ヨーロッパ標準規格のオゾン分析(I)
原理、試薬、反応と力価計算


分析原理

本法は大気中もしくはプロセスガス中のオゾンの沃素滴定分析方法である。直接に適用できる範囲はオゾンの濃度で 1 g/m3 ないし 200 g/m3 (NTP: 273K, 1013kPa) の範囲である。

分析試薬

すべての試薬は推奨分析級で、使用する水はヨーロッパ標準規格 EN ISO 3696 による Grade 2 を満足すること。
  1. ヨウ化カリ(KI)緩衝溶液
      20 g/l のヨウ化カリ(KI)、7.3 g/l のリン酸水素ナトリウム(Na2HPO4 2 H2O)、および 3.5 g/l のリン酸2水素ナトリウム(NaH2PO4) 水溶液
  2. チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)標準体積滴定用溶液、濃度 0.1mol/l
  3. 硫酸、濃度 9mol/l
  4. 粉末沃素酸カリ(KIO3)
  5. 結晶ヨウ化カリ(KI)
  6. 塩酸標準体積的滴定用溶液、塩酸(HCl)濃度 0.1 mol/l もしくは 硫酸(H2SO4) 0.05 mol/l
  7. ヨウ化亜鉛(ZnCl2)でんぷん指示薬。少量の水にでんぷん 4g を溶解し、100 ml の水に塩化亜鉛(ZnCl2) 20 g を加えた溶液に分散させる。溶液を体積が 100 ml になるよう煮沸し、最後に塩化亜鉛(ZnCl2) 2 g を加え全量 1 l に希釈する。
  8. 沃素酸カリ標準液

反応

   5 KI + 5 H+ →5 HI + 5 K+

   KIO3 + H+ →HIO3 + K+

   KIO3 + 5 HI →3 I2 + 3 H2O

   3 I2 + 6 S2O32- →6 I + 3 S4O62-

力価の滴定

粉末沃素酸カリ(KIO3) 0.05g、結晶ヨウ化カリ(KI) 0.5g を水 50 ml に加え、さらにフラスコに水 50 ml を加える。攪拌後、10 ml の標準酸性溶液を加える。遊離した沃素をチオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)標準液ですぐさま滴定する。

力価の計算

1リットルあたりのモル数で表すチオ硫酸ナトリウム濃度 ct
   ct = ca V / Vt
である。ここで
   ca :標準酸性溶液のモル数で表す濃度
   V :ml で表す標準酸性溶液の体積
   Va :ml で表すチオ硫酸ナトリウムの使用溶液の体積

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