国指定重要文化財「銅鐘」(旧国宝)                
  高砂の 尾上の鐘の 音すなり 暁かけて 霜や置くらん(千載集)

の古歌に詠まれた天下に名高い朝鮮鐘で国の重要文化財に指定されています。

神功皇后が三韓征伐より御凱旋の時、お持ち帰りになったと伝えられていますが、実際には、新羅朝時代に造られたもので今から約1100年前のものである。
高さ三尺二寸(約123.5cm)、周囲七尺七寸(約297cm)、口径一尺九寸(約73.5cm)厚さ一寸九分(約7cm)、上下に幅広の帯をつけ、乳廊を広くとり、袈裟襷の区画はなく、 そこに蓮台に座った如来が一体浮き彫りされ、頭上には天蓋と小さな楽器が飛んでいる。 そして天女が、上方の側面まで天衣をひるがえし、優美な情景を彫りだしている。仏をかこみ、左右の空中から二人の天女が天降って楽を奏して供養している有様が、みごとに陽刻され 特に、六個の楽器を飛ばせて虚空に音楽の聞ゆるように表わしているのは奇抜である。奥行ある蒼古の感じは、何ともいえぬ潤いを含み尽きぬ眺めです。

江戸時代には、この装飾の摺物(版画)が贈答品として珍重されていました。
 


※クリックすると拡大画像
がご覧になれます。
左の拓本は大韓民国にある直指寺
直指聖宝博物館で開催された
「韓国の梵鐘−文様・音声・歴史展」
2002年9月20日〜10月30日
に 日本所在梵鐘の拓本として展示
されたものです。

現在は堂内に納められています。
沈鐘伝説      
   元々龍宮にあった釣鐘を神功皇后が三韓従伐からお帰りの時、尾上神社に納められたといわれておりました。
ある日、海賊が、赤胴でできていると言われていたこの釣鐘を船に積み込み盗み出しました。足摺岬まで船で運んで来た時に急な大嵐になり、沈没しそうになってしましました。

「これは大変だ、龍宮の神様が釣鐘を返せと怒っているんだ!早く返さないと沈没するぞ!」

海賊達は慌てて 釣鐘を海に投げ込みました、すると、どうでしょう海はみるみる静かになっていきました。
その事件のあとしばらくすると、その近辺の海では、夜中になると海中が光るようになりました。
その明かりによって漁ができなくなった漁師たちは困りはて、ある識者に尋ねに行きました。

「これはきっとたいへんな宝物だ。みんなで引き上げてみなさい。」と言われた漁師たちは、力をあわせて引き上げました。すると釣鐘だったのです。釣鐘には、この時にできたといわれる、ひび割れが残っています。

この 釣鐘は一度は高野山へ奉納されました。しかし、この鐘を鳴らすたびに、「おのえへ、いのー。おのえへ、いのー」(尾上へ帰ろう)と、聞こえてくるため、詳しく調べてみると尾上の鐘だと分かり、そして尾上神社に帰ってきたという話です。
響きの灘      
  尾上の鐘の響く範囲を響きの灘とする伝承があります。
尾上神社の美しい鐘の音色(盤渉調)は、その昔、多くの人々に親しまれていたのでしょう。
 

尾上神社 兵庫県加古川市尾上町長田字尾上林518 Tel:0794-22-5676 Fax:0794-22-0433
Copyright(C) 2001 ONOE JINJA. All Rights Reserved.