S600クーペシートベルトアンカー位 置。上部 が純正位置、下側が新設箇所。

ハードトップ特集。

今回は純正ハードトップ。このアイテムに関してパーツリスト以外に公式に印刷されたものが皆無で、この機会にその仕様やレストアのポイント等をリポートしてみよう。純正ハードトップはRSCのフラットおよび丸形は今回対象外。タイプについてはS6用/S8用の2タイプで、相互に互換性はあるもののリアエンドのアールがフィットせず、サイドキャップモールの部分が10mm程度隙間が出来る(S6用をS8に使用した場合。そのためレース用に制作したクラブオリジナルハードトップはそこを長く造ってその個体に完全フィットを目指している。)その逆は不明。ただし前記の場合は装着可である。装着箇所は前側で幌のフィッティングをそのまま使用し、左右のサイドはL型のステーを使ってボディフィットするため上下に余裕がある。つまり下方に押し付ける構造のためステーの長さで持たせることが出来る。このためボディ塗装面 にフィットラインが付く恐れがある。特に塗装後、完全硬化までに装着は厳禁である。S6用とS8用との違いはリアカーブ以外には2点あり一つはリアウインドウのサイズ、S6用は小さくS8用は大きい。天地の寸法は同じで左右がかなり違う。S8用はサイドへ回り込んだ部分が長くなっている。このため劇的に後方視界がよくなっている。件のS2000幌よりも視界はかなりいい。S6用は斜め後方の視界がかなりない。2つ目はリアにある棚状のもの。おそらく幌を装備したままハードトップを装着させるためのフタに変わるものだと思う。ただしこれはセット不可。万一出来たとしても幌、特に幌リアウインドウにとって非常によくない。この棚状のものがS6用はスティールでS8用が本体と同じFRP製。余談だがあのS2000のハードトップ基本的には幌の上に装着となっている。この点では「エス」の基本と同じだ。ただS2000の幌は「エス」ほど脱着が簡単ではなく事実上外せないと思った方がいい設計になっている。そのハードトップ仕様はレース仕様あるいは超モディファイは別 にしてスタンダードでは重量の上積みになってしまう。ここはクーペ待ちが正解(ないか?)。実物のカタチも写 真で思ったほど悪くはないが、やはりフロントのシャープさとデザインフィロソフィーが不一致でアンバランス。もっとアヴァンギャルドに詰めればよかったかなと思う。本題に戻ると以上のポイントがS6用とS8用の差。また内装はどちらもニットの深紅であった。この配色はなんとも理解しがたいが事実である。この内装が最悪で当時使い込むにしたがってこれが垂れ下がりどうしようも無かった。ただオリジナルに徹するにはレッドニットにされたし。筆者も最初にレビルドした純正ハードトップ(S6用)はそうさせていただいた。今はガレージの奥でホコリにまみれてはいるが。ただ今回、レビルドさせたものはS8用の純正だが現在クラブオリジナルハードトップが出来るまでの間、筆者56号のレース用としてしばらく使っていたものを今回使った。前号でお伝えしたように今回のロードヴァージョンは異様な速さがあり身の危険を感じロールバーをセットさせた。このロードヴァージョンには立派な純正ハードトップがついていたのだが、これは先程の棚がありロールバー、単座用のRSCレプリカなのだが装着不可のため、もう一つレビルドとなった。また幌の場合、レプリカロールバーは忠実に当時のものを再現しているため装着不可で幌をあげたたままでも骨に接触して不可。外装パーツで言うなら幌の方がハードトップよりよほど安全である。ハードトップは転倒時いとも簡単に外れ去ることになる。ロールバーは安全上必要でそこから棚のないモノとなったのである。この場合レース用として使っていたもので、ペイント下地は当時剥離剤で幾重にも塗られたものを剥がした記憶があるがリアウインドウ以外はまったくパーツが付けていなかった。もちろん内装材もなしでハンドレイした繊維が丸見えの状態だった。エクステリアペイントは今回プロに任せ内装(天井)もプロに任せた。内装は例の赤の垂れ下がるイメージがあったのだがプロの話によるとどうも昨今の内装材は優れていて垂れて来ないそうだ。まだ数ヶ月なので不明だがその兆しがまったく見られないところを察するとその通 りなのかもしれない。またハードトップは前記の様に棚の回り込んだ左右の穴にL型ステーを介してボディにセットするため棚は切り取ってもその部分は残してある。その部分を内装プロはミスマッチな仕様をしてしまったため自分で車用内装材専門店にあたりレザーを手に入れた。これがすこぶる具合がいい。今回は見苦しいのを隠すだけだったので現物合わせで乱暴に張っただけだが結構作業性がよく、値段も安く亀裂の入ったダッシュボードレビルドに使えそう。