作曲年:1873.12/76-77/89
編成;2fl,2ob,2cl,2fg,4hn,3tp,3tb,timp,5st, 献呈/Wagner
1.第1稿(1874/NOWAK1版):1872-1873/12/31,1874、初演;1946.12.1-2Dresden,カイルベルト:シュターツカペレ
2.第2稿(1877/OESER版):1876-1877/12(1878P->1950)、初演;1877.12.16Vienna,Bruckner:VPO
3.第2稿(1877/NOWAK2版):1876-1877/12,1878,codainscherzo1980P、初演;
4.第3稿(1889/NOWAK3版):1888/3-1889/2/27、3/4,1890P初演;1890.12.21Vienna,Richter:VPO
【所有CD及び感想】
第九を味わっていると、やはり第1楽章のメインテーマが満を持して再来し、来し方を想いつつ大団円を迎えるブルックナーエンディングの第4楽章がある曲を聴きたくなり、第三の各稿のCDが紹介されているのに触発されて聴き直しました。第一稿(1872-1876)はノリントン/LCPが素晴らしい。音楽が生き生きしている。インバルはまさに初演みたいで新鮮だけれど何か物足りない。第三は演奏によって本当に初期の頃の作品と言う感じがするものと、第八、第九と同じレベルの感動を受けるものの二通りがあって当初から不思議な曲でした。後になるほど刈り込んでいくのだから、版の種類より演奏の仕方でしょうが、三つの各稿の成立年を見てみると第二稿(1877-1878)は第五と同時期で、第三稿(1888-1889)は第八第二稿、第九と同時期になっています。
大団円ならばやはり第二稿と言うことで特にハイティンクに魅せられてきましたが、今回ザンデルリンク/BRSOを聴いて、第三稿は確かに「後期の大作品」と改めて惚れ込んでしまいました。ライプツィヒ盤よりも広がりがあって深みの点でも最高。クナッパーツブッシュ/VPOやセル/CO等もそれぞれ素敵な世界を作ってるのだけれど。第三については、やはり第一稿は初期風に、第二稿は中期風に、第三稿は後期風に演奏するべし等と勝手に結論しています。三番のCDでとても興味深いのが、トレンクナーとシュピーデルのピアノデュオ盤。私自身、ベートーヴェンの交響曲七番なんかはカツァリスのピアノソロのほうが好きなくらいなので、ピアノ編曲版には余り抵抗が無いせいもありますが。マーラー版という事よりもスタインウェイの上で20本の指が作り出す音響世界のすばらしさのほうが先に立ってしまう。パイプオルガンの場合とまったく異なるこの世界もとても楽しい。オルガンでも聴く機会があれば良いのですが。オルガンの場合はピアノと違ってメロディ楽器で、かつ音色が物理的に多彩なだけに編曲の不条理が浮き彫りになってくるが、ロッグの八番なんかを聞いていると大オルガニストのブルックナーがなんと言われても交響曲を作曲し続けた理由が見えるような気がします。ぜひ第三についてもやってみて欲しいものです。単音楽器編曲を聴いていると、次元は違うけれど編曲の本質に触れる試みの限りではMIDIもかなり良いところまで行くのではないかとも思う。(実は、J.Kraus氏の第九第一楽章MIDI版にもいろんな面で感動しています)。体全体で味わうものであるパイプオルガンについて、CD録音で聴くことは比較自体に無理があるのと同様にオーケストラCD比較もスピーカを通して聴く限りでは無理があると思いながらも夢中になってしまうディジタル鑑賞。何時の日にか欧州の古い教会を譲り受け、そこに最新鋭の3D再生機器を大スピーカと共に据え付けて古今の名演奏CDの原音再生を体全体で聴いて比較したいと言う想いは、それこそ無理があるのかも。
最もゆったりと演奏しているのがザンデルリンク。クナッパーツブッシュと並んで60年代初期の録音だが、信じられないほど巨大な世界を作り出している。攻撃的な表現で圧倒的な3番を描いているが、随所に詩情を感じさせる。直線的で圧倒させられるのはクーベリックだがやや情緒に乏しい。攻撃的という点ではセルもクリーヴランドとは思えない金管楽器を厚くした表現をしているがやや一本調子でもうちょっとデリカシーも欲しい。ハイティンクはロイヤルコンセルトヘボウでエーザー版を、後にVPOでノヴァーク第二稿を録音しているが旧版の方が野性味があって良い。時々感じるのだけれど、ウィーンフィルの音は本質的にはブルックナーにはそぐわない。特にこの三番ではその感が強い。シュトラウスのポルカなんかとは世界が違う。
