カナダのボンバルディア・エアロスペース社が開発した高翼の短距離向け双発ターボプロップ機である。コミューター路線での使用を前提に設計されており、優れたSTOL性能を持つ。同社が先に開発した4発ターボフロップ機DHC-7の胴体直径をそのままに、それ以外を一回り小さくし、双発化する形で開発された。原型初飛行は1983年6月20日、40席クラスの100型を基本型とし、エンジンを強化して巡航速度を向上させた200型、胴体をストレッチして50席クラスにした300型(1987年5月初飛行)、300型をさらにストレッチして70席クラスにすると共にエンジンを強化し、最大離陸重量、巡航速度共に大幅に増加させた400型がある。相次ぐストレッチにより、結局はDHC-7より大型となった。
機体内外におけるエンジン騒音の大幅な低減が図られており、周辺環境にやさしいその静粛性が最大のセールスポイントとなっている。QシリーズのQはQuietのQであることからも同社の力の入れようが推察できる。とりわけ客室内騒音低減装置(NVS)は、客室内にエンジンの騒音の振動とは逆の振動を機械的に作り出すことによって飛行中の騒音を大幅に抑えることに成功している。300型と400型は座席規模から国内ではYS-11の後継機種として選定されているが、400型はYS-11よりも巡航速度ベースで約1.5倍高速で所要時間の短縮が図られている。また、高翼機のため客室からの眺望が好評である。
国内では琉球エアコミューター、日本エアコミューター、エアニッポンネットワーク、天草エアライン、エアーセントラルが使用する。
Q100 | Q200 | Q300 | Q400 | |
全長 | 22.3m | 22.3m | 25.7m | 32.84m |
全幅 | 25.9m | 25.9m | 27.4m | 28.42m |
翼面積 | 54.3平方メートル | 54.3平方メートル | 56.2平方メートル | 63.08平方メートル |
全高 | 7.49m | 7.49m | 7.49m | 8.34m |
胴体外径 | 2.69m | 2.69m | 2.69m | 2.69m |
最大離陸重量 | 16466kg | 16466kg | 19505kg | 29257kg |
最大航続距離 | 1889km | 1713km | 1558km | 2522km |
最大巡航速度 | 496km/h | 537km/h | 528km/h | 667km/h |
運用限界高度 | 25000ft | 25000ft | 25000ft | 25000ft |
座席数 | 37-39席 | 37-39席 | 50-56席 | 68-78席 |
エンジン型式 | PW Canada121×2 | PW Canada123C/D | PW Canada123B | PW Canada150A |
エンジン出力 | 2150shp×2 | 2150shp×2 | 2500shp×2 | 5071shp×2 |
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〔海外(世界の航空事故総覧)〕