師走・・・そろそろと来る新年の準備を始める季節です。 毎年、楽しみにしていただいています干支の作品。
ころりと円き掌に乗るかたちの「巳」
円く空間を結びつけるイメージで「つきをむすぶ」
垂直方向に伸び上がるイメージで「つきをまもる」を二体 -年を彩る動物たち —
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干支彫刻展出品 十二支(ブロンズ) |
※作品をご希望の方は下記アドレスまでご連絡ください。
カタログをお送りさせていただきます。
e-mail : cast-y.1or8.ka@iris.eonet.ne.jp
( 件名/干支−巳 としてください)
第97回二科大阪展
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◎ 第97回二科大阪展:10月30日~11月11日(11月5日休館)
大阪市立美術館(天王寺公園内)地下展覧会室
午前9時30分~午後5時(ご入場は4時30分まで)
入場料:一般900円 大・高生600円 中・小・幼300円
前売り券取り扱い:チケットぴあ・ローソンチケット
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湯浅町「甚風呂」
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湯浅の町中散策、「甚風呂」(戎湯)という名の、
江戸時代から昭和35年まで4代にわたって続いたお風呂屋さんがある。
今は、お風呂場とともに郷土民芸の保存館になっている。
湯浅にいながら初めて中を見学した。 とても面白い。興味尽きず・・・。
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甚風呂番台 | 錫とアルミの合金の風呂桶 |
中世の町並みを今に残す醤油発祥のこの地の事を、
未だ知らないでいるところが実は沢山あると改めて感じた。
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黒い扇風機と、まるい鏡 丸いちゃぶ台は、 真ん中が開いて・・・鍋をしたとか |
長持 | 左は アイスクリン製造機 右は 天秤ばかり |
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これは スタンプ掛け お洒落です |
アイロン このフォルムが魅力的!煙突がいい |
これは 船の「霧笛」 |
新作Silver Works
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the bean of Socrates | heart |
作品は一部
和歌山県立近代美術館・ミュージアムショップでご覧いただけます。
アトリエ小僧日記
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昨日もまた、アトリエ訪問者が・・・。
「ゆうれいやしきやで~」の声と小さな顔が・・・かろうじて窓から顔が見えた。「ゆうれいやしきとちがうで」とわたし。
窓越しの会話、、、「小学1年生」の男女三人組。「あそこに立ってるん、神様~?」「神様かぁ、、、あれはおっちゃんが作ってん」「えぇ~!!!」
「中見るか?」の問いかけに初めは尻込みしてたが、おそるおそる入って来た。
気付いた2年生の男の子も加わった。彼らの背丈から見上げるアトリエの景色は・・・?!「ねんどでこんなん作ってるんやで・・・」「すご~!こんなん作れるってやっぱり神さんみたいや。」「うちのお父さんはできひん」
しばし、いろいろ触りまくり「また来るわ・・・」と訳わからんけどかわいいお子たちでした。
7月20日
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昨日の子たちが学校帰りに、窓から声をかけてきた。
「また来るわ・・・」は本当だった。。。
昨日の作品を見て、変わったところを指摘したのには驚いた。
明日から夏休み。いぃ夏になると良いね!
9月10日
アトリエ小僧が叫ぶ。「おじちゃ~ん!」「お~~ぃ!」「いてるぅ~?」かわいい声が響く。
ちょうどアトリエ2階の部屋にいたので、窓越しに「お~。こんにちは!」と私。
「あれ、できたぁ~? 見せてぇ~」「できたよ~。入るか?」 「うん!」
シャッターを開けて、お嬢さん二人アトリエへ・・・
「あの作品なぁ、できあがって今東京の美術館に行ってんねん・・・」と私。「ふ~~~ん・・・」
「写真あるから見るか?」「うん!見たい」
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写真を見ながら「こんなになったんや・・・すごいなぁ・・・」
「これほしいなぁ・・・・そやけど、お母さんに叱られるなぁ・・・」
「ほしいんか・・?」「そやな・・・」
「だれにもナイショやで」「えっ!!ほんま?!!」
作品の葉書を嬉しそうに一枚づつ ランドセルに入れた。
「12月には、帰ってくるから、また見てや。」
「うん!」
「雨降ってきたから、気ぃつけて帰るんやで」
「うん!ありがとう!」
きちんとご挨拶のアトリエ小僧たちでした。
9月11日
下校する小学生の声がする。
小窓越しに「こんにちは!」と、アトリエ小僧さんの顔が上半分・・・見えた。
「おじちゃん、開けて~~」と
シャッターを開けると、今日はひとりで二人の男の子を従えてあらわれた。
「あんな、きのうのひみつのしゃしんあるやろ・・・。この子らも見たいんやてぇ。見せてやってくれる??」
(おいおい、それ「ひみつ」になってないやんか)
「そうか・・・。ほな、今日は見せるだけやで・・・」と私。
アトリエに入って来たひとりの男の子が、作り始めた作品を見て、開口一番「これ、シンサク?!」
「えっ!シンサクなんて言葉知ってるんや・・・」
「うん!しってるで!」と男の子。
「大きいやつは?作らんのぉ?」
「大きいやつか・・・。また、作るよ。」と私。
写真を見せると、「ウヮ~~~・・・」と二人の男の子たち。
私が「シンサク」の作品を作るのを見ながら、しばらく、あれやこれやとお話しを・・・。
「もう帰らんと・・・」
「また見せてな」と三人。
「帰ろ!!」と走り去る。
三つのランドセルが、あっという間に小さくなった。
9月24日
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久しぶりに、アトリエ小僧さん二人組現る。
大きな声で、「作品見せて~~!中入れて~~!」
「だいぶん進んだよ」
「ほんまや~」と二人。。。
・・・・・
「わたしらも、なんか作りたいなぁ・・・」
(おぉ~~・・・来たな。。。とほくそ笑む私)
「今日は早よ帰らなお母さんに叱られるから、またな!」
「そうやな。また、時間ある時においで。」
「うん!」「さいなら~」と、元気よく駆け出して行った。
9月27日
「こんにちは~」とアトリエ小僧さん。
今日は、前に来たかわいい男の子と二人で現れた。
作品を見るなり、開口一番「わぁ~~!服着てるー!」と彼女。
ちゃんと前の作品の状態を覚えてるんやね。
しばらく、私の作業をじっと見てる二人。。。
「明日、社会見学行くねん!」「ほぅ~、どこへ行くん?」
「わんぱく公園!」「あー、海南のか?」
「うん。そうそう。 楽しみやねん*お弁当持って行けるし!」
「そうかぁ~。楽しみやねぇ。お母さんにお弁当作ってもらうんや」
「うん。卵焼きとかな・・・」
私は、作業をしながら、彼らは辺りを見回しながら・・・
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試作中の「干支」を見つけて「ヘビや!」 眺めて触れて・・・
「これかたいなぁ」と粘土を持つ。
土粘土の性質の話をしてやると、静かに聴いている。
話していると、新たに二人の男の子が入って来た。
「こんにちは」・・「こんにちは」・・・一人は以前一度来た2年生の男の子だった。
作品に興味津々な様子。
そして、ついに四人が粘土に触る!!