版 |
指揮 |
オーケストラ |
I |
II |
III |
IV |
DATE |
1889 |
クナッパーツブッシュ |
VPO |
19'06" |
14'02" |
7'17" |
13'16" |
P1981 |
1889 |
クナッパーツブッシュ |
ミュンヘン |
22'10" |
13'51" |
7'51" |
14'59" |
1964/1/14 |
1889 |
チェリビダッケ |
シュトゥットガルト |
23'31" |
17'09" |
6'48" |
13'26" |
|
1889 |
チェリビダッケ |
ミュンヘン |
25'07" |
16'38" |
7'46" |
15'03" |
1987/3 |
1889 |
セル |
クリーヴランド |
20'03" |
15'27" |
5'53" |
12'21" |
1966/1/28-9 |
1889 |
ケーゲル |
RSOライプティッヒ |
19'39" |
13'53" |
7'02" |
11'45" |
1978/6/6 |
1889 |
ヨッフム |
ドレスデン |
20'50" |
15'39" |
7'40" |
11'02" |
1977/-- |
1889 |
ヨッフム |
バイエルン |
19'51" |
15'08" |
7'12" |
10'35" |
1967/1/1 |
1889 |
クーベリック |
バイエルン |
20'04" |
16'02" |
8'34" |
14'45" |
PRT |
1889 |
ザンデルリンク |
ライプティッヒ |
23'05" |
17'28" |
7'39" |
15'28" |
1963/6/1 |
1889 |
朝比奈 |
大阪フィル |
22'59" |
16'37" |
7'51" |
13'54" |
1993/10/3-6 |
1889 |
ザンデルリンク |
バイエルン |
20'47" |
14'57" |
7'18" |
14'49" |
PRT |
1889 |
マタチッチ |
VSO |
19'43" |
15'14" |
7'16" |
15'02" |
|
1877N |
バレンボイム |
BPO |
20'50" |
16'14" |
6'51" |
15'20" |
1995/12 |
1877N |
アーノンクール |
ロイヤルCO |
19'29" |
13'26" |
7'02" |
14'37" |
1994/12 |
1877N |
ショルティ |
シカゴSO |
21'49" |
16'39" |
7'00" |
13'57" |
1992/11/1 |
1877N |
ハイティンク |
VPO |
21'21" |
16'58" |
7'30" |
15'40" |
1988/12/5-7 |
1877E |
ハイティンク |
RCGO |
19'20" |
14'42" |
6'58" |
15'34" |
1963/10/1 |
1877E |
朝比奈 |
大阪フィル |
19'37" |
15'02" |
6'54" |
16'21" |
1977/10/28 |
Mahler |
トレンクナー&シュピーデル |
ピアノデュオ |
22'45" |
17'05" |
5'49" |
12'49" |
1994/6 |
1873 |
ティントナー |
ロイヤルスコティッシュCP |
30'34" |
20'37" |
6'47" |
19'22" |
1998/8/27-28 |
1873 |
ノリントン |
ロンドンCP |
18'48" |
17'14" |
6'24" |
14'57" |
1995/9 |
1873 |
インバル |
フランクフルト |
24'00" |
18'51" |
6'07" |
16'14" |
1982/9/14-15 |
|