乾いた砂。照りつける太陽。 私は自虐的に笑った。 なんで私は大砂漠の探索なんて引き受けちゃったんだろ…。 ホントは引き受けるつもりなんて、これっぽっちも無かった。 「大砂漠にはウィルの父親が何故死んだかを解く鍵があるんだよ…。 ニーナさんの説得に、私は断れなかった。 ◆◆◆ 「大変だ、コーディー!!」 ウィルの突然の叫び声に、私の意識は現実へと引き戻される。 「いやあああぁぁぁぁッ!?」 な、なんと、マッチョが三人、空を飛んでいるではないか! 「うっかり砂嵐に巻き込まれてしまったんだぁ〜〜」 グルグル回りながら、さらに位置エネルギーを増していくウィル。 「あきらめるな、ウィル! 一か八か、マッスルダンスに全てを賭けるんだ!」 とんでもない賭けに出るタイラー。 「女ッ!よく見ているんだな、私たちのDead Or Aliveスピリッツを!」 何か勘違いしているナルセス。 「マッチョだぜ!パワ〜フル〜魂〜〜♪(Byムスクルズ=muscles)」 きゃあああッ!空中スクワットォ〜!?なんてハイレベル………じゃなくてぇ! 「そんなの無意味だって! アンタ達、さっさと気付きなさ〜い!」 「でもさコーディー。僕達、降りられたよ?」 いつの間にか地面に生還しているウィル。 「これが未解明アニマだ。筋肉の成せる技だ」 腕組みしたまま淡々と答えるタイラー。 「ぬああ〜〜〜ッ! 何故か私だけ降りられないぞ〜〜〜〜〜!? ―――って、ナルセスさんだけまだ飛んでる〜〜!? なんとか降りようと、必死にスクワットスピードを高めるナルセス。 「フン!フン!一向に高度が下がらんッ! ナルセスさん、何か重大な事に気付いたようだけど、一体何をやらかす気――― 「うおおおおッ!霧幻天神流忍術!!」 叫ぶナルセス。 ◆◆◆ 大馬鹿ナルセスが遙か彼方へ飛んで行ってしまったので、 「ねぇ、ウィル? さっきからずっと聞きたかったんだけど……」 私はこの機に質問することにした。 「ニーナさんはどうしたの?」 今回の大砂漠ツアーには、ニーナさんも参加すると聞いていたのだが……。 「ああ、ニーナ叔母さんなら今朝死んじゃったよ?」 なるほど、それじゃ来れるワケないよね………あれ? 「嘘ッ!? いいいいいいいい一体何で!?」 「俺、寝相悪くてさ。今朝うっかりタンスと壁との隙間に挟まってしまったんだ。 カラっと答えるウィル。論点が恐ろしく不明瞭ですが。 「まあよくあることだ」 ウィルの肩を叩くタイラー。 ◆◆◆ 「む、手がかりを見つけたぞ!」 タイラーが指差した所には、ナルセスさんの荷物が落ちていた。 「タイラーさん! あそこを見て下さい」 今度はウィルが何かを見つけたようだ。 「落ち着くんだ」 ―――それはタイラーさんの声だった。 「冒険とは予想できないことの連続だ。重要なのは冷静に手がかりを整理することだ」 本当にタイラーさんの言う通りであった。 「……そうですね。では手がかりを整理してみましょう」 私の言葉に、タイラーさんは無表情のまま頷いた。 「まずはこのセーラー服だが、着てみれば何か分かる………」 「ワケないだろーーーーッ!!」 私は思わずタイラーにメテオスマッシュを叩き込んでしまっていた。 「まじで〜チョベリグ〜〜!!」 両手でスリーピースしながら、地面に脳天杭打ちするタイラー。 ◆◆◆ 「お〜い、私はここだぞ〜!」 タイラーの断末魔が届いたのだろうか、 「きゃあああああああッ!!」 なんとナルセスは臍(へそ)下三寸にアブトロニックを巻いているのみではないかッ!? 「まさか服まで剥ぎ取られるとはな。 一体何がこの男をここまでアホへと駆り立てるのか。 |