3.オカヤドカリの本
オカヤドカリのことを詳しく書いた本は少ないです。海に住むヤドカリの本は結構ありますが、一部オカヤドカリに触れている程度のものがほとんどです。
それでも図書館や大きい書店で探せばなんとか見つかるもの。いくつか紹介します
児童書が多いですが、大人の方もぜひ読んで下さい。
また和書ではオカヤドカリだけについて書かれた本はあまりないですが、洋書なら結構出ています。
趣味本として書かれているためか英語も比較的易しいので、一度読まれたら良いと思います。
日本のやどかり本と違って完全に「ペットの飼育本」として書かれていて面白いですよ。
タイトル | 著者 | 出版社 | 内 容 | 分類 |
科学のアルバム ヤドカリ | 川嶋一成 | あかね書房 | ヤドカリの基本が全部わかる!オカヤドカリについては少ししか書いていませんが、ヤドカリについて一通りのことがわかりやすく書かれています。一般向けにこういう本がないので大人もこの本で勉強しましょう。 | 児童書 |
ぼくはヤドカリはかせ | 宮田輝彦 | 童心社 | オカヤドカリが主役の珍しい本。実は、宮田君という男の子が小学1年生〜2年生に行ったヤドカリ研究のまとめなのです。オカヤドカリのことより、小学1・2年生でこんな研究・考察ができるのかということにおどろき、感心してしまいます。 | 児童書 |
ヤドカリの殻交換 | 今福道夫 | さ・え・ら書房 | ヤドカリ研究の一人者、今福道夫さんの名著です。オカヤドカリの話は書いてありませんが、ヤドカリに興味のある人にはぜひ読んでもらいたい1冊です。文章は非常にまじめに書かれているのですが、「通りがかりのヤドカリ」など、表現がおもしろく、楽しく読めて、内容も児童書と馬鹿に出来ない充実度です。 | 児童書 |
森の新聞15 ヤドカリの海辺 | 今福道夫 | フレーベル館 | 装丁がすごくきれいで、大きくてきれいな写真もたくさんあっておすすめの1冊。内容は上の「ヤドカリの殻交換」をもっと簡潔にして「読み物」にし、さらにオカヤドカリのお話をたくさんプラスした感じ。全体の4分の1くらいをオカヤドカリにさいてあってオカヤドファンには必見です。 | 児童書 |
日本動物大百科7 無脊椎動物 |
監修: 日高敏隆 |
平凡社 | ヤドカリ類の著者は、またまた今福道夫さんです。4ページのスペースに精一杯ヤドカリのことを書きましたと言う感じにぎっしり詰まっています。殻交換の話ももちろんでてきます。 | 一般書 |
原色日本大型甲殻類図鑑(I) | 三宅貞祥 | 保育社 | 貝から出したヤドカリの全身写真を数多く載せています。抱卵している状態の雌の写真もけっこうあって「なるほど腹肢にくっついているナ」とよくわかります。日本のオカヤドカリもだいたい載っています。 | 一般〜専門書 |
原色検索 日本海岸動物図鑑 II |
西村三郎 | 保育社 | 海岸動物図鑑というタイトルの本はいくつかありますが、この本がなんといっても数多くの種類を全種類写真付きで丁寧に解説しています。もちろんヤドカリ(オカヤドカリを含む)もたっぷり載ってます。1冊手元に欲しいところですが、とてもお高い(2万7千円)のがたまにきず。とても手が出ません(^^;; | 一般〜専門書 |
動物系統分類学7(上) 節足動物(I)総説・甲殻類 |
監修: 内田 亨 |
中山書店 | 専門的な記述がむずかし〜いけれど、興味のあるところを拾って読めば(読まない部分の方が断然多い!)非常に勉強になります。ただし、かなり古い本(1964年初版)なので最新の研究結果とは違っている部分があるかもしれません。(未確認というか私ごときには確認できません、ごめんなさい) | 専門書 |
