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才能のない人にも絵が描ける方法
(パステル画集)

 こう描くと、誰も信じないんですが、僕は中高から大学(通学制)の学生時代
は絵が全く描けませんでした。                              
 別ページにも書きましたが、高校時代、美術の成績で10段階評価で「9」「10」
をもらったことなど一度もありませんし、ずっと平均「7」。唯一「8」をもらったのは、
「アンドリュー・ワイエス展が開催されている美術館の鑑賞レポートを提出せよ。」
というレポート課題を完璧にしあげた時だけです。つまりは、絵は好きだけど、人並
み以上には上手くは描けない、ごく普通の美術鑑賞者のひとりだったのです。
   
 そんな僕が、素人が見たらそれなりに「上手に」見えるデッサン力を身に付けること
ができたのはいくつも偶然が重なったからです。                     
                    
(無論、今、本当にプロとして活躍している画家やイラストレーターの方に較べれば、
決して「上手い」訳でも真に才能ある「面白い」「いい」絵が描ける訳でもないという
のは分かっておりますが。)                                 
 その一番大きなきっかけはパステルとの出会いでした。               



1. 造形大 入学前 (1994年〜2000年)                  
作品(A)
1994年
A.きっかけは「パステル」から
 自分にも絵が「描ける」ことを発見したきっかけは、「パステル」との出会いにありました。
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 実はこの1994年以前にも3年ほど油絵を習ったことがあるのです。しかし、それは習ったとか描いたとか言うレベルではなく、ただ絵の具を並べて塗っていたというデタラメな状態でした。
 その頃、友達のI先生(その頃はまだ師弟関係ではありませんでした)にも時々、絵を見てもらっては「もう才能無いから、絵はやめた方がいいんとちがうか。」と冗談めかしつつも本音をズバリ言われていました。
 「まあ、そう言わんと見てよ。」と頼みつつも、自分でもこれは才能がないなと思いました。
 そして絵画教室も止めてしまい、とうとう1年ほどは全く絵を描かない状態が続きました。
 おそらくそのまま絵を止めてしまうのが自然な流れだったと思います。
 ところが、ある時、似顔絵を描くことになり、その時僕は、I先生が以前、何気なく口にした「油絵よりまだ鉛筆の方がましやな。」という言葉を思い出しました。そして絵本を見よう見まねで色鉛筆を使ってそれをなんとか仕上げたのでした。
 何をどう描いたらいいのか全く分からず、確か色使いの参考にイラストレーターの「きたのじゅんこ」さんあたりの絵本を食い入るように見つめたことを思い出します。
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 その色鉛筆で人物を描く作業は、出来不出来は別にして思いの外、愉しくて心地よいものでした。味を占めた僕は、I先生に色つきデッサンとして「パステル」なるものの存在を教えてもらい、パステル画教室に通うことになったのです。
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 作品(A)はその教室で初めて描いた人物画です。まだ複数の色は使えなくてモノトーンです。
 けれど、画材としては色の元になった顔料の割合が高く、その為、水彩や油彩など他のあらゆる画材に較べて最も発色が良くて綺麗だといわれるパステルの、美しさはモノトーンの方が初心者には分かりやすくコントロールしやすいので、決して
貧弱にはなっていません。
(やや、モジリアーニ風に縦長でバランスが悪い人物になっているのは承知しております。当時はこの程度の間違いも分からないデッサン力だったのです。)


B.始まりは「消しゴム」から  

  パステルを始めて驚いたことは、まず最初は「描かない」で始まること。
 パステルをやったことがない人は「描かない」と訊いて「えっ!」と思うかもしれないが、パステルは最初に「描く」もではなく、画面に色を塗って、しかる後にティッシュや練り消しゴムで「消す」作業を行って初めて、新たに付け加える「描く」作業を開始していきます。
 もう少し表現を変えれば、「描く」というプラス行為の前に、それまで画面に置いていたパステルを画面から削る「消す」よいうマイナス作業からスタートする訳です。
 以後、「消す」ことと「描く」ことを交互に適宜、繰り返しながら絵を完成させていきます。
 (詳しくは個々の作品(A)から(C)までの画面をクリックして下さい。それらにもう少し詳細を書いています)
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、作品(B)の人物の顔がおかしいのは、後頭部が小さすぎるからです。やはりデッサンが基本的に間違ってます。
 作品(C)は人物の上半身と下半身のバランスがおかしいですね。それに何やら人形のように固い印象があります。

作品(B)
1994年

作品(C)
1995年
2. 京都造形大 入学後 (2000年4月〜2003年3月)
新規
作品(D)
2000年
絵画基礎演習
C.「消し」から入らない描き方

 Bではパステルは描かない、まず消すことと言いました.
 が、当然、別の描き方もあるわけで作品(D)はデッサン風に描きながら消して描いていきました。
 いわば、マイナスよりはプラスを主体にしています。 
 ただ、これもどこかで「消す」「ぼかす」というパステル特有のマイナス技法を常に意識して描いております。
 作品としての(D)は、見れば分かるように(A)から(C)の作品とは雲泥の差の出来だと思います。もちろん、人物の方が難しくリンゴの方が描きやすいということもあるのですが、(D)はライティングからして自分でセッティングしてパステルらしい色を「光」と「影」の中で描こうと最初から意図して描いています。



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