ヨウ素法のオゾン分析原理と注意点


リン酸緩衝液で pH を中性に保った KI 溶液をオゾンで酸化して式 (1) の反応を生じさせ、その結果遊離した I2 を Na2S2O3 の還元性標準液で式 (2) のように間接的に滴定する。

   O3 + KI + H2O → O2 + 2KOH + I2  (1)

   I2 + 2Na2S2O3 → Na2S4O6 + 2NaI   (2)

I2 は強い揮発性があるが KI 溶液中で式 (3) のように I3- イオンとして溶解している。

   I2 + I- → I3-        (3)

このとき I- の濃度が高いほうが I2 の揮発性を下げることができるので、十分に濃厚な KI 溶液でオゾンを吸収させる必要がある。なお、吸収液の pH によってオゾンと反応して遊離するヨウ素の量が異なる。中性では式 (1) のように O3:I2=1:1となるが、式 (1) より弱アルカリ性では遊離した I2 が式 (4),(5) に従い KIO3 にまで酸化される。

   2KOH + I2« KIO + KI + H2O   (4)

   3KIO « 2KI + KIO3      (5)

ただし、溶液中に十分な H+ が存在すれば式 (6) の反応により I2 を遊離する。

   IO3- + 6H+ + 5I- → 3I2 + 3H2   (6)

よって、中性に調整され緩衝作用をもつ KI 溶液がオゾン吸収液に適する。


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