水産無脊椎動物学 | 椎野季雄 | 培風館 | 上に同じ(1969年初版) | 専門書 |
新星図鑑シリーズ第8巻 沖縄海中生物図鑑 甲殻類(エビ・ヤドカリ) |
監修:(財)海中公園センター | 新星図書出版 | この本は、ヤドカリ研究所のyamさんに紹介していただきました。日本のオカヤドカリがすべて写真付きで特徴が詳しく記されています。オカヤドカリがこんなにちゃんと載っているなんてすばらしい! | 一般書 |
沖縄県天然記念物調査シリーズ 第29集 あまん −オカヤドカリ生息実態調査報告− |
沖縄県 教育委員会 |
緑林堂出版 | 1985〜1986年に沖縄県教育委員会が行ったオカヤドカリの調査報告書です。こんな学術的な報告書を一般人が入手できるとは知りませんでした。飼育にとどまらず、オカヤドカリに広く興味のある方はぜひ御一読あれ。 | 専門書〜一般書(?) |
沖縄の自然百科(19) オカヤドカリ | 仲宗根幸男 | 沖縄出版 | 上記の「あまん」の主任調査委員をされた仲宗根幸男さんの書かれた100%オカヤドの本!すべての漢字にふりがながふってあるので子供向けなのでしょうが、簡潔に、しかしかなり詳しく解説されていて、オカヤドについて知りたい大人にとっても重要な一冊です。私も、新たにへえ〜と思う内容もいくつかありました。しかし、11年も前の出版で、もともと多く出回っていない上に、増刷の予定もないそうで非常に入手困難です。こんないい本をたくさんの人に見てもらえないのは残念!生物関係に強い古本屋さんなどをまめに見て回るとあるかも。 | 児童〜一般書 |
小笠原諸島オカヤドカリ生息状況調査報告 | 東京都教育委員会 | 東京都 | 東京都の有償刊行物のリストの中に見つけて値段も安かった(600円)ので思わず買ってしまいました。上記のあまんと同様、1987年の出版です。内容はあまんほど多くはありません。(買ってみようと思う方、東京都のHPから探してみて下さい。) | 専門書〜一般書(?) |
自然の観察事典23 ヤドカリ観察事典 (ISBN:4035274305) |
小田英智 | 偕成社 | 2001年の5月に出た本です。海のヤドカリがメインでオカヤドカリはちょこっとだけ登場します。 卵が雌にくっついている様子やゾエア、グラウコトエの写真もあります(オカヤドカリのではないけれど)。写真がいっぱいできれいな本ですが、ちょっと値段が高いかなぁ(2400円) |
児童〜一般書 |
週刊日本の天然記念物42 オカヤドカリ (立体模型付き) |
監修: 仲宗根幸男 |
小学館 | 薄っぺらいけどほとんど全部日本のオカヤドカリに関する記載&写真の本です。ときどき、おや?と思う記載もありますが、たいていのことはこれ一冊あればわかると思います。付録の模型も結構楽しい。 でも私はヤシガニ汁の記載がどうしても納得できません。絶滅危惧種であることを朱書で示してあるにもかかわらず、派手なヤシガニ汁の写真と、ご丁寧に作り方まで書いてあって一体何を意図しているのでしょうか。 「現地では今でも食べる習慣がある」程度の記載で十分じゃないですか? |
一般書 |
ここで紹介しているのはどれも「オカヤドカリのことだけを書いた本」です。
生物学的というよりはほとんどがペットとしての飼育のために書かれています。
これらの洋書は、大体はamazon.co.jp や紀伊国屋などの日本のオンラインショップで購入できますが、
いくつかamazon.comやSea Shell Shopなどの海外のショップでないと購入できないもあります。
(おなじamazonでもamazon.co.jpの洋書部とamazon.comでは扱っている本が違うのです!)