「なんか作っていい?」「いいよ!」と私。
「粘土気持ちいいやろ~」「うん」と四人。
しばらく黙って、粘土をいじくっている・・・私も制作する。
ものを作ってる時って、黙るんやね。
それぞれに、出来たと机の上に並べて、満足したのか、現実に戻ったのか、
「あぁ。帰らんと・・・!」
先に、2年生が帰って行った。
1年生は、まだ居たそうだったが、「明日、社会見学やしもう帰り。」と言うと、「そやな!」
「ほんなら、帰るわ!ありがとう!」「明日、楽しんでおいで」
「うん、さよなら~」いつものように、駆け出して行った。
第97回二科展(絵画・彫刻・デザイン・写真)
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kanon-残月 | kanon-羽化 |
9月5日初日の二科展の準備で、再び、明日(9/3)から上京します。
今回の出品作品は「Kanon - 残月」と、全国巡回作品「Kanon - 羽化」です。
東京近辺にお住まいの方、ご高覧いただければ幸いです。
私は、初日・会場にいる予定です。
夏の終わり 八月
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月桃・粘菌 − 南方熊楠記念館
南紀白浜・南方熊楠記念館で行われた「粘菌教室」に妻と二人で参加した。 記念館には「月桃」の花が咲いているという。
大振りな緑の葉と、花は細長いさやに包まれていてそのさやが割れて中から白い花が出て咲くようだ。近づくとほのかに甘い香りがする。 粘菌教室は、定員20名の参加者。
山東英幸先生(信愛女子短大講師)の講義から始まった。 変形菌(粘菌)は、名前に「菌」とつくにもかかわらずカビやキノコではなくバクテリアとも違う・・・。「粘菌」と呼ばれるのは、成長している時にさわるとネバネバしているから。「ホコリカビ」と呼ばれているが、それは胞子がホコリのように飛ぶからだという。何とも不思議な・・・動物的な一面が見られるかと思いきや植物的でもある。けれど、どちらの分類にも属さない・・・。 百聞は一見にしかずで、記念館周辺の番所山に繰り出し、粘菌探しが始まった。 ルーペ片手に大型のピンセットで枯れ葉や朽ち木とにらめっこ。 ほんの数ミリのよくわからないモノを探す。 普段の生活には無い視点である。 カビやキノコと見分けがつかない・・・。これは!と思って先生に見せるも、「これはカビです」「あぁ、これはキノコ」とあえなく返される。 けれど、何にせよのぞき込む微小な世界には、カビはカビとしてキノコはキノコとしての形と色彩を持っている。粘菌はそれ以上に独特な世界と持っているという事だ。 館に戻り、妻が採取した粘菌「シロエノカタホコリ」を見たがとても美しい。 そして、さらに顕微鏡で見る粘菌はその色と質感が美しく金属的だったりするから興味が尽きない。 これはまさに、「一微塵にも宇宙あり」という華厳の教えそのものではないか!
粘菌は、気付かないだけで我々の身の回りにも存在するという。 極小の世界に浸った目には、館の屋上からの田辺湾の眺めはとても清々しく心地よい。
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文月「Kanon − 掬水月在手」を、京都Fさん邸に納めた。 かねてからのご依頼だったが、私の体調不良で制作に掛かれず随分長くお待ちいただいたが、この度、やっとこたえられた。
私の作品をずっと観つづけてくださっているお一人なのだが、「Kanon」にご自身の祈りへの思いを聞かせていただいた事もあり、今回は特に、静謐さと寂静たる存在をかたちにする事を求めた。 空間を切るような緊張感よりも、ここには、凛として尚しなやかなフォルムをと・・・ 9月の二科展(国立新美術館)の制作は、この思いを引き継いで始まっている。
7月 文月 七夕過ぎ
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いぬいの会彫刻展「いぬい」とは、戊・亥である。 2010年大阪高島屋を会場に1回展を開催。 いぬいの会彫刻展 /神田毎実・二ノ宮裕子・橋本和明・松田重仁・宮澤光造平成24年6月27日(水)〜7月3日(火)
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触れること、視ること![]() kanon − 空の柱が展覧会を終えてアトリエに帰って来た。 kanon − 浮月(2009) と kanon − 空の柱(2010) の間に置いてみた。 kanon(カノン)とは、元々ギリシア語で戒律を意味する言葉で、私は自らの制作への
浮月・空の柱ともに、当時の制作意図や思いがそれぞれにある。 コスチュームで人体を隠す事で、フォルムを静かにさせる分 彫刻は触覚の芸術だと言われる。 視る・・・ 作ったものを確かめるために視る ―描く―発見— これから夏の制作の序章だ。 その前に、グループ展の新作の制作だが・・・。
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kanon – 空の柱
昨年夏、突発性難聴を患い制作中断を余儀なくされた作品がようやく完成しました。 空間に立つフォルムが微妙なところで「変・・・」と気付くことが・・・。
彫刻制作は良い・・・とあらためて感じた事でした。 一昨年制作の「空の柱」以来 5月23日から、和歌山ビッグ愛で始まる「和歌山県美術家協会展」(5/23〜27)に 第50回記念 和歌山県美術家協会展 5月23日〜27日・和歌山ビッグ愛 白浜展 5月30日〜6月3日・白浜会館
(10:00〜17:00/入場無料) |
宮下善爾先生のおもいで
アトリエを訪ねると、きまって仕事をされていた。 1939年生まれ―73年の生涯。
私がこの作家を知ったのは、偶然手にした美術手帖が最初と記憶している。
彼女との結婚が決まり、私の作品をテラコッタにして引き出物にする事になり、二人で 陶芸と彫刻と多少分野は異なるが、立体造型という点で、私の方は宮下作品から学ぶこと
も多々あった。 先生が沓掛にあたらしいアトリエを建てられた頃、制作の話の中で、「あんたら、彫刻どうしで仲ええんはええけど、二人おんなじ方向むいて墓穴掘ったらアカンで」と言われた言葉は今も折に触れて思い出す。 二人の子ども達が大学に進学し、奇しくも陶芸を専攻した。 これも何だか不思議な感じだったが、我々夫婦ばかりか子ども達まで先生のお世話になろうとは・・・。二人とも、先生独特のユーモアまじりの厳しさに鍛えていただいた。 「ほんまは親が言わんならん事かも知れへんけど・・・」愚痴りながらご指導頂いた。 我々夫婦にとっては、2009年の春 NYでの先生の個展に同行させていただいた事が、
京都に向う途中の車中から見た新緑の山々の風景が、そのまま宮下善爾の創るグリーンの
