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GS美神 リターン?
Report File.0028 「大パニック!女子校に吹き荒れるセクハラの嵐!! その5」
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ハァ、ハァ、ハァ、ハァー
「あ〜驚いた〜っ!まさか俺がこんな事出来るなんて。思わず心の命じるままにやっちまったけど、ほんと驚きだ。それにこの両腕の手甲みたいなのは何だ?」
息を整えつつ両手に発現した新たなる霊能力に横島はしげしげと見詰めた。
ズキッ!
「っ・・まただ。・・これは『栄光の手』・・『栄光の手』というのか。まただ、また俺の知らない知識が浮かんできた。俺いったいどうなってんだ!?」
その能力が栄光の手と呼ぶもものである事とそれが出来ることが頭痛と共に浮かび上がり知識として与えていた。が、なぜそう言った知識が浮かぶのか急に不安になった。
”うへへへへ、うへうへ、うへへへへ”
「きゃあーー!いやーーつ!助けてーーっ!おかあさーん!!」
鏡子の叫び声とチカン霊の愉悦の声を聞き、今感じた不安を振り払った。
「今はそのことはどうでも言いや。先ずは女子高生助けないとな。うまくやればお礼にキス一つぐらいしてくれるかもしれんしな。それに神木刀を忘れたからこの『栄光の手』の能力はありがたい」
無理やりにでも考えをまとめ鏡子を助けるべくチカン霊の前に動いた。
”うへっ!?”
チカン霊は楽しむ事に夢中で横島が屋根に上っていた事に気付いていなかった。それが急に目の前に前の騒ぎで天敵と感じた横島が現れて動揺した。
「おイタはいかんぞ?大人しくその女子高生を渡しやがれ」
そう言って横島は両方の『栄光の手』の爪を伸ばした。使い方はわかってもそれを使いこなすだけの力量は今はなかった。せいぜい爪を伸ばしリーチを広げるぐらいが関の山だった。どのような応用の仕方があるかなまじわかるだけに今の自分の未熟さを痛感させられた。それでも何とか表に出さずにチカン霊に言った。
”うへうへ”
「ちっ」
チカン霊と横島との第2ラウンドが始まった。
*
少し場面は戻る。
「な、あのバカ。スピード落としなさいよ。壁にぶつかるわよ。ほら、言わん・・ってなにーー!?」
ズシャー!
令子はまたもや横島の後を追いつづける事になったのだが横島の予想外の行動・・体育館の屋根への跳躍を見て驚き思わず足をとられダイビングしてしまった。
「いたたー。もう、今日は厄日!?これもあれも全部横島クンのせいだわ」
と責任転嫁しつつ立ち上がり土を払った。
「しっかし、とんでもない事するわね。あの身体能力は人間のもつ最大ポテンシャルを云々て言うレベルじゃないわね。霊能力で補っていたにしても人には無理そうだけど、本当に人間かしら。でも、困ったわね。あんな所、私は横島クンのような方法は無理だわ。どうすれば行けるかしら」
キヌに言われ横島につられて動いたが肝心の場所への方法を考えていなかった。
”まってくださーい。美神さーん”
そこにやっと追いつけたキヌが声をかけた。
「!」
令子は閃いた。
”どうしたんですか、美神さん?”
キヌはきょとんとして聞いた。
「おキヌちゃん!私を持ち上げてあの屋根にまで運べる?」
令子はキヌが実体あるものを運んだりできることを思い出して聞いた。
”出来ると思いますけどここからじゃ辛いですけどあそこの真下辺りからなら”
キヌは少し考えて答えた。流石に人一人分の重量はいかなキヌでもきつかった。
「そ、じゃ急ぎましょ」
令子はそう言って走り出す。キヌは慌ててついていった。
”でも、美神さんがここにいるとして横島さん、どうやってあそこに?”
