ちょっとした計算をひとつふたつするだけなら、 Calc を起動するもう一つの方法があります。 M-# q (または M-x quick-calc) とタイプして、 次に計算したい式を代数的に入力してください。 Calc は その式を計算して、結果をミニバッファに表示します。 このとき Calc ウィンドウは開きません。
クイック計算式の中では、
$ を使って直前のクイック計算の結果を参照することができます。
古い結果は保持されません。
クイック計算はスタックやトレイルに影響しないのです。
計算した結果を忘れてしまったら、
もう一度 M-# q
を走らせて `$' を式として入力しましょう。
もしこの M-# q が Emacs を起動して最初の Calc 呼出しだったら、
*Calculator*
バッファが作られ、Calc の通常初期化手順が踏まれます。
ただし新しいウィンドウを開くことはしません。
クイック計算は *Calculator*
バッファを参照してモード設定を調べます。
従って例えば、普通の Calc をちょっと走らせて普通の p コマンドを使えば、
クイック計算における計算精度を設定できます。
M-# q
を Calc バッファから使った場合は、
アポストロフィー・キーを押したのと同じ結果(代数的入力)になります。
クイック計算の結果は表示されるだけでなく Emacs の「キルリング」にも置かれます。 そしてそれは引き続く C-y コマンドで編集中バッファにヤンクされます。 この方法で次のクイック計算にヤンクすることもできて、 これは $ 表記を使うやり方の、より明示的な代替手段です。 また、M-# c をタイプして、Calc スタックにヤンクすることもできます。
RET の代りに LFD (または C-j) をタイプして式入力を完了したら、 結果は編集中バッファに即挿入され、キルリングには入りません。
クイック計算の結果は = を押した時と同じように評価されます (変数にストアされた値があればそれに置換えられる)。 入力した式が、`foo := 2 + 3' や `foo := foo + 1' のように `:=' 演算子を使った 変数割付けであれば、 評価結果はその Calc 変数にストアされます。ストアとリコール 参照 。
結果が整数で、かつ表示基数が 10進ならば、16進や 8進形式でも表示できます。 その整数が 1 〜 126 の範囲なら、ASCII 文字でも表示できます。
例えば、クォートされた文字 `"x"' はベクトル `[120]' を生成します (120 は 小文字「x」のアスキーコードなのです; 文字列(Strings) 参照 )。 これは整数ではなくベクトルなので、 単にその時のモード設定に従って(10進なら 10進で)表示されます。 しかしクイック Calc を再起動して `120' を入力すると、 その数の 10進, 16進, 8進, アスキー形式での表示である `120 (16#78, 8#170, "x")' が生成されます。
断っておきますが、 クイック Calc は普通の Calc と比べて読込みが速いわけでも、 計算が速いわけでもありません。 「クイック」と言う名前は、 ちょっとした計算用には煩わしさが少ないという意味に過ぎません。
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