グラデーションだと思った。 もちろん、作品は、宮下善爾というフィルターを通過して、より昇華され計画された色彩であるのだが、それが、自然の色彩そのものとオーバーラップする位計算し尽くされ、魅せられている事に気付くのである。
2月中旬、先生が入院された日にお目に掛かり、まだ元気な口調で今回の個展の話をされていたのだが、実は、ご自分が残された時間がもうあまり無い事を一番わかっていらしたのではなかったかと、今思う。 思えば、不思議なご縁としか言いようが無いが、 私の中で、これから制作中にふと思い出される言葉がきっとあるのだろう。 感謝を込めて、ご冥福をお祈りするばかりだ。 先生の事、きっと、 |
宮下善爾
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宮下善爾「円空」 | 宮下善爾「風はらむ」 | 宮下善爾「アフガンの風」 |
その作品は、観る者に、時を越えて自然の中に存在する「モノ」を感得させる。
それは、空気の流れであり風のゆらぎであり、光の匂い、水のきらめき・・・
気配という目には見えぬモノをかたちにしようとしているのではないかとさえ思わせる。
円 空 — 球体の面を切るという粋。
優しさは強さであると、凛としたフォルムと色彩が語りかける。
NY・アーモリーの個展「SOFA NEW YORK ’09」に同行した際、
作品のフォルムを決定する境界の見切りについて会話したことを思い出した。
風はらむ — 有機的なフォルムの足元から曲線を描きながら
ゆらゆらと立ちのぼるかたちは、一瞬、人間を感じさせた。
土を介して、自在に空気を曲げていると感じた。
目に見えぬ風のフォルムが
幾重にも重なる色彩のグラデーションとなってあらわれる。
そして、頂点のあわいピンクが何ともセクシーなのだ。
「アフガンの風」(1980年)という作品がある。
美大を卒業し、金沢で制作活動を始めた頃、宮下作品を写真で知った。
陶芸作品なのに、そこに潜む彫刻性のようなものを鮮烈に感じたのを今も覚えている。
以来、出逢い、アトリエに出入りさせてもらうようになった現在も、私は、この作家を一種憧れと尊敬をもって観ているところがある。
凛としてゆるぎない・・・
けれど、そこはかとなく儚い
潔さと、粋な色っぽさ
厳しさの中のユーモア・・・
宮下善爾氏は、日本の自然と人間を観察し、陶芸の地平に独自のものを求めつづける。
そのフォルムと色彩は、観る者の心に深く関わってくる。
そんな作家の魂を垣間見たように感じ、個展会場を後にした。
蕾
三月・春分の日が過ぎ、ずいぶんと日が長くなって来た。 アトリエに射す光を求めて、作品を光の方へ明るい方へと
春、四月 京都で発表の「kanon」新作が佳境にはいって来た。
庭の杏と花蘇芳の蕾が、日一日とふくらみ始めている。
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金沢
金沢に行って来ました。 何年ぶりでしょうか・・・ 今回の目的は、金沢美術工芸大学大学院に合格した息子の部屋探しです。 息子一人に任せても良いものを、金沢となるとやはり落ち着きが無くな り動き出してしまいました・・・。親バカです。 しかし、金沢美大大学院合格は親としてとても嬉しい事でした。 これから始まる金沢での学生生活のなかで、 和歌山を出て、金沢に行く列車の中で、少しの不安とそれ以上の喜び
を抱いて行った30数年前のあの頃とオーバーラップして来ます。
京都8時41分 サンダーバード5号。 三十数年前、美大を卒業し大学院の試験に失敗したところから そしてそれは、 けれど、ひとりで制作活動を始めるという緊張感がありました
その年制作した作品のひとつが「モロエの顔」 二科展で受賞し、重鎮 淀井敏夫先生との出逢いをつくってくれた作品でした。 まちの中に雪は残っているものの、気持ち良い快晴。 懐かしの店『JO–HOUSE』 金美彫刻OBが主催する、JO-HOUSE 40周年記念パーティーと、
「3月24日・・・来てください!」とマスターの娘さん。 部屋探しも無事終わり、兼六園下に金沢21世紀美術館をたずねました。 美術館パンフレットによると、 「まちに開かれた公園のような美術館」とも・・・。 なるほど、われわれが居た数時間の間でも若い人達から年配の方々まで
美術館で待ちあわせた先輩のMさんとカフェで談笑しているうちに、 翌日、京都での仕事を終えて、和歌山—京都—金沢 2日間の小旅行が終わりました。 和歌山に戻り、もう一度、金沢21世紀美術館の事を考えてみました。 現在(いま)とともに生き、市民を巻き込み、伝統をつなぎ世界に開く。 共感はしますが、欲張りすぎてはいないか? 私が感動した美術館のひとつに、NYのイサムノグチ庭園美術館があります。
落ち着きと気品を兼ね備えた空間のつくりに、
そのインスピレーションの豊かさと深さに感動したことを思い出しました。 時を忘れて、いつまでもその空間に身を置いていたくなる。 どうも、私の美に対する感覚と仕事は、 私が学生時代を過ごしたまちは、今回、あちらこちら劇的に変貌し迎えてくれました。 変わらないモノと、変わるモノ・・・ |
近況
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迷宮の森 |
先日、長年家族でお世話になっている、京都のS先生をたずねた。
Oリングテストを駆使し、人体のアレルギーをわかりやすく解いてくださる。
さまざまな素材でOリングテストを試みる中、
今回の私の場合、放射性セシウムが内耳に影響を与えている疑いありという。
先生の「原発事故と食の安全」というレポートの中にも、
『6月後半から、放射性セシウム(Cs)が関わっていると疑われる人が何人もいる』と
ある。
私の聴力低下も、これだけではない複合汚染で引き起こされている疑いがあるという訳だが・・・。
原発事故による影響を、何百キロも離れたこの地で、私の身体が受けて反応していると考えたとき、人体の不思議を感じると同時に、改めて、この地球をわれわれ人間があらゆるかたちで複合汚染していることに気付かされる。
先生に、「鮒ずし」をもとにした米粉からつくったヨーグルトを薦められて試している。
私の身体に合っているのか、これがまた美味。
ここの診療所には、はっと気付かされる発見がある。
私の身体は、ここでセシウムにも黄砂にも敏感に反応することを発見したのだ。
我々は、そういう空気を日々呼吸している。
それでも、我が家の庭先の梅は季節をたがわず小さな蕾をふくらませている。
如 月
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羽をもった日(2012) |
日本海側の大雪のニュースに、学生時代を過ごした金沢の冬を思い出す。
6年間で2回、豪雪にあった。
雪はもういい・・・と言いつつ、
この寒さも、雪かきや雪下ろしの大変さも、
