鳥たちの杜 第二章 抱卵


キアは生活費と学費を稼ぐため、僕の父の紹介で和菓子屋・逆瀬川(さかせがわ)の製造部に就職した。
ところが、この店では新参の営業部長が社長をそそのかし、菓子の製造日をごまかすことで利益をあげていた。
悪事に気がついてしまったことで、キアは不利な条件で退職させられそうになる。
僕の父はキアをかばったことで謂れのない誹謗中傷にさらされる。
父の機転で営業部長の古巣である親会社の不正が露見し、逆瀬川は和解を申し出る。 免職は免れたものの、結局退職したことでキアの経済状態は逼迫していた。
僕は、キアの母に援助を頼もうと連絡をしたことがばれて、キアと大喧嘩をする。
二人の仲をとりもってくれたのは、堂島(どうじま)警部補の旧友で剣道家の劉(りゅう)先生だった。
明峰学園では、僕は長田に招かれて時計塔に登り、そこで塩屋と面会する。
塩屋は長田の従兄だと言い、極端に人見知りの激しい長田の友達になって欲しい、と僕に依頼する。
長田の「お付き」と公認されたことで、僕は他の生徒たちから特別視され、居心地の悪さを感じる。
クラスメートの園田愛音(そのだあいね)も学園に息苦しさを感じる生徒のひとりだった。
園田は僕を誘惑しようとして失敗し、夜の繁華街に飛び出す。
そこでからんできたチンピラは僕の中学時代の上級生、茨木(いばらき)と売布(めふ)だった。
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