キヌは当然あろう疑問を聞いた。キヌは丁度横島が跳躍したのを見ていなかったのだ。
「飛び乗ったのよ。信じられないけど」
令子はまだ信じられないと目にした光景を思い出しながら言った。
”そうなんですか”
キヌは人骨温泉での事で横島ならそれぐらいできると認識していたから令子のように驚く事はなかった。令子はキヌの反応の無さを少し不審に思ったがキヌは幽霊の常識で判断しているのだろうと勝手に思い込んだ。
「あ、あれ?」
横島とチカン霊の対決を息を呑んで見守っていた翔子、朝美の二人だったがそのうちの朝美が令子の接近に気が着いた。
「どうしたの?」
相方の朝美が声をあげたので気になって横島達から目を離して問いかけた。
「ほら、あのよこしまただおさんを連れて行った綺麗な人」
近づいてくる令子たちを指差し翔子に見るよう促した。
「あっ、本当だ。でも、その人のそばに浮いているのは何?女の子?」
翔子はその指先を追って同じく令子を発見し、そのそばに少しぼやけた何かが浮かんでいるのが見えた。
「うん、幽霊さんみたい。しかも巫女さんだ。雰囲気でてますね」
朝美はキヌを見て確かにGSが幽霊を引きつれ、その幽霊が神職の服装なのだからそう評した。
「あ、ほんとだ。こっちに来るって事はあのチカン霊と決着をつけようって事ね」
翔子はそう結論し、二人は自分達ではどうしようもない状況をこの人たちが何とかしてくれると安著した。そんな二人の前を令子達は通り過ぎていく。
「やっぱりこの人も!?」
「アイツと同じことを!?」
朝美、翔子は息のあった事を言った。が、令子は当然ながら横島のような非常識さは無い(別の意味ではあっても)ので直前で止まった。
「おキヌちゃん、お願い!!」
”はい、美神さん!!”
キヌは令子の要請を聞き令子の両手を掴んで体育館の屋上へと運び始めた。
「ヨコシマさんとは違った方法ですね」
「・・それでも変わっているけどな・・」
令子もまた横島と同じく飛ぶのかと期待していた二人は肩透かしを食らった感じがした。
*
「くそ、うらやま・・じゃない人質とるとは卑怯な」
横島はチカン霊が鏡子にセクハラしまくっているのを悔しそうに見た。
”うへへ”
チカン霊はそんな横島に優越感を持ったのかニヤリと笑うと見せ付けるように鏡子を後ろから抱きかかえる態勢に持ちかえた。
「いやーーっ! やめてーっ! き、きもちわるいーー!」
鏡子にとっては自分の意思に反して体をまさぐられるという、より状況が悪化したことになる。それがイヤで余計に彼女は暴れたがそれが更なる悪化となった。
ビリッ!
そう、セーラ服が破れたのである。
「きゃーーーっ! いやぁーーっ!」
ブッ!
「な、なまちちーーーっ!」
そして正面にいた横島にとり、刺激が強すぎた。鏡子の右胸が殆ど丸見えになり、煩悩をおおいに刺激し、興奮させ鼻血が滂沱の滝のごとく流れ出ていた。心なしか目が血走っているようでもある。最早暴走寸前の状態であった。
「くそっ、なんちゅうやっちゃ。それを俺によこせーーっ!!」
もはや横島に理性は期待できず、チカン霊に向かって突進した。
びゅうーー!
その時、横島とチカン霊の間に風が舞った。
ブハッ!
「よ、横島クン!?」
”横島さん!?”
丁度その時、令子たちが体育館の屋根の所にたどり着いていた。そして彼女達が目にしたのはチカン霊と横島が交差した瞬間、横島の背中越しだが頭辺りから血を出し倒れこむ所だった。
「くっ、こいつ・・よくも私の弟子を・・」
わなわなと震えながら令子の持つ神通棍が何時もより増して輝いた。
”うへーーっ”
チカン霊は令子から発する霊圧に怯えて鏡子を放り出して逃げようとした。
「逃げるなっ!」
と言う言葉にビクッとしその場に呪縛されたように動けなくなる。
放り出された鏡子も余りの事態に呆然とし何かを呟いていた。それが横島の様がよっぽど凄惨だったのだろうかと思わせる事になり令子の怒りに拍車をかけていた。
”ああっ・・・・”
キヌ自身も令子の発する霊圧に竦み上がった。彼女だけは怒らせてはダメだという思いを刷り込まれ、チカン霊は問答無用で滅されると思わせるだけの迫力がある。
一方、倒れた横島はと言うと
(うへへ、何も無かった・・たて筋だ・・親父の言った事は本当だった・・・)
・・無事だった。何だか余計な知識を与えた自分の父親に少し尊敬の念を抱いていた・・
真相は横島が殆ど暴走するような形でチカン霊に突っ込んでいった時、風により捕まっていた鏡子のスカートが盛大にまくれ上がったのだ。そして横島の予想通りチカン霊の被っていたパンティが鏡子の物であった。結果、鏡子の・・が無防備にバッチリ横島に見えてしまった。その刺激に横島は鼻血を噴出し頭はそれで一杯になり勢いがあった為そのままチカン霊を通り過ぎて倒れたのだ。
鏡子もまた自分の大事な所が男、しかも自分と同じ年頃の横島に見られたのはショックが大きかった。特に自分が他の子とは違って無毛性・・あそこに毛が生えていなくて悩んでいた事も大きい。鏡子が呆然とし、
「見られた・・何も無いあそこを見られちゃった・・お嫁に行けなくなっちゃう・・」
という呟きが令子たちに聞こえていたならば、別の展開を見せていただろう。とにかく両者共に正反対の想いではあったが頭が一杯一杯で復帰は暫くかかりそうであった。
”ううへ、うへ、ううへへ”
令子が一歩一歩近づくに連れ、チカン霊は動こうにも動けず、ガタガタと震えるばかりだった。
「・・覚悟はいいでしょうね?散々良い思いしたみたいだし、そろそろいいわよね?」
フルフル
チカン霊は懸命にクビを振るが令子はお構い無しに目の前まで来た。
”うへっ!!”