この雪の美しさには敵わないと思った。
ものの形さえも隠してしまう、白い寂とした風景が好きだった。
黒々と、欅のシルエットが
凛とした冷たい空気の中に緊張感を与えていた。
暦のうえでは立春を越したこの何とも言えぬ寂たる季節が今も好きだ。
アトリエに射す光のわずかな変化に、
冬の真底から少し浮上したことが、
無音の気配を通して身体の・指の・感覚に伝わってくる。
かたくなだった仕事をする手が、
ほんの少しかたくなから解放されて、もごもごと、しかし、休みなく
目にはさやかに見えぬ凹凸を探るかのように蠢き出す。
昨年秋には回復していた聴力が、また、落ちてしまった。
耳閉感・耳鳴りと、制作中でもふっと気が遠くなる・・・時がある。
今年は、アトリエの中でひとりおろおろしている・・・。
真夏の寂・真冬の寂 半分閉ざされた耳の感覚で味わっている。
昨夏から残した宿題の制作に加え、新しい芯棒を組んだ。
如月2月は、やがて来る芽吹きの為の、夢の時間。
2月11日〜3月25日まで、和歌山県立近代美術館で
「ホックニーのグリム童話」が開催される。
和歌山県立近代美術館が誇る版画コレクションなどから
ホックニーの作品全てを展示・・・(リーフレットから)
楽しみだ。
展覧会観賞後は、ミュージアムショップで
橋本和明オリジナルシルバーアクセサリーもお楽しみください。
鬼のパンツ
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京都の保育園、1月最後の授業は節分にちなんで『鬼のお面づくり』
今回は、色画用紙を使いかぶれる鬼のお面をつくることにした。
お面づくりが皆終わり、後片付けをしている中
余った色画用紙を集めて、何やらゴソゴソやり始めた4人組・・・
「何してんねん?」と私。
「鬼のパンツ作んねん!!」と彼ら。
「ふぅ〜ん」と、何も言わず、そのまま自由にさせといた。
給食の時間を気にしながらも、黙々と集中してパンツ作りにいそしむ彼ら。
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そうとう大きな鬼らしい・・・
しかし、制作途中で時間切れ・・・
次に行く2月の保育園。
できあがったパンツは見れるでしょうか・・・?
記憶
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2012年 辰年
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本年も、よろしくおつき合い願います。
野の香2010
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今年も残り少なくなって来ました。
年末恒例、ラベルデザインをしていますワイン「野の香2010」が届きました。
京都・福知山三和町に住む、梅垣誠氏が育てた山ぶどう。
今回は、どんなワインに仕上がったのでしょうか。
「ミントのようなスパイシーな香り」
「奥深く、とてもなめらかな飲み口」と、今回のワインを氏は表現しています。
皆様も一度、いかがですか?
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12月に入って間もなく、週1回講義に行く事になった短大のエントランスに、
赤い毛糸で作られた、大きなツリーがお目見えしていました。
短大に誘ってくださった、現代美術家 岡崎ゆみこ先生と学生たちの作品です。
学校からは、クリスマスカードをいただきました。
ぐんと冷えてきました。
野の香をグラスに、聖夜を過ごす・・・*野の香は、ワインショップ高本さんで販売しています。
ご注文・ご連絡先は・・・ 綾部市・ワインショップ高本さん tel 0773-42-0579
三和町・梅垣ぶどう園さん tel 0773-58-2615
皆既月食
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私が目にしている星々の輝きは、気の遠くなるような時間を経て届いている光であるのに
対し、今くりひろげられている太陽と地球と月が織りなすこの事は只今の事。
あらためて、宇宙の不思議に思いを馳せている。
人の死によって、身体を構成していた元素は再び宇宙に帰り、新しい星の一部になる
という。
月の時間、星の時間、そして地球の時間を思う時、
人間の一生は・・・。
あぁ、それにしても寒かった。
娘から、フウの木の紅葉の写真が届いた。
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美術館の前のお城のイチョウもみごとな黄色で思わず寄り道して・・・
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自然の懐はとても深い。
何があっても季節はめぐる。
人間だけがドタバタ、フラフラしている。
ごぶさたです
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亡くなった朝も、いつもと変わらず人々は動いていて、父の病室だけが寂としてその場にたたずんでいました。
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山あり谷あり、人生最後はプラスマイナス ゼロ だと良しとするか ―
葬儀の後思った事でした。
死によって観えてくるその人のさまざまは、もう存在しないが故に、より明確にかつ客観的に
迫ってくるものだとわかりました。
正信偈を読経し、四十九日が過ぎてゆきました。
いろいろ、さまざま・・・心の中に封じ込め、
ようやく、自分の時間が少しもどって来ました。
いつもながらのワインラベルの制作で、少し楽しませてもらいました。
週に1度、短大で授業を持つ事に・・・。
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ふと気付くと、我が家の杏とブルーベーリーの紅葉がとても美しい。
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年末恒例の「干支—辰」の制作は、何とかギリギリ間に合ったかな。。。
「つきをえがく」 「もちづき」と名付けました。
久しぶりのアトリエ。
夏から中断していた作品の制作。
体調と相談しながらですが、夏の忘れもの・・・そう、この宿題から始めます。
時は流れつづけます。
彼の年まで、私はあと25年で追いつく事になります。
Clap で名月…
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アトリエで仕事を再開しました。
日めくりは、受診した8月8日のままで、台風12号で水汲みに入った以外は
本当にここで何もしていなかったということです。
ボチボチ、動きはじめますよ!
