メニューへ
次のページへ
前のページへ
緊急に本州最南端、串本町(和歌山県)に行かなければならなくなった。
以前に急用で同じ串本町へ行かなければならなくなった時は、お留守番のまいのために特急で日帰りしたが、
今回は一泊しなければならない。
緊急だったので、かいじゅうを預かってくれる先を探す余裕がなく、連れていくことになった。
だが、スキーの時と違って、遊びではない。しかも、串本町までは車で5時間はかかる。高速道路は途中まで、
後は海岸沿いのカーブが続くドライブになる(景色はいいけどねー)。
この頃、私はまいが車酔いするようになったと思いこんでいた。車に乗せるとヨダレをダラダラ出すようになって
いたからだ。後日、このヨダレは車に乗せて山などへ遊びに行く時、虫除けにとまいの体に塗っていたハーブオ
イルの匂いのせいである事が判明するのだが、この時はとにかく車酔いの薬が必要だと思った。
いつも行っているD動物病院は休みだったので、隣町のもっと大きくて評判のいいO動物病院に偵察も兼ねて行き、
酔い止め薬を処方してもらった。

翌朝、出発の1時間前にシロップ状の酔い止め薬を舐めさせ、いざ、車に乗せようとして、まいの異変に気づいた。
下まぶたがダラリと下がり、充血した白目がむき出しになっている。全身から力が抜け、特に下半身には全く力が
入らず、立ち上がろうと前足に力を入れるのだが、ぐにゃりと崩れ、弱々しくもがくだけ。
病院の先生は「ちょっとぼんやりして、動きが鈍くなります」と言ってたけど、立てなくなるとまでは言ってなかった。
どーした?薬が多過ぎた?体質に合わなかった?
慌てて病院に電話しても早朝でつながらない。夜間の緊急連絡番号は午前5時まで。今は6時。
診察開始の9時まで空白の4時間である。
とにかくまいを抱き上げて車に乗せ、途中でO動物病院へ寄っていくことにした。誰か宿直の先生がいるかもしれない。
だが、病院のベルを何度鳴らしても誰も出てこなかった。他の病院を探す時間もない。
まいはただ動けないだけで、苦しんでいる様子はないので、とりあえず串本町に向かうことにした。
9時前に阪和道のSAからO動物病院に電話を入れた。電話に出たのは昨日の先生ではなかったが、薬の量が多過ぎ
たのかもしれない。数時間たてば元に戻るはずだから、心配いらないと言われた。薬が多すぎることで副作用等はない
のかとしつこくたずねたが、大丈夫だと言われた。

車中ではずーっとぐったり寝ていたまいだったが、3時間くらいたつとヨロヨロしながらも自力で歩けるようになり、串本町
に到着した時にはほとんど復活していた。まいのかいじゅうぶりがこんなに嬉しかった事はない。
かいじゅうでもいい。元気なのが一番だ。

夕方、散歩に出た。まいはもう完全に復活している。
浜辺に出た。初めての海。本格的に海水浴して遊ぶ場合ではないし、時間もないし、準備もしてきていないが、せっかく
きれいな海に来たのだから、体験くらいはさせてやろう。
まいは恐れる風もなく(川での水泳は大好き!)海へ入っていったが、足首が浸かった時点で立ち止まった。
海水の匂いを嗅ぎ、飲んだ。
うわーっ!変な味!ってな表情。すぐに海から上がってきた。お気に召さなかったようだ。私が泳いで誘ってやれば入って
くるかもしれないが、水着も持ってきてないし、また今度だね。それに後が大変だから、水泳は川の方がいいかなーって思うし。
結局、浜から出て、しばらく歩くときれいな小川があったので、さっきの海水を流すためにもまいを泳がせてやった。
楽しそうに泳ぐまいの姿にしみじみ思う。
元気になって、よかったよー。かいじゅうに戻ってくれて、本当によかった。
10 かいじゅうでもいい・・・