秋刀魚について


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「秋刀魚」と書いて、「サンマ」と読むのは知ってました?
2週間ほど前から、京都の市場に「新サンマ」が入荷しています。

普通、「秋刀魚」は、字のごとく「秋のたより」なのですが、その年の「魚群の状況」を調べる試験船が、6月末頃(と聞いている)に出かけて、試験操業をします。
これで漁獲された秋刀魚が、シーズンの一番はじめに出回るのです。これが、7月のはじめから中旬くらいです。
すなわち、「秋のたより」の秋刀魚は、真夏に入る前に、姿をあらわしてくるのです。

試験船での漁獲は、「刺し網」という漁法です。
普通は、「秋刀魚棒受網」という漁法なのですが、これは灯火に近づく秋刀魚の習性を利用した漁法です。
この漁法では、秋刀魚が大群となって集まってくるため、魚群の正確な分布状況がつかめません。
その点、「刺し網」は定置網の一種で、網を張ってあるところにくる秋刀魚だけを漁獲しますので、魚群の状況がわかるのです。

京都中央市場の「新秋刀魚」の相場は、7月20日には、21尾入りが20000円でした。1尾1000円弱ですね。
今日、22日の相場は、27尾入り(ちょっと小さめ)が15500円でした。
今の漁場は、釧路東方沖150k海域と聞いています。

今年の秋刀魚は、よく太って、美味しそうです。漁も、そこそこ有りそうです。
昨年は大型が少なく、脂ののりも悪く、さんざんでしたが、今年は美味しい秋刀魚が食べられそうです。
7月末頃から、徐々に値段が下がり始め、盆があければ、一挙に「大衆的価格」となるでしょう。この頃が「食べ頃」です。

「秋刀魚」は、今の時期から12月頃までが漁期ですが、魚屋さんでは1年中、売っています。
これは、鮮度の良いうちに冷凍したモノを保存しておき、それを解凍して、1年間、売っているのです。
今の時期、「新サンマ」と「昨年の解凍したサンマ」の両方が、売場に並んでいます。
今は、新サンマの出始めで、超高値なので、「新」か「ヒネ」(昨年のモノ)が「値段」ではっきりわかります。
もう少しして「新サンマ」の値段が下がってきたときは、「新」と「ヒネ」の区別がつきにくくなりますので、買うときに注意が必要です。
だいたい、どこのスーパーや魚屋さんでも、「新さんま」「新物」などと表示しているものを買えば安心です。
分からないようならば、店員さんに聞きましょう。「新」か「ヒネ」かを教えてくれないようなお店では買わない方が無難です。
特に、今年の場合「美味しくないヒネサンマ」が、まだ業務用冷凍庫に大量に眠っているらしいので、注意しなければ「マズイ秋刀魚」を掴まされる恐れがあります。
                                      1997年7月記

8月28日追記 8月20日過ぎから大型船が出漁しており、入荷量が増えています。25日頃から、相場が急落しています。
そろそろ、1尾100円で売れる値段になってきました。秋刀魚は栄養価が高い魚です。たくさん食べて下さい。
2000年の秋刀魚(この項目は、2000年9月6日に加筆しました。)
大型船の出漁した8月20日前後は、台風の影響があり漁が少なく超高値でしたが、天候が安定するや一気に安値になりました。ここ数日は、大サイズで、小売価格250円程度で推移しているようです。
今年の秋刀魚特徴は、下記の2点です。
  1. 大きなサイズが多い。
    • 京都では、生秋刀魚は4kg入り、塩秋刀魚は7.5kg入りで流通しています。
    • 生秋刀魚は、1箱20尾〜23尾というのが増えてきました。昨年が、37尾とか40尾のの小さなのが中心だったことを考えると、様変わりしています。大きな秋刀魚は美味しそうです。
    • 塩秋刀魚は、1箱40尾〜75尾くらいまでが入荷しているようですが、まんなかあたりのサイズ(1箱50尾あたり)が少ないようです。
    • 脂乗りについては・・・・・・良くない、という方もおられますが、私が食べたものは美味しかったです。昨年の秋刀魚よりいいと思います。
  2. 韓国産の「新物」「解凍」秋刀魚が流通しています。
    • 8月20日すぎくらいに、国産の秋刀魚の小売価格が500円くらいの時、韓国産の「新物」「解凍」秋刀魚が150円くらいでした。(東京からの報告)
    • 8月22日に、奈良の中央市場に入荷していたという報告もあります。
    • 京都にも入っていたかもしれませんが、確証はありません。
    • 複数の某全国スーパーが8月末に特売した秋刀魚は、これだという話も入っています。
    • なお、表示がきちんとされていないものがあるようです。
韓国産の「新物」「解凍」秋刀魚ですが、盆前から、京都に入っていたことが分かりました。
量販店の「J」が、特売の時に生サンマがなかったので、このサンマを売ったらしいです。
きちんと表示をしたのでしょうか。疑問ですね。           この項 2000年9月7日加筆
2001年の秋刀魚(この項目は、2001年8月26日に加筆しました。)
今年は、北方4島の海域に韓国や台湾の秋刀魚漁船が入ったりして、早くからマスコミで話題になった秋刀魚漁ですが、今のところ大豊漁です。
そのため、相場のほうも昨年よりかなり安く、築地の7月の相場を見れば、昨年比60ー70%安となっています。
とにかく大豊漁で、8月1日〜10日の主要漁港水揚げ量が昨年の10倍になっています。
北海道立釧路水産試験場が8月9日に出した予報では、「来遊量は昨年を上回る」「漁期当初は中型魚が主体」「中盤には大型魚が多くなる」「終漁に近づくにつれ、小型魚が増える」、おおざっぱに言って、こんなような状況のようです。
例年のことですが、8月20日に40トン以上の大型船が解禁となり、漁に出ました。
これで全ての漁船が出揃ったわけです。
月末あたりから、水揚げ量は飛躍的に伸びますから、9月の始めあたりから「1尾100円」で美味しい秋刀魚が食べられる可能性が高いですね。
昨年は不漁で、あまり秋刀魚を食べられなかったのですが、今年は大漁で安値ですから、いっぱい食べましょう。特に、大型魚を刺身で食べることをお薦めします。