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湯浅中学校の新校舎、校長先生のご案内で3階建ての学内を見学して来ました。
玄関を入ると、吹き抜けのエントランスがあり、とてもゆったりした気持ちになりました。
床は紀州材を使いやさしい感じが足元から伝わって来ます。
各教室は、窓が大きく開放感にあふれ、明るいのが何よりです。
ひとつ、旧校舎正面玄関にあった校章が、きれいに研かれて新校舎のエントランスに
残されていた事が、旧校舎で学んだ者としては嬉しいことでした。
MRI・Clap・Typhoon
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和歌山県立近代美術館で、ちょっとした遊び道具をみつけてしまいました。
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台風12号が四国縦断。
その脚のおそい事・・・降り続く雨のおかげで
またまたアトリエが水浸し。
9月2日の午後あたりから降り始め、3日は終日雨と風。
これだけ降られると、あきらめもつき
今回は、朝、昼、夕と時間をおいて汲み出した。
熊野本宮大社の旧社地、熊野川と音無川の合流地点、大斎原の大鳥居(高さ33m)が
5mも水没したという。那智大社の本殿にも土砂が流入したという。
台風はもちろん、雨や風を意のままにできる術を我々は誰ももってはいない。
「蒼穹の夢」除幕式
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和歌山県 湯浅中学校新校舎完成記念モニュメント「蒼穹の夢」の除幕式がありました。
雨模様のお天気が続いていましたが、この日は快晴。
まさに「蒼穹の夢」にふさわしい夏の青空がもどってきました。
上山章善町長さんと、寄贈者の(株)中井組社長さんに除幕していただき、
制作者の私は、ひとことご挨拶させていただきました。
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作品があらわれた瞬間、列席していた中学生代表の諸君から
「あ〜、ふくろうやったんや〜」と・・・
希望に満ちた新しい環境に建ったこの作品が、末永く中学生達に愛され
大空かける若者の夢の象徴となりますように。
サバをさばく
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「なかなか上手いやん!」のおだてに乗せられて合計6本。
鯖の「二枚おろし」やりました。
8月—寂
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送りものと言えば、夏の制作が始まった頃、これも絶妙なタイミングで毎日新聞の城島氏から、青木新門氏に「触覚の世界」とは何かを問うた時の記事と、その資料となった高村光太郎の『触覚の世界』という文章が送られて来ました。
kanon—空の柱に続く今夏の作品で、削ぎ落とす事によって生まれる新たな形を求めようとしていたので、再度読み直した『触覚の世界』は、よき刺激となったのですが・・・。
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制作の出来ぬ8月が過ぎてゆきます。
少し何もかもから離れて、己を見つめ直して休めとの事かとも思います。
ふと気付くと明け方のひぐらしの声が、閑かに、はかなげに響きます。
寂なる夏です。
「蒼穹の夢」設置
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この最新情報「近況6月」「蒼穹の夢」でもご報告していましたが、先日、作品が完成し
設置作業を終えました。
新校舎の玄関前に設置されましたこの作品「蒼穹の夢」が、青きさわやかなおおぞらをかける若者の夢の象徴となりますように。
新年から東日本大震災をはさみ約半年の制作でした。
お披露目を前に、皆様に先にご報告です。
ビーバップ!ハイヒール
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ビーバップ!ハイヒールというテレビ番組をご存知だろうか?
ハイヒールのお二人がMCの知的教養バラエティ(朝日放送・毎週木曜日の夜11時17分〜)、作家の筒井康隆氏や漫画家の江川達也氏とチュートリアル、ブラック・マヨネーズ、
たむらけんじなどが出演している番組で、私も割とよく見ている。
その番組担当I氏から、突然のメールが入りびっくり!
テーマは「銅像に秘められた物語」
日本全国にあるたくさんの銅像が、どうしてその場所に建てられたのか?
その裏には、知られざる物語が・・・。
という事で、私のアトリエで、渋谷駅前にある「ハチ公」の銅像にまつわる制作秘話の
再現VTRの撮影をしたいとの事。
担当I氏、私のこのホームページをチェックしたらしい。
残念ながら、アトリエの提供だけで、私の出演ではなかった。。。
現在私たちが知っている渋谷のハチ公像は、実は二代目。
初代ハチ公は、昭和9年、彫刻家 安藤 照氏のより制作され、その後、戦争中に金属供出で軍に差し出され渋谷の街から姿を消しました。
戦後、二代目ハチ公の制作にあたったのが、これまた二代目・・照氏の息子の、安藤 士氏。
こんな、あまり知られていない物語を再現VTRに・・・。
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撮影当日は朝から猛暑の中、8時30分から撮影開始。
撮影スタッフさん5名 役者さん5名・内少年1名+犬1匹
皆さん、汗だくになりながらの熱演でした。
制作シーンがあると聞いていたので、どんな「ハチ公」を作って来るのかと楽しみにしていたのですが・・・。
紙粘土を使って、芯は何かと聞くと犬のぬいぐるみ・・・?!・・かなりの「迷作」!!
私が作ったのではありませんので、くれぐれもおまちがいなく!!
