脚高蜘蛛追跡 第二章 脱皮


僕らは赤い漁網の使われている場所を探して、市のはずれにある寂れた漁村にたどりつく。
村は計画性のない土地開発と大震災の影響で東西に分断されていた。
村の東に住むサッカー好きの元気な小学生・加茂川忠(かもがわただし)と仲良くなった僕は、西に住む同級生の家にアシダカグモがいたと聞く。
村の西は人工島に渡る橋と工場が建てられたせいで、元網本・北野(きたの)の家だけが残っていた。
北野家には当主・朝一(ともかず)とその四人の娘たち、末の男の子が住んでいることになっている。
ところが、三番目の娘である久実(くみ)の所在がわからない。そのことを、家族や村人は知っていて隠しているようなのだ。
僕は北野の亡き母親・北野夏子(なつこ)の墓を探しあてる。
そこで夏子の妹、つまり久実の叔母にあたる中津冬子(なかつふゆこ)に出会うが、事情を聞こうとして猛反発にあい、張り倒されてしまう。

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