秋刀魚についての知識
学名・地方名
学名「Cololabis Saira」 地方名、サイラ(学名と同じ名前で呼ぶよころが多いようです。)その他、サヨリ、サイリ、サヨラ、サイレ、セイラなど。(学名がなまった?) 
分布域は
北海道の東部や三陸沖、常磐で漁獲されるのはよく知られています。
また、和歌山の「秋刀魚寿司」は、この地方で漁獲される、脂ののっていない秋刀魚で作られます。
ということで、太平洋側ばかり注目を浴びますが、日本海にも秋刀魚はいます。
日本海では、対馬から北海道沿岸に至る対馬暖流域で生息・産卵しているようです。
富山湾や若狭湾でもけっこう獲れます。しかし、この秋刀魚は脂がのってなくて美味しくない。
水揚港 北海道では
  • 花咲港・厚岸港・根室港・釧路港・浜中港など
本州では
  • 久慈港・宮古港・釜石港・大船渡港・気仙沼港・女川港・石巻港・小名浜港・中の作港・那珂湊港・銚子港など
北海道の東部で漁獲された秋刀魚は北海道の港に水揚げされるのが普通ですが、最近では三陸の港に揚げられるのも増えてきています。
これは、主要な消費地である首都圏への輸送には、北海道より三陸の港のがほう便利なためです。
栄養
話題の、EPA・DHAがたくさん含まれています。。(高血圧・心筋梗塞・動脈硬化などに有効)
牛肉の12〜16倍ものビタミンAが含まれています。(ビタミンAが不足すると「鳥目」になる。)
血合いの肉には、貧血症状に効果のあるビタミンB12がたくさん含まれています。(他の魚の3倍以上ある。)
ビタミンEも多いです。(若返り?に有効)
苦いハラワタには、カルシウム・ナイアシン・各種ビタミンが含まれています。ハラワタも食べましょう。

世界の秋刀魚
世界のサンマ科は5種類ほど。                      関根@浦和さんからの情報です。
  1. ニシサンマ(北大西洋)
  2. ハシナガサンマ(南半球)
  3. サンマ(北太平洋)
  4. 太平洋ミニサンマ(太平洋赤道海域)
  5. 大西洋ミニサンマ(大西洋赤道海域)
サンマは生息範囲が広く、イワシやサバに比べ、資源的に安定。
我々が食用にしているサンマは、北太平洋だけに生息。
日本沿岸から北米沿岸まで連続的に分布している・・ と言う事は、公海にもサンマは生息しているということ。

美味しい秋刀魚を買うために
1、黒目の周りが透明で、澄んでいるのを選ぶ。赤っぽく濁った感じなのは避けましょう。
2、口先が、目立って黄色い魚がいますが、これは脂がのっている証拠です。
3,背が青黒く光っていて、張りがある魚がよい。ブヨブヨは駄目です。
4,腹は、銀白色で針のあるのがよい。鮮度が落ちてくると柔らかくなります。
5,スマートな物より、ずんぐりとした「太め」(私みたいな(^_^;)のほうが脂がのって美味しいです。
6,「秋刀魚開き」は、皮の色にツヤがあり、身はピンク色でしっとりしている物がよい。
 最近の開き物は「薄塩」なので、あまり日持ちしません。できるだけ早めに食べて下さい。
さんまみりん干しを作りましょ!
サンマのみりん干しは、簡単に作れます。
1,サンマは頭を取り、腹開きにします。
2,醤油とみりんを同量合わせた調味液に15分〜20分付け、あげてゴマをふっておきます。
3,ハエや虫がつかないように注意し、一昼夜乾燥させると出来上がりです。
4,軽く焼いて食べましょう。焼きすぎると美味しさが 飛んでしまいます。注意しましょう。

ウロコや骨が青いのはなぜでしょうか。
サンマの骨やウロコが青くなっていることがあります。
みなさんはこれを見て「あれっ、なんか気持ちが悪いな。」と思われたことはありませんか。
でも、安心してください。これは、サンマの内臓にある胆汁色素の一種で「ビリベルジン」という物質です。
脊椎動物の骨が青くなるのも、「ビリベルジン」が関与したものと思われています。
「ビリベルジン」は、赤血球中のヘモグロビンの正常な代謝産物で、血液を通じて肝臓に運ばれ胆汁色素として分泌されます。その一部は、肝臓から再び筋肉組織に運ばれます。
魚肉やハムなどを包丁で切った場合に、ときどき青い色に見えたりする事がありますが、この現象は「ビリベルジン」によるもので、鮮度が悪いとか、不純な物質や薬品などの作用ではありません。ご安心下さい。
  この項は、2002年7月1日に加筆しました。

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