極限の恐怖が可能にしたのか令子が目の前に来た所で呪縛が解けチカン霊は背を向け逃げようとした、が時既に遅し。
「とっとと、くたばれ!!この女性の敵がーーーっ!!」
”うへーーーーーーーーーーーーーっ!!!”
チカン霊は断末魔さえも締まらない声を上げ、令子の今までで最強の一撃を受け消え去った。
「横島クン・・・」
令子は(鼻血による)血溜りに倒れている横島を悲しそうに見詰めた。
”美神さん、大丈夫です!!横島さんは生きてます!!”
横島のそばに移動していたキヌが状態を確認して令子に告げた。
「本当!?」
”はい!しかも、無傷です!!”
キヌは嬉しそうに血溜りが出来ているのに横島が無傷であると言う事に疑問を抱かずに言った。
「無傷・・?」
令子が何故無傷で血溜りが出来ているのかと疑問に思った時、視界にさっと何かを取る鏡子の姿が入った。チカン霊の断末魔が切っ掛けか彼女もやっと復帰したようだった。彼女の様子をチラッと見ると顔を真っ赤にして片手で破れて見えてる胸を隠しもう片方の手でさっき取った物を慌ててスカートのポケットにしまうのが見えた。
白いものだった。それが何であるかが判った時、令子の頭で全てがつながった。
「こ、このバカ横島がーーーっ!!」
その瞬間、令子は瞬間湯沸かし器のように真っ赤になり、頭を真っ白にさせ横島に近寄るや否やサッカーボールを蹴る様に想いっきり蹴った。
「ぐはっ!!」
横島は盛大に飛んだ。実際に蹴られたとしても精々が1メートルぐらい転がるだけであろう。ここが普通の場所なら。だが生憎とここは体育館の屋根の上だった事が横島の不幸であった。
「うわーーーっ!」
「あっ、まず」
”あ、あなたーー!”
「きゃっ!」
それぞれがその状況になった時に言った言葉だった。
どしゃっ!!
屋根の上にいた3人は慌てて覗き込んだ。そこには今度こそピクピクと足を引くつかせて本当の血溜りに沈む横島が見えた。
”ああっ! 横島さーーん”
キヌはついさっき自分の秘めていた思いを口にしたのをごまかすように横島の下に飛んでいく。
「い、生きているみたいね・・」
自分がやった結果ではあるが、生きている事にホッとすると共にこの事をどう誤魔化すかを思案する。何だかんだ言ってもこれは立派な殺人未遂なのだ。特に鏡子という目撃者がいるのが不味かった。いなければ自分達だけなのでなんとでも誤魔化せるが生憎と鏡子は令子にとり、部外者であるので一寸やそっとじゃ口止めできないだろう。特にこの年頃は大人な妥協というものが出来ないのだ。
「よ、よかったーー」
鏡子は横島が無事とはいえないが生きている事にホッとした。幾ら、自分の大事な所を見られてしまった事は恥ずかしいとは思えど死んでしまえとまでは思っていないのだ。それからこれを招いた令子を横目でじとーと見詰めた。
「・・じ、事故よ」
たらーと汗を流しながら令子は苦しい言い訳をした。
「・・・・」
鏡子はそれでも無言で横目でじとーと見詰めた。
「あっ!」
令子はどうしようかと思っていた時、横島が立ち上がるのが見えて叫んだ。
「えっ!?」
鏡子は令子の叫びに自分も横島の方を見ると自分の親友である朝美に迫り、翔子に殴り飛ばされる横島が目に入った。
「あいつ・・・」
令子は一部位始終を見たので自分のことは棚上げにして呆れた。
「だ、大丈夫そうですね・・・」
鏡子は鏡子で親友達の行動に冷や汗を流した。
「やたら頑丈だとは思っていたけど・・あそこまでとは・・」
二人は横島達の様子を遠目に眺めるしかなかった。キヌが戻ってこない限り令子たちは体育館の屋根からは下りれないのだから。
(つづく)
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注)GS美神 極楽大作戦は漫画家の椎名高志先生の作品です。