今年は、例年よりすこ〜し早い制作です。
十二支彫刻展
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※ 作品をご希望の方は下記アドレスまでご連絡ください。
カタログをお送りさせていただきます。
e-mail : cast-y.1or8.ka@iris.eonet.ne.jp
( 件名/干支−午 としてください)
98二科展 Kanon – 月の鏡 × 橋本和明彫刻展 — Kanon —
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Kanon-月の鏡 | kanon-浮月と浮月 |
今年の夏は、昨年以上に暑かった。
98回二科展(東京)と橋本和明彫刻展—Kanon—
会期が重なる二つの展覧会の事を考えながらの夏の制作だった
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二科展 Kanon-月の鏡 「月の鏡」とは、満ちた月・満月のことである。 |
アトリエには「Kanon」という共通した制作テーマの作品が大小、同時進行で制作台に並んだ。
人体彫刻にあって、無駄な形を削ぎ落とし美に迫る。
Kanonを表題(テーマ)にした作品群のほとんどが、コスチュームをまとっているのは、人体が持つ表情を極力抑えるためだった。
今回、二科作品は、あえてそのコスチュームを無くし人体そのものの形を求める事にした。露になったその表情を、しっかり静かに落ち着かせる。
この制作をすることは、私にとって次への展開に移るために必要な試みだと思えたのだ。そして同時に、人体彫刻の難しさと面白さにも、改めて触れる機会となった。
立ち位置から足首のかたち 垂線を立てる 両足の量と形
胸部と背面の関係 頭部を支える首の傾き
彫刻の醍醐味は、質量を持ったその形を美に昇華し、つくるところにある。
そして、無駄な形を削ぎ落とす事によって、表情を抑え、より本質的な「人間存在」に迫る。
「彫刻の本質は形にあり」
揺るぎないこの事と同時に、土に触れるという原初的な感覚を甦らせる時、その温度や滑らかな質感がどうしようもなく好きな事に気づく。
そして、形の向こう側にある『形なきもの』・・・ひとすじのひかりの様なもの・・・をも求めようとしている事にも気づく。
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浮月 |
Kanon — 人体が立つ場は、観音の「蓮華座」をイメージしているのだが、そこから、一枚の「月」を連想する。
水面に映る一枚の月を―
その満ち欠けが人間の生き死にに関わる「月」のイメージを形にすることで、二つの展覧会の作品群をつなげる事ができたかも知れない。
3.11以来、私の「祈り」も込めたKanonである。
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月の鏡 |
偶然とはいえ、3.11からちょうど2年半が経った日に初日を迎えた個展。
「祈り」を込めた、寂たる空間になっただろうか。
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angel's feather | twinkle |
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Kanon-残月 | Kanon-浮月 | Kanon-空の柱 |
橋本和明彫刻展ーKanonー
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水無月
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kanon-音降る春よ(東京二科) | |
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関西二科 | いぬいの会(東京) |
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季節は春から初夏へと映ろいゆきます。
アトリエは、このところの30℃超えの猛暑で真夏並みに暑くなっています。
空梅雨で、農作物は大丈夫かと心配していましたら、一昨日からの雨・・・。所によっては大雨の予報で、恵みの雨で終われば良いけれど、災害になるとこれまた大変。天候不順は今に始まった事ではないけれど、これも、我々人間が原因の側面もおおいにあると思っています。
ここは、制作ばかりでなく、このような、さまざまな事をひとりで考える場所でもあります。
構想を練りデッサンをするためのクロッキー帖は覚え書きノートでもあり、それらはいつでも取り出せる所に並んでいます。数年前のものを取り出し、現在の制作のヒントを得たり、思考の跡をたどる事もあります。
今、アトリエには、春に芯を立て制作を始めた等身大人体と小品が2点あります。
3作品とも、静謐さと寂情たる存在をかたちにする・・・という、ここ数年来の作品に込める意識を引き継いでいます。その中で、等身大人体は、久々に「人体そのもののフォルム」を残そうと試みています。
無駄なかたちや量を削ぎ落した美を求めて行きます。
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この意識は、Kanon制作の頃から一貫してあることです。
決定的にちがうのは、やはり、3.11東日本大震災と、父親の死を経た私の制作態度に加わった『祈り』でしょうか・・・。
以前にも無かった訳ではないのですが、より強まったと思います。
正信偈の祈りの一節、帰命無量寿如来 南無不可思議光・・・
ささやかな、けれど闇より貫かれし光は、生命と人間存在への祈りと重なります。