このリポートはいずれこのGARAGEで紹介したいと思う。Mタイプのダッシュボードは経年変化で亀裂が入る(年月を考慮すれば当たり前か)だけではなく、トップライト走行時にまったく前方が見えなくなるほど反射がきつい。まるでピカピカのプラスティック然としてフロントガラスに写 り込んでしまう。前方のクルマのナンバーがまったく読めない程である。夜の白ダッシュスーパーカーみたいに、真っ昼間に起こる。今はすべり止め用の薄いマットブラックラバーで難をしのいでいるがいずれ直したいと目論んでいる。ともかくも棚の一部とその切断面 を乱暴ではあるがそのレザーを張り、ましな見栄えにはなった。このレザーどうも裏面 に接着剤とのマッチングを考えてあるようでうまく貼れるようだ。その自動車専用内装材店には驚くほどの色と素材の種類があった。今回、使用したのは最も薄いブラックレザーをチョイス。これは「エス」の内装の多方面 に使用可能と思われる。このハードトップにはかなりの数のゴムパーツが使用されていてそれをうまく使うことで優劣がでる。 その最大のキーポイントはゴムとともにブチルラバーを効果的に使うことにあると思う。接着材としてシール材として、さらに仕上げ材として使えればベストである。その中でも確実に必要な箇所は各ラバーのフィニッシュ部により効果 的に使うことにある。特にサイドキャップモールの下側部、フロントレールシールラバーの両端フィニッシュ部には必要。別 パーツのラバーが接する個所は一体化然とするフィニッシュに整形するとベスト。リアウインドウシールラバーは1本モノなので新品であれば内装材を付ける前に一度セットしておくのがいい、内装材をつけると液体系のスベリ剤は使用できなくなる。このポイントはラバーの長さ設定で事前に長さを出して切断しておくと後が都合がいい。ミスしやすいのが最後の両端が離れることにある。それを防ぐには液体系せっけんあるいはCRC等で確実にラバーを各コーナーに押し込んで必要長を出しておくことである。もし本番時に内装材(レザー等であれば可)があればスベリ剤なしで作業しなければならない。今回ロールバーセットと同時にシートベルトも変更したのだが、それについても少し記したいと思う。この「エス」には当初オリジナルの3点シートベルトが装着されていた。悪くはないのだがもう一つしっくり来なかったので4ポイントにすることにした。最初はY型3点も考慮に入れたがロールバーのフィットポイントと同じため(共締め不可)4点に変えた。英国通 販によるウイランズをセレクト。リアのバルクヘッドから純正アンカーボルトでセット。この使用はハードトップ仕様である。オープン時も考えて当初Y型3点としたのだが、(幌装着時デフレクタートップとの干渉を避けるためにリアホイールハウス上にあるフレームマウントボルトを使うため)ところが前記の様にロールバーと干渉するため今回はハードトップ専用仕様として選んだ。使い勝手はベストである。これはMタイプにはそうであってもそれ以外のモデルになると話が違ってくる。つまりそれ以外のモデルは基本的に設計が2点式になっている点にある。いまさら2点とそれ以外のベルトの優劣は分かり切っているので詳細は省くが2点のままだと間違いなくドライバーはハンドルにその頭部をクラッシュさせることになる。ごくわずかのスピードでも。で2点以上のものになるのだが前記の様に基本が2点式のもののためセンタートンネル側のポイントが上部の最後ろ寄りでこのまま3ポイント以上をセットさせると腹ベルトが異常にせり上がりヒップボーンではない超柔らかい腹部でその荷重を受けることになる。Mタイプでは左右共に下方やや前よりにそのホールがセットされている。従って3ポイント以上のシートベルトもグッドフィットする。上のフォトS6クーペのもの。左上部のアイボルトが純正位 置。この位置に3点以上のシートベルトをセットすると本来のベルトの機能を発揮出来ない。2点式はとりあえずクルマから飛びだすことだけを防ぐもので、中でのクラッシュをまるで考慮していないと言える。それでもまったくしていないよりはましではあるが。従ってMタイプ以外の「エス」で3点以上のベルトを着ける場合、内側の位 置を下部前寄りに(Mタイプもトンネル側の下部前寄りに開設されている)外側は純正ダブルアンカーを利用すればいいと思う。特に内側はベルトの擦れ等の問題を考えればアイボルトフックタイプのものがベスト。また必ずフロワ下側には補強のためのベースプレートをワッシャーとして使用しなければならないのは言うまでもない。メカが溢れる「エス」のラヴァーズパラダイス、スズカまであと1ヶ月少々。日本中から大勢の「エス」達をスズカへ。

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