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その事件は気持ちのいい秋の日に起こった。

私達(ダンナ、私、まい)は近所の山へ遊びに出かけた。まいはいつもと同じようにはしゃいでいた。
まいは興奮するとやたらと草を食べる。狂ったように食べる。一種の転移行動なのだろうが、この日、まいは手当たり
次第にそこいらの草を食べまくっていた。止めさせようとしても止まらない。目の色が変わっている。
それでも、いつもはしばらく歩くうちに興奮も治まってきて、草を食べなくなるので、この日もそうだろうと思っていた。

ようやくまいも草を食べなくなり、元気いっぱい縦横無尽に私達2人の周りを探検し始めた(人通りがない山道では
伸縮するリードを使っている)。
異変が起きたのは1時間も歩いた頃だろうか。
口からヨダレが垂れている。が、その時は私達が食べていたガムの匂いにつられたのだと思っていた。
「食いしん坊やなー、でも、これはアカンで」などと言いながら、なおも歩いていったのだが、ヨダレは止まらず、しかも
量が増えてきた。
「なんか、おかしくない?」
さっきまではしゃいでいたのに今はおとなしくトボトボという感じで歩いている。
と、いきなりしゃがんでウンチ・・・下痢だ。今朝は何ともなかったのに。
なんか変な物を食べたのか?真っ先に頭に浮かんだのはそれだった。
さっきまで、あんなに元気だったのだから、病気とは考えられない。絶対、拾い食いだ。
毒入りのお菓子を食べたのか?それとも毒キノコ?それとも毒のある木の実?
すぐに引き返すことにした。とは言え、山の中。車のある場所までまた1時間ほど歩かねばならない。
いまやまいの口からは大量のヨダレがあふれ出していた。凄まじい量だ。口全体からどんどんあふれ出てくる。
切れ目がなく、まるで滝のよう。そして、また下痢。
「まい、頑張って!」
抱いてやろうかとも思ったが、まだまいは自力で歩いているし、1時間も抱いて歩かれる方がまいにとっては辛いかもしれない。
まいは一生懸命歩いている。「休憩する?」と立ち止まると途端に地面にぐったりへたばってしまうが、また歩き出すとついてくる。
休憩させてやった方がいいのか、それとも、早く車へ戻って、病院へ運んだ方がいいのか、葛藤が続く。担架を作って乗せてやろう
かとさえも思ったが、それも嫌がりそうだし、まだ歩けるようだ。
急にまいが立ち止まり、苦しそうにえずいたかと思うと・・・吐いた。
巨大なボール状の草。ソフトボール大。さっき、目の色を変えて食べていた草。
崩れた草ボールの中から直径2〜3cm大の小石が5個転がり出た。
これが原因?
だが、吐いた後もまだまいのヨダレは止まらない。ぐったりとして力もない。

やっと車に戻って、クレートへ入れてやった。
みるみるうちにクレートの中がヨダレでベトベトになっていく。タオルを入れてやったが、とても吸いきれない。
急いで家へ戻ったが、ヨダレの量は全然減らない。クレートの中は深さ5mmくらいのヨダレの海と化していた。
車からおろすとまいが立ち止まった場所にみるみるヨダレの海が出来上がる。
現在、アカルスの治療で通っているO動物病院に電話をしてみるが、日曜日の午後は休診でつながらない。
以前に通っていたD動物病院も日曜日は休診でやはり電話は誰も出ない。
どーしよう?まいが死んじゃうかもしれない!!

一体、まいはどうなったのか?
続きは事件簿17へ。
15 どーしたのっ?!