御言葉に聞く

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「出 発」

                   創世記7章6節〜8章22節   

 ノアの箱舟の物語は、繁栄しているイスラエル王国を時代背景に、その背後にある深淵の世界と、捕囚時代を背景に、人も土地も荒廃した中にある深淵の世界を描き、それぞれの時代の根源的姿を表しています。「大いなる淵の源」(7:11)という言葉がありますが、これは創世記1章2節にある「淵」と同じ言葉で、混沌とした状況、「形なく空しい」状況を意味しており、これは現実の人間世界にある深淵の世界を表しているものです。

 敗戦と捕囚を経験したイスラエルの民は、全て奪われ、壊され、荒れ果てた空しい世界に取り残され、また異教の神々の地に捕囚され、希望のない世界に連れて行かれました。人々は、神に見捨てられたのではないかという不安の中に置かれました。物語は、彼らに対して答えを示しています。洪水によって、破壊尽くされた死の世界に取り残されたノアの箱舟を神は忘れたのではなく、「神は〜心に留められ」(8:1)ています。神は、混沌の世界に、深淵の世界に人間を見捨てていないというメッセージを物語は送っています。オリーブの枝をくわえた鳩は希望の象徴です。神様が人間を忘れてはいないという確かなしるしです。

 昔も今も、「人が心に思い図ることは幼いときから悪い」と言われるように、人間は自分の欲望のために生き、他者を傷つけ、踏みつけ、罪の深淵というどうしても抜けきれない深みにはまっています。主イエス・キリストの十字架は、その私たちを義(よし)とするための救いの行為です。主イエスは、嵐(深淵)を静め、海(深淵)を歩き、猟師(深淵にはまっている人間)を弟子として招いてくださっています。主は、私たちに箱舟に乗りなさいと招いています。その時、私たちは疑いや不安から己の力にしがみついているのではなく、主の御声に従いましょう。重荷を背負っている者と共に、しかも荷を自分が代わって背負い、解決できない問題も背負ったまま箱舟に乗るならば、箱舟は深淵の大海原を超えて、光の主によって必ず新しい大地へと導かれるでしょう。

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