当初、1時間の予定とお聞きしていた撮影は、結局11時過ぎまで続きました。
テレビの撮影は私も何度か経験がありますが、今回は、「ドラマはこんなふうに作るんだ」と興味深く拝見しました。
放送は、8月25日(木)午後11時17分からです。
私のアトリエをご存知の方は、映像の中に見覚えのある「あれやこれや」を発見されるかも・・・。
ご笑覧いただければ、幸いです。
無花果
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杏
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湯浅中学校新校舎完成記念作品「蒼穹の夢」
先日、石膏原型が完成し、鋳造にかかりはじめています。
限りない可能性を秘めた中学生達が夢を語らい学ぶ場の象徴として、
希望に満ちた新校舎の完成を記念して制作しました。
かかげた両手の先には梟。学問と叡智の象徴です。
どのような顔をして、中学生の前に現れるか楽しみです。
台石に彫るタイトルの「蒼穹の夢」を墨で書きました。
わずか7×30cmの小さな文字ですが、半紙3枚をつなぎ大筆で・・・
なかなか気に入った文字ができず結局2日がかりで仕上げました。
アトリエを掃除し、次の仕事の準備です。
夏本番が、すぐそこまで来ていますね。
近況 6月
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アトリエ横の紫陽花の花が今年もきれいに咲きました。
自宅玄関には、数年前鉢植えした柏葉紫陽花があります。
今年はまたグンと大きく成長し、こちらも、みごとに花をつけました。
無花果も、葉を大きくしぐんぐん枝を伸ばし始めていますし、その下にはレモンバームが、まるで森のようにひろがりました。
今年は、杏が実をつけて、このごろ少し色づいて来ているのが楽しみです。
ユスラウメのキラキラした小さな赤い実を、毎朝いただいています。
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植物の成長とそのめぐりは、季節の流れとともに、毎年の事ですが、生活のリズムをつくってくれます。
制作の合間に、草を刈り、今は紫陽花の花を生けてアトリエに置いてみたりして・・・。
緊張と緩和というやつです。
先日は早々と台風がやって来たりして、季節のめぐりは最近少し狂って来ているように感じます。雨だって、降る量が尋常じゃない・・・。
昔は、夕立はあってもゲリラ豪雨なんてなかったと思いませんか?
台風襲来の時は、半地下の我がアトリエは大変でした。
地下から水がついて来ます。
今まではポンプで汲み出していましたが、これが故障してからは、もっぱら手仕事で・・・。
バケツに汲み出しほかします。
あの日は、私は東京に。。。
妻とたまたま帰省していた娘が、1時間おきの汲み出し作業で大変な事になりました。
どうもアトリエの下には水の層があるようです。
昨日も夜中から大雨で、早朝、始発の電車から止り、京都の保育園の授業は急遽車で出勤とあいなりました。
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参観授業で、親子で「器をつくろう」というテーマで楽しんでもらいました。
焼き上がりが楽しみです。
年明けから制作が続いている、湯浅中学校新校舎完成記念の作品の制作がいよいよ佳境に
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入って来ました。
ここ数年来の「kanon」のフォルムを基に、希望に満ちた新校舎の空間を意識し、伸びやかなイメージと、静謐な落ち着きと・・・。動と静の相反するイメージですが、それぞれを併せ持ったイメージにしたいと考えて制作しています。
もうひと息です。
3.11.東日本大震災を跨いだ制作となったこの作品も、この「もうひと息」に込める思いのひとつは『祈り』です。
断たれた若いいのちがあります。
生きのびた若いいのちは、光を求めていると思います。
そして、ここ(湯浅中学)には、その事を共有できる同じ若いいのちがあります。
それぞれのいのちは、祈りをこめることで作品を通してひとつにつながれると良いと思います。その様な思いも、この作品には込めたいと思いました。
作品のタイトルは『蒼穹の夢』としました。![]() |
六月、水の季節。
「クラムボンは わらったよ」
「クラムボンは かぷかぷわらったよ」
「クラムボンは 跳てわらったよ」
「クラムボンは かぷかぷわらったよ」
宮沢賢治の童話「やまなし」・・・子ども達が幼い頃、よく読んで聞かせていたお話のひとつです。
クラムボン・・・この不思議な言葉は、私には、きらきらと明滅するちいさないのちの響きに聞こえます。
アトリエで、雨音を聞きながらの制作中・・・
何気なく懐かしく思い出した響きでした
猫亀屋 個展 — その後
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泉南のギャラリー猫亀屋での個展が終わり、すぐに。和歌山県美術家協会展の搬入、展示作業〜開会・・・。二科会の会合で上京となかなかハードな5月後半でした。
猫亀屋さんへお越しいただきました皆様には、この場をお借りしてお礼申し上げます。
ご高覧誠にありがとうございました!
今回の個展は、kanonと、カノン制作の内に隠されていた「月」のイメージをかたちにし、展開してみました。
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AMENIMOMAKEZU | 浮月 |
ここの空間は、漆喰の白壁ととても高い天井と小さな二つの窓があり、とても小さな空間なのに、降り積もる様な、静かで豊かな時間が存在する感じがします。
作り手でもあるギャラリーオーナー今泉ご夫妻の思い入れの深さでしょうか・・・。
猫亀屋さんでは、今回が3年ぶり2度目の展覧となりましたが、3.11東日本大震災を挟んでの制作となった事もあり、私の心の動揺も作品に出てしまった様な感じもします。
動揺の中で制作したものが3点の「AMENIMOMAKEZU」。
東北と宮沢賢治を重ねあわせていました・・・。
会場で、和歌山県立近代美術館の学芸員氏が、石巻文化センターに文化財レスキューに行って来た話をしてくれました。
人命、生活再建が一番はいうまでもない事ですが、人知れず、貴重な人類の遺産を災害から救助し修復し後世に伝えるべく努力している人々がいます。
美味しい珈琲をいただきながら「ここのこのナ〜ンにもしない時間がいいね・・・」と学芸員氏。
彫刻家の私に出来る事は、静かに祈りを込めて制作する事。
猫亀屋さんの外のベンチに腰掛けて、海風とひなたぼっこを楽しみながら、制作者として先ずはこの事に誠実でありたいと思いました。
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個展の合間に、すぐ横の海岸で拾って来ました。 |
個展会場に記したメッセージです。
3.11東日本大震災と巨大津波の映像は、
「言葉を無くしてしまう」とは、まさにこの事だと
心の中に刻みこまれた。
自然の力は、
ひとりの人間など
何程でもない『微塵』のようなものだとのみ込んでしまった。
人間表現だとか
人間の存在とか
・・・軽々に語り
形になどできないと
私の今までの表現など、『微塵』のようなものだとのみ込まれてしまった。
言葉を無くしたこころは、宙をさまよい
制作への手がかりをつかもうと、両手はもがく。
自然の前に『微塵』であるかもしれない人間の存在は、
けれど、
そのささやかな『微塵』の内に、
大いなる宇宙を抱えている存在であると
私は信じたい。
それは、希望である。
それは、人間の生命への祈りである。
2011.5.14. 橋本和明
橋本和明展 WORKSHOP — RING
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5月21日、リング作りのワークショップをしました。
皆さん銀粘土は初めてという方ばかりでしたが、それぞれ
その方に合ったリングが出来上がりました。
明日、最終日です。
橋本和明展OPEN!
