海外の露地植え試験
hardy fuchsias
イギリスとオランダの露地植え試験
ここでは、夏が冷涼な地域における露地植えの可能性を検討してみます。
ただし管理人は、冷涼な気候で露地植えを実験できる環境にありません。すべてヨーロッパの資料を参考にした記述にすぎないことをおことわりします。
まず、イギリスとオランダではフクシア協会が 「耐寒性フクシア」 を公表しています。それぞれの耐寒性試験について見てみましょう。
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イギリスの露地植え試験
イギリスでは1960年代から1980年代の終わりにかけて、合計3回、フクシアの耐寒性テストが、RHS (王立園芸協会) と BFS (イギリスフクシア協会)
により、Wisley Gardenで実施されました。
これに加えて BFS では、Harlow Carr でも栽培試験を行いました。
1989年には、『BFS 1988 Hardy List 』 (BFS 耐寒性フクシアリスト、1988) が発表されました。
現在、BFS による耐寒性フクシアのリストは、
BFSのサイトで見ることができます。この記事を書いた時点では、下記の順にクリックするとリストが開きます。
- BFS: Show Bench List → Hardy
サイト構成の変更により順路が変更になった場合は BFS、Hardy Fuchsias などをキーワードに検索してみてください。
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さて、ここで問題になるのが、いったいどの程度の寒さで耐寒性試験をしたかです。
右はイギリスの非常に大まかなハーディネス・ゾーンマップです。
イギリスは緯度の割には温暖です。試験地 Harlow Carr を Gelders Fuchsia Info-site (GFI) ではゾーン9と見なしています
(実際は8かもしれませんが …)。
これに対して、日本の寒冷地はどうでしょうか。
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ゾーン No. | 最低気温 | 日本の都市例 | 試験地 |
ゾーン5 | -23.3〜-28.9℃ | 旭川 | |
ゾーン6a | -20.6〜-23.3℃ | 釧路 | |
ゾーン6b | -17.8〜-20.5℃ | 札幌 | |
ゾーン7a | -15〜-17.7℃ | 山形、長野 | |
ゾーン7b | -12.3〜-14.9℃ | 青森、盛岡 | |
ゾーン8a | -9.5〜-12.2℃ | 秋田 |
Wisley、Harlow Carr はこのあたりと考えられる。 |
ゾーン8b | -6.7〜-9.4℃ |
仙台、甲府 |
ゾーン9a | -3.9〜-6.6℃ |
三大都市圏、福岡 |
ゾーン9b | -1.2〜-3.8℃ |
洲本、鹿児島 |
(日本の都市のゾーン区分は、『日本花名鑑』 を参考にしています 1))
ご覧のとおり、日本の寒冷地 (夏季に限れば暖地ガーデナーにとって垂涎の的) はイギリスの試験場所よりグンと寒いですね。
イギリスの試験で耐寒性があるとお墨付きをもらっても、日本の寒冷地では再実験が必要になりそうです。
暖地では、北国のほうがフクシア栽培が容易だと思われるかたもいるかもしれません。
なるほど、開花時期の気候を考えると圧倒的に有利ですが、実は冬越しが問題になります。
フクシアについて話をするとき、暖地のかたは、北国の冬のご苦労を思い、北国のかたは、団地の夏の苦労を念頭に置けば互いに気持ちが通じ合うかも …。
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オランダの露地植え試験
オランダでは Velp というゾーン7に相当する場所で、フクシアの耐寒性試験が1986〜1995年にわたって行われました。
イギリスよりも厳しい基準になります。
試験結果に基づいて耐寒性に優れたフクシアが選定され、これらは Ned-H3 Winter-hardy fuchsias (Ned-H3 耐寒性フクシア)
と名付けられました。
Ned-H3 フクシアは、別ページの 「Ned-H3 耐寒性フクシア」 に掲載しています。
左の目次から開いてください。日本でも入手可能な品種が含まれています。
(2013年2月18日)
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参考(数字をクリックするとページ内のリンク先へジャンプします):
- 1) 『日本花名鑑 3』、 日本花名鑑刊行会 (2003)、植物耐寒ゾーン地図
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