何を目指すのか? | |
3.組織で充実した時間を過ごすために 「何を目指すのか?」 企業や組織の一員となってから「さぁ-!何を目指そうか!」とか「将来どんな分野を担当したいのか?」と言われても、多分ほとんどの人は答えらしきものを持っていないことであろう。大学生や大学院生のような学生時代に学んだ知識や知見は、企業などの組織の一員となった後では直接的には全く関係のない分野の部署やグループに配属されることも多いので、自分自身が「このような技術者になりたい」と具体的に考えていても、今までの経験を直ぐにそのまま生かすことができないと考えがちである。 しかし、理科系でも文科系でも、今までに学んだことや経験したりしてきたことの多くを生かすことは十分にできるので、組織の中での生き方や考え方などは今までとは大きく変えることが可能である。勿論、直接的に学んだ既に経験した技術分野に進むことができる場合ならばもっと良いのかも知れない。したがって、我々が将来進んでいく道には沢山の選択肢(枝)があると考えても良いのであろう。当然のことであるが、分析や測定したデータの集計方法や解析の仕方に対しても経験してきたやり方を色々と試してみることもできる。 企業や組織では、多くの場合に特に現場においてQC(Quality Control)の考え方に基づいてデータの解析や統計的な処理が行われるらしい。また、このようなQC活動においては、従来からのやり方や考え方をそのまま踏襲することも多いと思われる(これはある意味で保守的になる)。多くの場合に、上司からの指示もそうした慣例に従ったことが多く、組織内での発表会でもQC管理に基づいて実施された結果が議論される(例えばQCサークルなど)。工程管理などのルーチンワークの場合には、多くの場合にこうした流れで日々の業務が進行しているらしい。 おそらく、一部の技術者や基礎研究が中心の研究機関などに入所できた研究者だけがいわゆる基礎研究に近いものを遂行できるのであろうが、企業や組織の中では、基礎研究とは言いながらも多くの場合に常に革新的な新しい分野での活躍が望まれているのであろう(例えば技術営業や工程改善など)。ただし、どのような場合でも、本人が望むか否かに関わらず一度組織の構成員となればその状況を感じ取って自分自身でどのような方向を目指すのかを考えておくことが望ましい。すなわち、現場中心の技能技術者を目指すのか、技術の改良や開発に携わる研究者にあるのか、あるいは技術分野を統括ができる総合的な技術者責任者を目指すのか、さらに組織やチームを率いていくチームリーダー的な技術者を目指すのかなど、選ぶ方向の違いによって自分自身が努力する内容や網羅する技術範囲や知見の量と質は大きく異なる。 最も大切なことは、いつも今の自分の立ち位置を確認しながら自分自身の夢(すなわち将来の姿)を思い描いておくことであろう(たとえ妄想でも良いので自分の気持ちを確かめておきたい)。そうした日々の行動が若手や部下自身の大きな成長を促していると思っている。そのためには、組織内の友人や上司だけではなく組織外の人為的なネットワークも活用しよう。思わぬ解決策が出てくることがある。これらをきっかけにして未来の自分自身を大きく変えることもできるであろう。大切なことは「何を目指すのか」ではなく、「何になりたいのか」と言うことであろう。
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