このスペースだけでエンジン脱着可。

●24mm厚のコンパネボード。

●Cチャンネルを合わせた構造材。

●ガレージリアボード。

ガレージの話。

今回のガレージテーマは以前からこのページでお話したいと思っていた内容で、今回にやっと実現。このテーマは、よりアマチュアならではのベースガレージのサンプルであると思う。この筆者のガレージは本当にスタンダードな、大阪にはよくあるシャッター付きのもの。ただし基本だ、けれどもましなほうではある。照明とコンセントと、それに水道がついている。加えて天井が、かなり高い。とはいっても縦横サイズや構造はスタンダード以外何者でもない。だからこそ、もし同じように考えておられる方にはいい話かもしれない。ただし、この話はヒストリックレースやその他コンペティションマシンのためでもあるのでそれ以外の方には現実味がないかもしれない。しかしこの話をお読みになって、私もやってみようと思う方が出ていらっしゃるなら思うところである。このシカケのコンセプトはヒストリックレース参戦の容易化がそのキモで、マシンをトランポするネックをレンタカーではなくオリジナルのトラックで果 たそうという思惑からのものである。個人で「エス」専用のトラックを所有することはかなり尋常ではない雰囲気があるのだが、オリジナルのトラックの良さは色々あって、その最たるものはすぐに手配でき返す手間もないところにある。特にメンテナンス等で専門職、塗装やエクゾーストシステムの取り付け等で「エス」持ち込みでなければならない用件で訪問する際、さらに「エス」の購入や、故障のようなトラブルにも無類の利便性を発揮する。その際にもっともネックになるのがトラックの置き場所である。広大なスペースをお持ちの方は全く問題ないが通 常の生活をしている者にとってはかなりヘヴィな問題ではある。先述した利便性は確かだが、そう度々あるものではないものに駐車料金を毎月、支払い続けるのはやはり困難なものであると思う。そこでそれを解決したのがこの下図のようなシカケである。

