィー・アナン国連事務総長は、「『私たちの地球,私たちの未来,救うのは今!』という2018年のテーマは、私達一人ひとりにとって、自分達の生命を維持しているこの惑星を大切に守る決意を新たにしようという緊急のアピール」であると、世界環境デーのメッセージで述べている。
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WEEE
WEEE指令(Waste Electrical and Electronic Equipment)とは、EC175条に準拠した電気電子機器を対象とするリサイクル指令のこと。2003年(平成15年)2月13日に発効した。「廃電気電子機器リサイクル指令」ともいう。
これにより、EU各加盟国は指令に基づき、2004年(平成16年)8月13日までに国内法を整備、施行し、製造者は2005年(平成17年)8月13日から、回収およびリサイクル処理の実施が義務づけられることになった。
この内容は、①製造業者は廃棄する製品の回収と処理を自己資金で行うか、または共同融資プログラムなどの形で他の企業と提携するかのいずれかの方法によって電気電子機器を回収し、リサイクルする責任を負う ②消費者は、廃棄する製品を無料で返却する ③製造者は新製品を市場に出すときは、あらかじめ、リサイクル費用を確保するために保証金の支払いが義務づけられる ④製造日、また製造者を容易に識別できるような表示をしなければならない ⑤製造者は、処理施設に対し、危険物質、危険調剤の場所、構成部品と材料の詳細について呈示しなければならない ⑥製造者は、指令発効前に市場に出回っている製品(旧製品)についてもリサイクル費用を負担しなければならない というものである。
これは、EU域内における電気電子機器の廃棄量が、1人平均、年間約20kgに達しており、なお今後も増加する傾向にあることが背景になっている。
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WMO
WMO(World Meteorological Organization)は気象学、水文学、および関連する地球物理学などの観測を行うことを目的として、1950年(昭和25年)に設立され、翌1951年(昭和26年)国連の専門機関になった。本部はスイスのジュネーブに置かれている。「世界気象機関」ともいう。1873年(明治6年)に設立された国際気象機関(International Meteorological Organization)が前身。
2020年(令和2年)3月現在、187ヵ国・6地域が加盟している。日本は1953年(昭和28年)に加盟した。4年おきに世界気象会議(International Meteorological Congress)を開催しており、現在行われているプログラムに、世界気象監視計画(WWW)、世界気候計画(WCP)、全球気候観測システム(GCOS)、大気調査・環境計画(AREP)などがある。
WMOの2021年版温室効果ガス報告書によると、2020年(令和2年)のCO2濃度は413.2ppmであり、2005年(平成17年)の379.1ppmから15年間に34.1ppm(8.99%)上昇している。この濃度は、産業革命以前の1700年代と比べると49%も増加している。CO2は大気中の一番重要な温室効果ガスである。そのほとんどは化石燃料の燃焼とセメント生産により発生しており、気候に対する温暖化効果の約66%を占めている。また、1750年からCO2とともに温室効果をもつメタン(CH4)は162%、亜酸化窒素(N2O)は23%増加している。
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WWF
WWF(World Wide Fund for Nature)は「世界自然保護基金」ともいい、世界50ヵ国以上の国々に拠点を置き、100を超える国々で地球規模の活動を展開している世界最大の自然保護NGO(非政府組織)である。
絶滅の危機に瀕した種の保存を目的に、1961年(昭和36年)に設立された「世界野生生物基金」を1986年(昭和61年)に改称した。
設立以来、130ヵ国で1万件、総額600億円の自然保護活動を行ってきた。
本部WWFインターナショナルはスイスのグランにある。総裁は英国エジンバラ公フイリップス殿下。
WWFはこれまで主として、アフリカ象、マウンテンゴリラ、ジャイアントパンダ等の絶滅に瀕した生物種の保護に取り組んできた。
そのほか、近年は生物多様性を守るために選定された最も重要な地域の保全、森林や海洋の持続可能な開発の推進、気候変動や化学物質による汚染を食い止める活動などに力を入れている。
1991年(平成3年)10月、国際自然保護連合(IUCN)、国連環境計画(UNEP)とともに「新・世界環境保全戦略かけがえのない地球を大切に」を発表、地球サミットに向けて自然の保護とその持続的な利用を提唱した。
日本にはWWFジャパンが1971年(昭和46年)、世界で16番目に設置されている。
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1,2-ジクロロプロパン
化学式C₃H₆Cl₂で表される有機塩素化合物。可燃性で特徴的な臭気のある無色の液体。オゾン層破壊物質の代替品として1990年代後半頃から2012年頃まで主としてインク洗浄剤として用いられた。厚生労働省によれば、長期間にわたる高濃度暴露により、胆管ガンを発症する蓋然性が高い他、中枢神経抑制、眼と気道の刺激性、溶血性貧血、肝臓および腎臓の障害等が指摘されている。全国で印刷業、中でもインク洗浄作業に長期間携わっていた作業員に胆管ガンの発症が多発したことにより、特定化学物質障害予防規則措置対象物質に追加され、2013年(平成25年10月1日に施行された。
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3R
3R(スリーアール)とは、リデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)の3つの言葉の頭文字Rのこと。これについて、環境省は次のように説明している。
一つめのR(リデュース)とは、物を大切に使い、ごみを減らすことです。 例[1]:必要ない物は買わない、もらわない 例[2]:買い物にはマイバッグを持参する
二つめのR(リユース)とは、使える物は、繰り返し使うことです。 例[1]:詰め替え用の製品を選ぶ 例[2]:いらなくなった物を譲り合う
三つめのR(リサイクル)とは、ごみを資源として再び利用することです。 例[1]:ごみを正しく分別する 例[2]:ごみを再生して作られた製品を利用する
これにリフューズ(Refuse:ごみになるものを買わない)を加えて「4R」とか、リペア(Repair:修理して使う)を加えて「5R」とかいわれることもある。
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(出典:環境学園専門学校編・「環境用語辞典」)    無断コピー禁止