神宝4


 平成15年8月も始めのことである。氏子の木下博行氏がやって来た。
木下家と布忍神社は縁が深い。寛永3年卯5月5日にお経を奉納したという板札が当神社にある。
木下八兵衛は、木下博行氏のご先祖である。
 色々と話している内に、布忍神社に関係深い牛頭天王・三宝荒神・春日大明神の掛け軸があるので一度私に見せるというのである。
 私は是非とも見せて頂きたいと云うと、それでは今から取ってくると走って帰られた。
そうして暫くすると、木下さんは風呂敷包みを下げ再びこられたのである。
 風呂敷包みを解かれ、怖ず怖ずと出された掛け軸は相当に痛いではいたが、本体の絵の部分は虫食いもなく、色鮮やかに残っていたのである。
 私自身、牛頭天王の描かれたものは余り見たことがない。ましてや、当神社の由来の三宝荒神と春日大明神を従えた絵柄は見たこともなかった。
 これは大変貴重な物でしょうと木下さんい伝えると、木下さんはいとも簡単に「この掛け軸神社に寄付します」とのことである。「ただ、表装は大変痛んでいるので神社で修復して下さい」とのことである。
 早速に表具屋に云って此の掛け軸の修復に取り掛かり、やっとの事で出来上がってきた。
 先日、この掛け軸を従えて、大阪歴史博物館にいくと「大変珍しい物ですね」とのことである。
帰ってきて、このことを木下さんに伝えると「ご先祖もしたように、私も微力ながら神社のためになった」と大変喜んで頂いたのである。
 平成15年9月28日に「牛頭天王・三宝荒神・春日大明神」ご神像画の奉納祭を執り行う。
 布忍神社のご祭神は明治以降歴史的な経過のもと「速須佐男之尊(はやすさのおのみこと)八重事代主之尊(やえことしろぬしのみこと)建甕槌之尊(たていかづちおのみこと)」となり、近隣の人々の崇敬を集めています。
 今後はより以上のご加護を頂くためにも、荒神として速須佐男之尊の本地である牛頭天王と三宝荒神・春日大明神を加え末永く祀っていきたいと思っています。