鳥たちの杜 第三章 育雛


僕が家族旅行に出かけたゴールデンウィークのあいだに、園田が母親に傷害を負わせるという事件が起こる。
中国拳法部の一年生幹部で自警団員でもある西代は、学級委員たちを使って園田の行動を抑え込み、事件の後始末をつけようとする。
いじめもドロップアウトも認めず、同級生達を保護管理する西代の行動に僕や御影は反発を感じる。
長田はそんな僕に「ファルコン(塩屋)を助けて」と、謎めいた頼みをしてきた。
中国拳法部の女性師範・郭玲(くおりん)が長田の代弁者として僕に彼の過去を話してくれた。
人となじめず、両親とすら疎遠だった長田に自然に親しむ術を教えたのは塩屋だった。
塩屋は周囲の嫉妬や遺恨から長田を守るために自警団を組織したというのだ。
しかし、現状の自警団は拳法部副部長の御幣島迅(みてじまじん)と理科部部長の立花馨(たちばなかおる)に牛耳られ、当初の目的を逸脱しつつあった。
彼らは塩屋が卒業した後の自分たちの既得権を守るため、学外の人間を使って反逆者狩りをしているらしい。
御影は独自のメール網を使って女子生徒たちを扇動し、立花の介入をかいくぐって園田の自由を勝ち取ろうとする。
僕はPTA役員になった父の協力を得て、自警団の資金繰りに探りをいれる。
キアは劉さんの経営する広東料理店の出前持ちに雇われ、劉さんの依頼で郭玲(くおりん)と接触しようとする。
御幣島は、練習試合にかこつけてキアを痛めつけようと画策し、返り討ちにあって叩きのめされる。

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