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大阪・岬町のギャラリー猫亀屋さんで個展が始まりました。
初日は、とても良い天気にめぐまれ、オープニングパーティーには、
たくさんの方々にお越しいただき、作品とともににぎやかに過ごしました。
泉南の海風と彫刻と美味しい珈琲と・・・
日常のほんの隣に・・・ここは、ささやかな異空間
ほっこりしに来てくださると嬉しいです。
橋本和明展
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第46回 関西二科展
毎春恒例の「関西二科展」が今年も京都市美術館で始まりました。 |
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岡崎公園のしだれ桜と八重桜がきれいに咲いていました。
京都国立近代美術館では「パウル・クレー展」も開催中です。
こちらは、5月15日まで。ちょっとおしゃれなパンフレットでした。
何故、作品を二つに割るような作りになっているか?
それは、展覧会をご覧になれば「納得!」していただけます。
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新緑の季節、下鴨神社、糺の森界隈を散策しながら・・・
季節の中で
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東北地方の桜が咲いたと少し前の新聞で読みました。
かの地の桜を人々はどんな気持で眺めているのでしょうか。
あれから、40日あまり・・・4月も後半に入りました。
4月26日から5月8日、『関西二科展』が京都市美術館で始まります。
冬に始めた作品の一つを出品します。
当然、3.11をまたいで制作したものです。
3.11以前と以後・・・
大震災の後は、気持の動揺がしばらくあり、制作もできませんでした。
『人間の存在』を制作のテーマとしてきたなかで、
大津波にまるで木の葉のように浪に翻弄される車や家の映像は、その中に多くの人々も
のみ込まれているという想像と相まって、恐怖とともに、人間の存在のはかなさを今更ながら思い知らされたという感じでした。
安土城築城の心柱に使われる飛騨の檜。その二千年超の年輪を写し取った木挽頭・庄之介の言葉。「木目を数えてみよ。いっとう太いのが二千五百八十三本、・・・」
「・・・。一寸百目のこの線で言えば、わしらの一生は、わずか五分(約15ミリ)じゃ」
(火天の城/山本兼一著より)
大宇宙・大自然を前に、人間の存在などたかが五分・・・。
されど、その存在には尊い魂が宿る凛とした存在でもある。
けれど、その凛とした存在であるはずの人間が、未来のクリーンエネルギーと言って研究開発を進めて来た『第3の火』原子力は、人間の力で制御しきれず未だ収束の目処さえたてられぬ状態が続いている。
『想定外』と言う。
けれど、今起きている事態を14年も前に恐ろしいほどの正確さで『想定』していた人が確かに居たと報道は暴いた。その碩学は、05年には衆院の公聴会でも警告を発したという。(毎日新聞・発信箱2011.3.29.)
その事を無視し、甚だ想像力に欠けた、同じ人間が確かに居た・・・。
同じ人間は、科学者として心の内ではその事を解っていたかもしれないと思う。
悲しいことだ。
巨大地震と巨大津波は天災。
けれど、原発事故は・・・人災。
この事に関する、ざわざわとした私の心のみだれは怒りをともない今もおさまりはしない。
人間の存在など、この地球上の自然の前では、わずか5分じゃ。
その地球はといえば、大宇宙の端っこの方に存在するのみ・・・
『一微塵にも宇宙あり』
されど、一微塵であるという謙虚さをけっして忘れてはならないと思う。
3.11以前と以後。
3月22日に「AMENIMOMAKEZU」と題したこのページのなかで、
『列島の形まで変えてしまった大地震、大津波は、根源的なところで、我々日本人の意識をも大きく変える事になるのではないかと私は思います。』と書きました。
今も、この思いに変わりはないけれど、我が身を振り返り『美術家に何かできるのか?』
『何か変わるのか?』という問いに、思いを馳せながら祈りつづけながら仕事をする事か・・・自問自答はつづく。
けれど、時が過ぎる程、起きた事があまりにも大きすぎて・・・わからない・・・。
葉桜の季節となり、裏庭の無花果が新芽を出し始めた。
夜になると星の明滅のようにきらきらと美しい。
毎年、これを見ると生命が輝いているように感動する。
版画の「アナ」 —ガリ版がつなぐ孔版画の歴史
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清水武次郎「曲」1963 |
今開催中の、版画の「アナ」を見て来ました。
ガリ版・・・ご存知でしょうか?
1958年生まれの私達世代前後は、学校のプリントは皆わら半紙にガリ版印刷でした。
正しくは『謄写版』。
薄い和紙にパラフィンロウをひいたロウ原紙をヤスリの上にのせ、鉄筆という道具で文字や絵を描き、ロウを除いてできた「アナ」からインクを通して印刷されるというしくみ。
ガリ版は、実家が印刷屋だった関係からか、小学校や中学・高校と職員室の隣にある小さな印刷室のインキのにおいやその雰囲気はなじみ深いものでした。学級通信の手伝いや、ちょっとした挿絵を描いた懐かしい物です。
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清水武次郎「つぼなど」1972 |
今回ご案内する展覧会は、この「ガリ版」の技法を駆使し、独創的な作品を残した、和歌山出身の清水武次郎(1915年〜1993年)の仕事を中心に、謄写版からシルクスクリーンに至る孔版画の歴史をたどるという内容でした。
謄写版で、多色刷りの作品は一瞬木版かと錯覚しそうなものもあり、清水武次郎や福井良之介らが切り拓いた謄写版の表現の幅と深さに感動しました。
「一番大切なものを見失わないようにしたい。私の仕事に意義があると信じたい。— それだけでよい。」属していた日本版画協会を退会した時の清水武次郎の言葉です。以来、和歌山を中心に個展で問われる事になる清水の「一番大切なもの」・・・。
和歌山ゆかりの版画家といえば、田中恭吉・浜口陽三が思い浮かびますが、
ガリ版で、独自の世界を作り出した『清水武次郎』も忘れてはならない作家のひとりです。
版画の「アナ」・・・誰が考えたか、このタイトルがまたとても良いと思いませんか。
清水の「一番大切なもの」とは・・・。美術館でそれを感じ取ってみませんか?