洋書を扱っている店舗での取り寄せもできると思いますので、興味のある方はいろいろ探してみて下さい。
タイトル | 著者 | 出版社 | 内 容 |
HERMIT CRABS (ISBN:0866229671) |
Neal Pronek | TFH Publications (1982/11) |
オカヤドカリのことばかり書いた本として初めて見つけたのがコレ。オカヤドカリの分類から飼い方なんでも書いてあります。和書でやどかり本があまりにも無かったので、初めて見たときは感動しました。でも写真がどうもいただけません。ネガを裏返しにプリントしているようなものがたくさんあります。 |
Hermit Crabs (ISBN:0764112295) |
Sue Fox | BARRON'S (2000/2) |
60ページほどの薄い本ですが、写真もたくさんあり、記述も先に紹介したNealさんの本より、ずっときちんと書かれているように思います。アメリカではしょっちゅう新しい本が出てはすぐに絶版になってしまうケースが多いようですが、この本は、そうなりませんように。英語が苦でない方はぜひ!(そおふうさんより紹介していただきました) |
Land Hermit Crabs (ISBN:0876669070) |
Paul Nash | TFH Publications (1976/6) |
Neal Pronekさんの本とほぼ同じ内容をもっと簡単にしてページも少なくした(32p)ような感じ。写真も同じのがあります。こっちが発行年が先なので、これを改訂したのがNeal Pronekさんのかもしれません。でもやはり左のハサミが大きいと文章で書いていながら表紙からして右のハサミの大きいオカヤドカリの写真が載っていて(ネガを裏返しに使ったのだと思うけど)いい加減な作り方をしている気がします。しかし、300円ほどで手にはいるので試しに買われてもいいかも。 |
Care of Land Hermit Crabs (ISBN:1882770501) |
Philippe De Vosjoli | Advanced Vivarium Systems(1999/8) | 薄い本(32p)ですが、生物学的な記述も盛り込まれて、そういう話も好きな人には面白いと思います。 |
GARDNER'S TREECRAB BOOK | Bob Gardner | Northshire zShop(?) |
オカヤドカリはTreecrabとも呼ばれていて、それをタイトルに使ってある本です。とても薄いけど(13p)、何やらほのぼのとした雰囲気のある本で、Gardnerさんの人柄がなんとなくしのばれる気がします。私的には好きな1冊。 |
HERMIT CRABS AS PETS | Daniele Scermino | Palmetto Publishing Co. | これもぺらぺらの飼育本(16p)ですが、何やら文字が私には読みやすいです。内容も簡潔でわかりやすくて良いです。 このくらいの冊子を日本でもオカヤドを購入時に付けてくれるといいと思います。 |
HERMIT THE CRAB | Martha Huelsenbeck | Direct Press Modern Litho(1997) | 以前、おかやど日記でも紹介したオカヤドカリの飼育絵本です。実は一番とれもろにはぴったりかも。英語苦手でも十分読めます!全然本物と似てないヤドカリのイラストが元気いっぱいで楽しい! |
HERMIT CRABS | Martha & William Huelsenbeck | Direct Press Modern Litho(1995) | 上の絵本と同じ著者で、これは文書でかかれた薄い冊子(18p)です。これもオカヤド購入時に付けてくれたらよさそうな飼育方法を簡潔に記したものです。 |
番外編 | |||
HERMY THE HERMIT CRAB GOES SHOPPING (ISBN:0933101201) |
Andrea Weathers | Legacy Publications | 純粋なやどかり絵本(?)はここでは紹介するつもりは無かったのですが、これはちょっと変わっているので載せてみました。ヤドカリ(オカヤドではないようです)が新しい貝殻を探しに出かける話ですが、その先々で出会う生き物がふつうの絵本ぽくなくて面白いのです。巻末の語句の説明も簡単ではあるけれどちゃんとしていてためになります。うちの娘が好きな本。 |
*実はこれらの洋書は数冊をのぞき、ほとんどがアメリカ在住のそおふうさんに紹介していただいたものです。(そおふうさん、いつもありがとう!)調べてみると、なんとかすれば(英語でメール書いたり...)ここに載せたどれもが日本でも購入できることがわかりました。和書にはない楽しさがあるのでぜひ一度読んでみて下さいね。
他にも何かおすすめの本がありましたら、どうか教えて下さい。よろしくお願いします。
*オカヤドカリに関するHPはハートミットクラブの「お気に入りリンク」にまとめてありますので、そちらをご覧下さい。
1.オカヤドカリって?/2.オカヤドカリの飼い方/3.オカヤドカリの本/4.オカヤドカリよもやま話/5.こんな時どうする?/6.オカヤドカリ写真館
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