「新浮世絵」とは

 広重や北斎などの浮世絵版画(錦絵)は本来、当時の最先端技術を駆使したポップアートであると同時に、安いものは蕎麦一杯の値段で買うことができたという、消耗品的な要素の濃い娯楽品でもありました。
 ゆえに、伝統工芸や古美術なんかで済まされてしまうような『型にハマったもの』ではないと私は解釈しています。
 それゆえ私は、21世紀のハイテクツールであるパソコン・デジカメ・プリンタを駆使し、現代版の浮世絵(=電脳浮世絵改め『新浮世絵』)を創出しました。それは単に「機械まかせ」に頼る制作ではなく、手仕事と変わらずコツコツと時間を費やして懇切丁寧に仕上げていく、作者の愛情がこもった作品だと自負しています。

 @そのようなこだわりを元に創作したデジタルデータを原本とし、1点限りで和紙にプリントするジクレー版画「1/1(いちぶんのいち)」の作品 Only One Edition。
 Aその本作品を元絵として、今に受け継がれる江戸の伝統文化である浮世絵版画と同じ技法で表現した Wood-block Edition。複数の版木による多色摺りで、彫り師・摺り師がみごとに表現した芸術。
 Bいっぽうで、江戸時代の浮世絵版画本来の、安価で娯楽品的なアートを現代に蘇らせるべく、本作品を小サイズ化して、音楽や書籍を買うように、広く大衆のもとへ届ける身近なアートを目指した Popular Edition。

 現代の版画「新浮世絵」は、この3つのタイプで展開しています。