オゾンによる水処理


オゾンの水の殺菌作用

 オゾンは強力な酸化力および殺菌作用があり、分解が容易で、使用後の残留物は無害な酸素である。このため、現在もオゾンの主要な応用分野である。

ヨーロッパでの水処理

 水処理へ適用しようという試みは古く19世紀末ヨーロッパはフランスで始まり、1906年にはオゾンを使用する浄水場がニースで稼働し始めた。上水をオゾンで有機物を分解した後、供給したところ、活性化した有機物が残存してしまい、充分な濾過処理をなさずに供給したところ、悪臭の他、鉄滓の沈殿等を引き起こしたため、上水に対するオゾン処理は一時撤退を余儀なくされた。
 その後、水源の枯渇と水質の悪化により、オゾンによる水処理システムは再び脚光を浴び、現在フランスを中心として主にヨーロッパで広まり、上水の殺菌、脱臭、脱色に利用されている。

日本の水処理

 オゾンの製造には電気が欠かせない。電気料金が特に高い日本ではコストを重視して塩素処理が採用されている。このため、日本国内での水処理への応用は、浄水施設よりも工場廃水処理やし尿処理工程への適用が主たるものとなっている。これらは主に脱色や消毒を目的としたものである。
 しかし、塩素は反応後は水中にイオンとして残留し、臭いの原因となることや有機物と反応して発ガン性トリハロメタンを作るなどの問題がある。このため上水処理へのオゾンの適用も検討されている。
 また、一般にオゾンで処理した水道水はおいしいといわれている。このように、オゾンの水処理システムへの応用は歴史もあり研究も発展している。
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