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★★★★★ |
実演で見せる、鬼気あふれる音楽という面は影を潜めてるが、スタジオ録音ならではの落ち着きがシューベルトの歌心には良かった。
同じシューベルトの≪未完成交響曲≫のリハーサル風景がフィルムに残されてるが、そこでのフルトヴェングラーのこだわりは一通りではない。出だしのコントラバスのテーマを何度もやり直すその音楽作りのすごさを知ってこの曲を聴くと感動もひとしお。
何度聴いても飽きることのない音楽である。 |
フルトヴェングラー指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
14:35-17:11-11:12-11:32
<1951.12>
Heliodor-88006 |
①森の奥から響くようなゆったりしたホルン。
序奏はゆっくりした足取りでありながら力強い。
主部に入ると彼らしい力のあるのある音楽になるが、テンポはあまり動かさずじっくり力を溜めているような感じ。
展開部に入る時に少しテンポを落とす(250-255小節)
コーダはフルトヴェングラーの独壇場。558小節(12:45)からのアッチェレランドは聴く者の心をわしづかみにして最後まで一気に持ってゆく。 |
②やや遅めのテンポで、第一主題は流れるような歌が聴けるが、第二主題になると様相が変わり始める。89小節からテンポがぐっと遅くなる。
でもまだこれはドラマの始まり。
146小節から(6:07)の音楽はほとんどアダージョ!
つづく第一主題の再現もそのイメージをひきづってゆく。その後いくぶんもとの速さに戻りかけるが、第二主題が再現する時またもアダージョに。(251小節-)(10:43)
最後も消え入るように終わる。
この楽章は、フルトヴェングラーの人間性がそのまま出たような音楽。 |
③スケルツォ、特に入れ込むことなくオーソドックスな音楽で、オーボエなどの木管の美しさもシューベルトの歌を聴かせてくれる。
トリオ、遅めのテンポでじっくり歌い上げる。
再現するスケルツォ、ある部分では弦がうねるような動きがあり、つい引き込まれる。 |
④シューベルトというよりもベートーヴェン的な大きな音楽になってる。
重なるような音の厚み、畳み掛けるようなオケの煽り方など、フルトヴェングラーの面目躍如。 |
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