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スキーに行くことになった。
乗馬クラブで私と同じ障害飛越の競技部に所属しているTさんはスキー連盟の会長でもあって、国体のモーグル
スキーチームの監督などもやっておられる男性である。
毎年、誘ってもらっていたのだが、ついに今年、私とダンナのスケジュールがTさんの都合とうまく重なってくれた。
問題は我が家に生息するかいじゅうである。こいつをどうするか。
日帰りでも、早朝から深夜までまいを一人で放っておくわけにはいかない。ましてや、スキー場からの帰りなんて、
渋滞やなんかで遅くなるに決まっている。
ペットホテルに預けるか?いや、かいじゅうを預かってくれるところはないだろう。
近所のドッグサロンが散歩代行サービスをやっているが、かいじゅうの散歩なんか出来ないだろう。
もちろん、近所の人に頼むなんて、論外だ。
最近のまいはずいぶんおとなしくなったが、他人が来ると喜びまくって興奮し、手に負えなくなる。
仕方がない。Tさんに「連れてってもいい?」と相談するとあっさり「連れていったらええ」と言ってくれた。
ま、ペットホテルに預けたって、ずっとケージの中に入れられたままで、何度か散歩に連れ出してもらうだけなんだ
から、車の中のクレートにずっと入れておくのも同じだろう。駐車場はゲレンデのすぐそばらしいから、数時間おきに
クレートから出して散歩してやればいい。
何とかなるだろう・・・たぶん。

兵庫県のスキー場についた。
車の中にまいを入れたクレートをずっと置いておくつもりだったが、到着するなり、Tさんは勝手知ったる宿舎の主人
に話をつけてくれたらしく、まいをトイレに連れていってる間にクレートを宿舎の一角に運んでくれた。
スキー置き場の入り口のガレージのようになった場所で、風も雪も入らない。
すでに私達も日帰りではなく、一泊することになっていた。念のため、お泊まり道具は(まいの分も)持ってきていたの
であわてるこたぁないが、初めての犬連れお泊まり旅行がこんなに行き当たりばったりになるとは思ってもみなかったよーっ!

初めて見る大量の雪にまいは大興奮だった。
積雪は軽く1mを超えている。翌朝、偶然見つけた一面の真っ白な雪原。その表面に何か黒い棒が置いてあるように見
えたので、ズボズボと近寄っていくと鉄棒だった。
どうやら、児童公園らしい。
まいの喜びようはとても言葉で表現出来ない。顔全部が笑っていて、全身が弾むバネのよう。
うっわー!うっわー!そんな歓声を上げてるような顔だ。
思い切りジャンプして、雪原に飛び込む。ズボッと全身が埋まる。
また思い切りジャンプ!
胸まで新雪に埋まって、遭難しかかっている私を振り返り、ズボズボと走ってきたかと思うとまた、うっわー!ってな顔をして、
走り去っていく。さすが、かいじゅう。体力は無限である。
いやー、でもこんなに喜んでくれるとは、連れてきた甲斐があったってもんだ。
せっかくTさんに指導してもらえるのにまいの相手で時間が削られてしまうけど・・・こんな笑顔を見たら、ま、いいかって思うわな。
はい。ほんまに親馬鹿ですわ。
8 かいじゅう、雪国へ行く