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自然(じねん)の中に在り、人間は、いつか死に行く存在であるが故に、その存在の温みが、さらには、冷たささえもと尊いと思います。
質量を持つ彫刻表現へと向かいつつ、かたちなき静謐さと寂情たる存在の美をフォルムに求め、『祈る』が如く制作する私がいます。
古民家山崎邸と9つの表現
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玄関脇の床の間は、深い緑色の壁。
二階の「Kanon — 空の柱」に呼応するものとして、また、「雛」とは春つながりのイメージで、この作品を置いた。
『Kanon』はギリシア語で基準、戒律の意。
彫刻制作に対する私の戒めの意味も込めてある。
そして、『Kanon』の音は『観音』でもある。
春とともに、山崎邸にお迎えしお見送りする。
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山崎邸を訪ねた時、人間の誕生をテーマにした「存在論」胎児の作品を持って来たいと思った。それは、この山崎邸の空間の「新たな誕生」と「再生」が私の意識の中でだぶったから・・・。
ひとつ目の「存在論—変容」は、玄関を入った空間に配した。明るい玄関側からの光と、建物の中からは逆光になって見える位置に。
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そして、階段を上がると渡り廊下越しに見える部屋が畳をあげた板の間の状態であった。玄関の間の胎児が明るい光と逆光線の陰をまとわせたのに対し、二階のこの部屋の胎児「存在論—影のはじまり」は暗闇の中に浮かぶ。この部屋の窓は西側にのみある。一日のうち昼下がりから夕刻、西日がほのかに入る電球のない部屋は、胎児の宇宙・子宮そのものになる。
浮遊する胎児の下に、白き「浮月」を配した。
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胎児の部屋の隣。
この小部屋の空気感が、沢山ある部屋の中で唯一変わっている事に気づいた。奥には祭壇らしきものもある・・・「ここは何の部屋?」
聞いてみると、やはり、かつて神様をお祭りされていた部屋であったとの事。
ここに石膏型を作品に仕立て上げた「記憶の器」を設えたらどんな空間が生まれるだろう・・・。
鉛のベースは、板の間の形状をしっくりと伝え、横たわる『器』としての身体の作品は、ここの歴史と祈りの場の空気に包まれて、麗峰龍門山から刻々と変化する光を受けて、その存在を主張し始めたかのようだった。
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モダンな階段を上がると幅186cm・天井高272cmの広い廊下に出る。
北側と東側に開かれた部屋に囲まれた薄明かりの中に立った時、Kanonの細き像をここに想像してみた。
北側の部屋から漏れてくる薄き光が、永き時間ここで暮らしてきた幾世代もの人々が歩きし廊下を重く光らせている。
重ねられたその時間の上に、そっと、「Kanon — 空の柱」を立たせた。
出品者の飯村浩晃氏が、展覧会の様子をまとめてくださいました。
http://www.youtube.com/watch?v=mrN8QzBqf3M
古民家山崎邸と9つの表現
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■古民家山崎邸
麗峰龍門山が紀ノ川に映え、霊場西国三番粉河寺の門前町として栄えてきた
長い歴史と伝統ある文化もつ粉河町。
門前町の一角で百年に歴史を刻んだ邸宅山崎邸。一歩、足を踏み入れると、
その佇まいから時間旅行したかのような錯覚に心を奪われ、そして、心は
脈々と流れる時代の気配さえ感じる。
建築家ならずとも随所に職人の技が冴えわたっていることを感じられずには
いられない。伝統的な格式を表す意匠を備える一方、形式にとらわれない質の
高い意匠、そして良材がふんだんに使われていることが随所に見られる。まさに、
和風と洋風が融合された近代和風建築として高い評価が認められる。
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9つの異なる表現が、古民家山崎邸を舞台に、どのような空間をつくり出すのか楽しみです。
●初日、3月3日・16:00ころから、ささやかなオープニングパーティをいたします。
お時間許せばお運びください。
◎橋本は、3月3日・6日・10日・・・山崎邸におります。
お目にかかれましたら嬉しいです。
謹賀新年
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年が改まり、早半月が経ってしまいました。
年末は、干支の制作とお届けと、新年の準備でいつもの事ながら走り回っておりました。
今年は、例年の春と秋の二科制作はもちろんの事、
5月には「いぬいの会彫刻展」
神戸・原田の森ギャラリーで「きのうとあすの対話 展」(5/30〜6/9)が、
そして、高島屋大阪店・ギャラリーNEXTにて個展「橋本和明展」(9/4〜10予定)がございます。
また、3月3日から、和歌山・粉河の山崎邸にてのグループ展が急遽決まりました。
このような展覧会の情報はもちろん、生活の周辺の事なども、この最新情報の頁に逐一UPして行きたいと思っています。また、当方HP以外に、FaceBookで、彫刻制作とその周辺の事をUPさせていただいています。
2013年が、皆様にとりまして良き一年でありますように、亦、日本のみならず世界が平和な一年でありますようにお祈りしております。
今年も、おつきあいくださいますようどうぞよろしくお願い申し上げます。
和菓子の木型を使って、妻がシルバーの「帯留め」を制作した。
梅の花か・・・新春にふさわしい一品。
面白き発想・・・今後の展開が楽しみだ。