発想の原点はトラックに積載された「エス」は一つのガレージに収められることにある。当然ではあるが、これがその発想の原点であるのは下図を見ていただければ一目瞭然である。けれども積載したままでは、常に「エス」を積んだまま使用することになる。これもシティレーサーぽくって面 白い気もするが、やはりあほらしい。それではとその都度、「エス」を下ろして使い、また積んで収納するも非現実的である。そこで考えたのが「エス」を少し浮かせた状態にすればいい。一見積載されたようにして格納すればいい。浮かすには台を作り「エス」を載せ、その下にトラックを差し込めばいいのである。ただしアオリ等はすべて下ろした状態で収納しなければならない。でもその出し入れする形態は、まるで巨大な引き出しを扱う感がある。この絵は我が2台目のトラックを収納したものである。このシカケは先代のボンゴで作ったものなのだが2代目ボンゴまで入るとは思いもしなかった。先代のボンゴとはあまりにもそのサイズが異なる様相だったからである。2代目ボンゴは車高といい、その幅といい2クラスぐらい違っていたからなのだが、なんとそのキャビンの前後寸法だけは、ほとんど同じだったのである。2代目ボンゴを購入時は基本的にこのガレージに収納不可と思っていた。が、念のためガレージに持っていった時の驚きは尋常ではなかった。せっかく作ったガレージのシカケが水泡に帰するのかと当時、落胆していた。まったくナンセンスなNOX法のせいでガソリンエンジンのトラックを廃棄処分にしなくてはならなかったからであるが。その時の感激はかなりのものだった。ただしこの先代スポーツボンゴは全く機能的に問題のないものだったので和歌山の有志に差し上げた。ともかくもほとんどゼロゼロの状態で2代目ボンゴはおさまったのだ。この台の構造を簡単に述べると土台になる6本足とベースになる面 の部材がCチャンネルと呼称される断面がC型をした構造部材を向かい合わせにして溶接したものを使っている。100mm×100mmの角パイプになり軽量 高剛性部材として使用可能になっている。このガレージ本体の構造体にもそれが使われている。これの上にサブロクのコンパネボードを6枚セット。ただしセンターの2枚は小辺を短くし、ベースには脱着可能にしてある。「エス」の真下でメンテナンスリッドとして機能している。エンジン脱着時にはフロント側のボードはセットしてエンジン置き場となる。この部材をお願いしたバイクガレージのオーナーは軽トラックですべてを運んで来ていただいた。ボルトオンでの組み立て式になっていて、とてもコンパクトでよくできたものである。この構造自体、早い話が4柱リフト軽便固定版であるが、決定的に違うのはそのホイール周りでスペースがかなりあり作業性が高いことである。ホイールの脱着はもちろんサスやブレーキのメンテナンスも、そのまま出来ることがメリットでもある。リフトではフロア基礎の整備を必要とするしそのボリュームもまた大変。さらにコストである。これは10万円程度で出来たのでコストパフォーマンスもなかなかである。一歩間違えばとてもやりにくいトラックへの「エス」の積載がこのシカケでは非常に簡単なことである。載せる場合は短いラダーレールを使うか、ホームセンター等で販売している段差用の台を使ってトラックの後輪を載せ、荷台をコンパネ台との面 に合わせ、ラダーレールなしに載せてしまえるのだ。まったく重力に従って作業するだけ。収納する場合は、当初エンジンをかけ自力で上がっていたがクラッチ等に悪影響が出ることや危険な場面 があったりしたため最近ではハンドウインチで引き上げている。多少ハードではあるがアスレチックだと思ってやっている。近い内に電動に換える予定ではある。ただこのとき使うハンドウインチはとても優れ物で、ワイヤーを使用しないでロープのねじり段差をラックに見立てたアイデアで作られている。つまりロープがラックとなり、送るローターがピニオンと言うことになる。けっこうコンパクトでチェーンブロックの様な重量 もなく、また騒音も発しない。チェーンブロックでトラック等に重量物を引き上げた経験のある方ならおわかりいただけるはず。トラックの荷台と触れあう騒音は周りにはばかる音になる。またエンジンの脱着も当初、心配していたのだが極わずかのスペースしかないのに「エス」を前後に動かす方法で可能であることが判明した。以後、幾度となく積み下ろしをしている。バックナンバーGARAGEGの表紙のフォトがそれで「エス」エンジンをその横幅のスペースさえあれえば、その寸法の前後動作だけで、そのエンジンは脱着可能なのだ。さらに有利なのはフロア下のメンテナンスに抜群の威力を発揮することにある。荷重をかけた状態でのサスやその他、下周りのチェックを簡単に安全に行える。特にリジッドのリアサスストロークのチェックは抜群である。バンプラバーのカットにもかなりの威力を発揮する。これをリフト以外のものでするとなれば、かなり困難が伴うはず。ただしジャッキアップは少々困難でガレージジャッキ等は使用不可。そこで登場したのがあのパンタグラフジャッキなのだが、コンパネボードは思いのほか強度がなく普通 のジャッキでは極厚がかかりすぎ陥没を起こしてしまう。そこで2リッター以上の重量 級車パンタジャッキをジャンクショップ等で4個仕入れ、1センチ弱厚程度のスチール円盤を溶接したものを使っている。これは思いのほか便利で車高の低い「エス」にも使え、さらに微妙な高さのバランスコントロールも可能になっている。例えばオイル等の抜取作業でも微妙に傾け効率良く排出可能になる。いわば可動式リジッドラックみたいなものである。ただしリジッドラックほどソリッドではないので安心は禁物である。ただしそれに関してはトラブルはまったく発生していない。ともかくもこういったシカケであればレーシーな「エス」とそのトランポを1台分のガレージ代で持つことが出来るはず。このようにしてレーシーな「エス」をあちこちと気楽に運び楽しむライフスタイルも実現可能になるはず。また重量 級パーツの運搬にもトラックがあれば気兼ねなしに行動できることになる。トラックを所有することが「エス」の世界を拡げることは確かである。工夫をすればそれは可能になると思う。「エス」をスズカに集めてもう20年以上。いろんな楽しみ方が生まれつつある「エス」の世界。サーキットを走るのにノーマルもまた楽しいけれどレーシングマシンもまた、なかなかのものではあると思う。今年も、もうすぐ「エス」のサウンドがスズカを埋め尽くす日がやって来る。さあ、「エス」をスズカへ。

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