お薦めの展覧会です。
私も制作者として、『一番大切なもの』を見失わないようにしようと思います。
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「luce」
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和歌山県立近代美術館・ミュージアムショップの橋本和明シルバーアクセサリーのコーナー。久々に展示替えをしました。
新作アクセサリーも加えリニューアルした作品達を展覧会ご鑑賞の後のリラックスタイムに是非覗いてみてください。
AMENIMOMAKEZU
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作品題名:AMENIMOMAKEZU |
突然、昨日までと全く違う状況に置かれ、理不尽にも全て無くしてしまう精神状態とはどんなものでしょうか。
3.11.『東日本大震災』による巨大津波は、人々を、家々を、街を、ひとたまりもなくのみ込んでしまいました。
一週間が過ぎてなお回復の目処も立たない福島原発。被災し避難所生活を余儀なくされている多くの人々。住む家を無くし、家族を亡くした人々。
命を落とした人々のご冥福をお祈りするとともに、被災された全ての人々が一日も早く元気を取り戻し、全ての街が復興する事を願わずにはいられません。
心が痛いです。涙が出ます。
被災地はあまりに遠く、祈るより他ないという無力感があります。
今の自分に出来る事と言えば、心ばかりの義援金で連帯する事。
私が住む和歌山県湯浅町は、紀伊水道に面した海沿いの小さな町です。町中の深專寺山門前に嘉永7年(1854年)11月4日の南海大地震による大津波の碑「大地震津なミ心え之記碑」が建っています。
南西の海から海鳴りが三、四度聞こえたかと思うと、見ている間に海面が山のように盛り上がり「津波」というまもなく、高波が打ち上げ・・・大木、大石を巻き上げ、家・蔵・船などを粉々に砕いた。その高波が押し寄せる勢いは「恐ろしい」などという言葉では、とても言い表せないものであった。(碑文現代語訳による)
先日、この碑の事を思い出し、改めてじっくりと読み返して来ました。
今回の大津波は、将来起こるであろう「南海沖地震」による津波の怖さをまざまざと教えてくれました。
今、こうして何事もなく制作できる事の有り難さをつくづく実感しています。
3.11.・・・以前と以後。
列島の形まで変えてしまった大地震、大津波は、根源的なところで、我々日本人の意識をも大きく変える事になるのではないかと私は思います。
春分の日。
暑さ寒さも彼岸まで。
これから、列島は春に向かう。
この季節の流れは、せめてもの「希望」。
関東大震災の日の夜、命からがら上野の山に避難し夜明かしをする人々の中で一人の少年がポケットからハーモニカを出して吹いた。
詩人の西条八十の回想に『初めは黙って化石のように聞いていた人々は曲がほがらかになると「私語(ささやき)の声が起こった。緊張が和んだように、ある者は欠伸をし、手足を伸ばし、ある者は身体の塵を払ったり、歩き回ったりした」荒冬の野に吹いた春風だったと詩人は回想する。』(毎日新聞3/17余録より抜粋)
春という希望の足音は、もうすぐかの地にも確実に届く。
春風にのせて『連帯』の希望を繋いでゆかねばならない。
啓蟄
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お水取りがすむまでは、三寒四温・・・。
「春よ来い、早く来い」だが、弥生三月 三月は去る。
うかうかしていると季節はするりと変わります。
気配
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冬のアトリエ
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今年の冬は、日本海側の大雪の情報が毎日のように聞こえて来ます。
雪の便りを聞くにつけ、学生時代を過ごした金沢の冬を思い出します。
金沢時代の6年の間に、2回の豪雪を経験しましたので、大雪の大変さはよくわかっているつもりです。
鉛色をした重い空、欅の黒いシルエットと対象的な犀川河川敷に積もった白い雪。遠くに見える白山。金沢の冬の寒々とした景色なのに、この光景がとても好きでした。
犀川近くのあばら屋の前の雪をどけて、寒空の下でテラコッタの窯炊きをしていました。
金沢の冬は、静かにものを考えるのに良い季節でもありました。
雪が降り積もった空間は普段見えていたものを白く隠してしまい、余分なものが目に入らなくなることで、何かしら精神的にも落ち着くように感じたものでした。そう、形だけではなく音さえも削ぎ落とされ、寂として凛としている。雪に覆われることで、そこに居る自分自身の孤独感とともに静かに落ち着いてものを考える空間が出来るのかも知れません。
湯浅の冬は、雪が降らない分寒さはましでも、あっけらかんとして隠されるものが無い空間は、同じようにものを考える時でも、その様がかなり異なる感じがします。
そんな事を考えながら、今年の制作も春の展覧会等に向けてそろりと静かに動き出しています。
素描とともに、独自に作った色紙を使ってのコラージュは、彫刻制作のためにイメージを熟成させる一つの取っ掛かりとなります。以前から、大小試みている事ですが、今年は少し目標を定めて制作しようと思っています。
もうすぐ節分。
冬とはいえ、アトリエに射す陽は少しずつ長くなって来ていて、自然光のみで仕事ができる時間もそれにつれて徐々に長くなって来ました。
ストーブに乗っけて焼く焼き芋がまた美味で、制作の後、心も身体もほっこりする楽しみのひとつです。
表干支・裏干支
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私がお参りした日も沢山の参拝客で賑わっていましたが、やはり子授け安産祈願のご利益を求め女性の姿が多かったです。
阿吽の狛うさぎ様は、目が赤くフォルムもかわいらしく良かったですよ。
また、御手水の所の月の力を満たしたうさぎ様は黒御影石でつくられており、ひかっていました。この間この頁でご紹介しましたうさぎさん、今年の開運招福の願いを込めて制作しました「つきをもつ」も、望月を持ったうさぎさんのイメージでした。うさぎに月はつきものですが、黒い月うさぎ様にはちょっとびっくりでした。
さて、「卯」にまつわるこぼれ話です。
泉鏡花は、自分の干支の裏干支のものを集めると縁起が好いということを母親より教わり、酉年の鏡花は酉の真向かいである卯のものを集めたそうです。
私の干支は十二支の第十一番目の「戌」。裏干支は「辰」になります。
表の干支に対して、影のように・・・表を支える・守る裏干支と考えると、また、興味深いものがあります。
さて、あなたの裏干支は?
新年あけましておめでとうございます。
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毎年恒例の「干支の制作」は『卯』
兎の穏やかな様子から家内安全。跳躍する姿から飛躍の年とされているようです。
そこで、今年の『卯』は「つきにはねる」と「つきをもつ」と名付け制作しました。
皆々様にとり、幸多き一年でありますようにお祈りしましょう。
そして、本年もおつき合いの程よろしくお願い申し上げます。