【ピアニスト&「ピアノの先生」の先生であるMegumi先生からの贈り物】
ネットの上だけのやりとりだけで、実音を聴いて頂く事は無く、
実際のレッスンとは異なるものの指導内容の「ごく一部をこうした形で紹介することも
導入として意味があるかもしれません。」と公開を許諾して頂けた。
「実際に弾いているところを見るとそれぞれ千差万別な問題点があり、
改善方法も千差万別で、音楽表現も同様です。
一人一人の演奏を聴き、実地に見た上で、
何が良くなくて、どうすれば良くなるかを瞬時に判断し、
適切なアドヴァイスをして、見違えるほど素敵にする・・・と言うのが
実際のレッスンの価値です。
「どれくらい」とか、「どういうふうに」といった微妙な事柄は
文章では伝えきれないし、情報量もあまり多くを伝えられないので
Web上の記載は『実際のレッスンとは異なるもの』です。」
(Megumi先生)
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とは言え、一般に通用する啓示に富んだコメントの数々・・・、と言うか
真摯な指導者の言葉と言うところに万鈞の重みを感じてしまう。
【Megumi先生の基本的アドヴァイス】
長い指ほど、奥(鍵盤の向こう側)を弾くようにして、手の甲が奥と手前をグラグラ行きつ戻りつしないよう気をつける。手の甲をなるべく、ベルトコンベアに乗ってるかのように素直に左右に動かし、ぐらつかせないのが有効。
また、ソラソファソドミ│レドレドシドミソ、と言う感じに分かれないように、ソラソファソドミの後、レドレドがかすかに前のめりに勢い良く出る感じに弾こうと思うと先へ行きやすくなります。右腕に体重が乗らないよう気をつけ、親指側が下がって肘の関節がひっくり返る(がま弾き)にならないようにして、ほんの少し腕を浮かせ、からだはややピアノから離れるようにすると腹筋背筋が使いやすく、つまりからだが支えやすくなります。腕の角度も90°よりはずっと開く感じにすると横の移動は楽になります。
レドレドが遅れないようにする方法は複数あります。ソラソファソドミにかすかにクレッシェンドを感じて、その後のレに、ちょっとアクセントを付けて弾くか、逆に、ソラソファソドミを感情込めて粘り気味に、つまり、ちょっと時間をかけて弾いて、その後のレドレドをそれまでより軽く早く弾くか・・・。
いずれにしろ、レドレドをかすかに速く、タイミングも早く、前のめりに弾こうとしながらゆっくり練習してみて下さい。それを数回やってからぱっと普通に弾くとさらっと弾けます。
左のバスだけを抜き出して何度か弾いて、バスの旋律をよく頭に刻み込んでから、左手の音全部を弾きます。この時、バスの音だけは、ある程度スピードの速いタッチで深くシッカリ打ち、それ以外の5つの音はタッチスピードのゆっくり目の柔らかい音で、深くきつく打たないように気をつけたうえで、5つの音色を揃えようとして見て下さい。それが出来てから右手のメロディーと合わせます。(こうしたことを、もっと細かく毎週やっていると、バイエル段階でショパンを弾くことも出来ます。)
力や重さのかけ方のバランスを考えると、とても楽になります。バスで言うと、ドミ・ドミ・レファソソで、ひとまとまりですが、こういう形を私は「ショート・ショート・ロング」と言っています。短いモチーフが2度、同じ音型またはリズムを繰り返された後に、長いフレーズが続き、3つでワンセットです。
こういう形の場合、短いモチーフの部分は長い所を目指して進もうと思って弾き、長い部分は「これがやりたかった」と思って丁寧に弾くと形が整います。そして長い音型のなかでも重さや力のかかり方のバランスをどうするかで、気の済む演奏と気の済まない演奏に分かれます。ドミ2回は次を目指して弾き、レからファで盛り上がり(強いだけでなく時間的にも少し粘り)、ソソでちょっとまとめるため、ソソはレファよりダウンします。次のドミ・ドミ・レレソソの方は、(テンポの速い曲は山が前に来がちで)前のドミ・ドミ・レファソソより、ややダウンしながらも、次のララシミのフォルテのところへ向かっていきます。
そうした「力関係」を考えて、強弱や時間的な揺れを使うと、中間部も歌いやすくなります。実は強弱より時間の変化の方が有効です。基本的には1小節の前半の方が重いのですが、各小節が同じではもちろんないです。伴奏を意識すると時間を操作し易くなります。右でいうとラーシラレミの小節は前半の左の、特に最初の3つくらいをていねいに時間をかけて弾き、ファーラーの小節はもちろん、伴奏の中にメロディーと重なって強調される音があるし、メロディーもラーの方が盛り上がるので、この小節は後半の左の、特に最後の3つを粘ると「山」が決まります。その次の小節の各拍にアクセントがあるのをぐいぐい進む感じで行って、4拍目の付点のファーレのファーでちょっとだけ粘って、次の小節のラーで少しまとめるつもりで弾き、でも終わらずにアクセント付きのシーが飛び出してくる。この飛び出してきたシーは目立つ方が似合うから、前のラーより粘る。このシーは2小節に渡って伸びていますが、小節線を越してからの方が粘るのが似合います。1拍目を含むから。 |