マンション管理士試験の合格を目指すにあたって、マンション管理士というのがどのような仕事を行う資格なのか、ある程度知っておいた方がよいかと思いますので、ここでは、マンション管理士の仕事内容について、ご紹介したいと思います。
【執筆者】 |
![]() 執筆者紹介 |
マンション管理士ってどんな資格?
それでは、マンション管理士とはどんな資格なのか、その概要をご紹介していきたいと思います。
マンション管理士とは
マンション管理士の資格は、平成12年に成立した「マンション管理適正化法」に基づき、管理業務主任者とともに誕生した国家資格です。
マンション管理士は、マンションに関する高度な専門知識をもって、マンション管理組合や区分所有者からの相談を受け、管理組合の運営や管理規約の改正、大規模修繕工事などマンションの管理に関する様々な問題について、指導やアドバイスを行うことを業務としており、ひとことで言えば、マンション管理のコンサルタントといえます。
現在、国内のマンションの戸数は着実に増え続けており、築30年を超えるマンションも増加してきているなかで、マンションの老朽化対策や、旧耐震基準で建設されたマンションの耐震改修工事など、大きな課題が顕在化しつつあります。
また、居住者の高齢化に伴い、管理組合の運営に支障をきたす事例も増えてきています。
このようなマンションを取り巻く困難な状況のなかで、大規模修繕工事の適切な実施や管理組合の円滑な運営など、マンション管理の専門家であるマンション管理士の必要性や期待が年々高まってきています。
マンション管理士は、「名称独占資格」と言われるものであり、宅建士や管理業務主任者のような独占業務はありません。
また、業者への設置義務もありませんが、資格を有することにより、マンション管理会社においてアドバイザーとして信頼度が上がることや、コンサルタントとして独立開業することも可能な資格です。
- マンション管理のコンサルタント
- 「名称独占資格」で、独占業務はなく、業者への設置義務もない
- アドバイザーとして信頼度が上がることや、コンサルタントとして独立開業が可能な資格
マンション管理士になるには
マンション管理士になるためには、まず、1年に1回実施されるマンション管理士試験に合格する必要があります。
そして、国土交通大臣の登録を受けると、マンション管理士登録証が交付されます。
なお、マンション管理士の登録を受けるに当たっては、宅建士や管理業務主任者とは違って、実務経験や登録実務講習などは必要とされていません。
- 管理業務主任者との比較はこちら⇒マンション管理士と管理業務主任者の違い【業務内容・試験制度を徹底比較!】
マンション管理士の仕事内容
マンション管理士は、マンション管理組合や区分所有者の立場に立って業務を行う資格者であり、その主な業務は、以下の3つに分類できます。
マンション管理組合の運営に関する助言・指導・援助
マンション管理組合の多くは、一般住民で運営しているのが実態となっているため、専門知識を持たない管理組合に、会計処理の方法や、運営コストの削減といった組織の運営方法に対してアドバイスしたり、管理組合の理事会、総会への出席・助言、定期総会の議案書点検、管理会社との調整など、管理組合の運営全般をサポートします。
マンション管理組合における長期修繕計画・修繕積立金の規定の整備や大規模修繕の計画立案、見直しのコンサルティング
マンションは、築30年を超えた時期から、大規模修繕などの保全が必要になるため、管理組合において老朽化対策を話し合うには専門家であるマンション管理士の支援が必要不可欠となります。
このようなマンションの長期修繕計画・修繕積立金についての規定の整備や大規模修繕の計画立案、マンション管理規約の作成・見直しなどについてコンサルティングします。
マンション管理における住民間及び管理会社とのトラブル対応
マンション内で起こる住民間のトラブル解決や、マンション管理会社に管理委託費として支払っている費用と業務内容が適切かどうかを精査し見直すことなど、マンション管理組合をサポートします。
- 独学で合格を目指す場合はこちら⇒マンション管理士の独学におすすめのテキスト、問題集等
- 独学が不安な方はこちら⇒マンション管理士のおすすめ通信講座【人気6社比較ランキング!】
5万円で人気通信講座が受講できます! 最安値は39,600円!
「マンション管理士」と宅建士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士との仕事内容の違い
不動産業に関連する4大資格として、マンション管理士のほか、宅建士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士があります。
これら4つの資格は密接に関連しているため、それぞれのどこがどう違うのか、わかりにくいかと思います。
そこで、簡単に表で整理してみましたので、正確ではない表現もありますが、参考にしていただければと思います。
不動産業関連 4大資格 |
主な業務の内容 |
マンション管理士 |
分譲マンションの管理に関する指導、アドバイス、コンサルティング等の業務 <独占業務なし> |
宅建士 |
不動産(土地・建物)の取引(売買・交換・貸借)の代理・媒介業務 <3つの独占業務> ・重要事項の説明 ・重要事項説明書への記名・押印 ・契約書(37条書面)への記名・押印 |
管理業務主任者 |
分譲マンションの管理業務 <4つの独占業務> ・管理受託契約に関する重要事項説明 ・管理受託契約に関する重要事項説明書への記名・押印 ・管理受託契約書への記名・押印 ・管理事務に関する報告 |
賃貸不動産経営管理士 |
賃貸マンションの管理業務 <業務管理者としての業務> 以下の事務の管理・監督 @管理受託契約に関する重要事項説明と書面の交付 A管理受託契約書の交付 Bその他6項目 |
以上のように、簡単に表にまとめてみましたが、違いがわかりにくいのは、「管理業務主任者」、「マンション管理士」、「賃貸不動産経営管理士」の3つの資格ではないでしょうか。
まず、この3つの資格を区別する大きなポイントは、業務の対象が「分譲マンション」なのか「賃貸マンション」なのかというところです。
「管理業務主任者」と「マンション管理士」は、「分譲マンション」を業務の対象とするのに対し、「賃貸不動産経営管理士」は、「賃貸マンション」を業務の対象としています。
ちなみに、宅建士は、分譲マンションも賃貸マンションも、どちらも業務対象となります。
では、マンション(分譲・賃貸)を例にとって、4つの資格の業務範囲を確認してみたいと思います。
まず、新築マンションが建った場合、分譲マンションであれ賃貸マンションであれ、入居者の募集をする場面は、宅建士の業務範囲となります。
分譲マンションであれば、「売買」という不動産取引の代理・媒介業務になりますし、賃貸マンションであれば、「賃貸」という不動産取引の代理・媒介業務になります。
次に、マンションを管理する場面(管理受託契約の締結)を考えた場合、分譲マンションの管理であれば、管理業務主任者の業務範囲になりますし、賃貸マンションの管理なら、賃貸不動産経営管理士の業務範囲となります。
そして、分譲マンションの場合は、通常の管理事務に加えて、区分所有者全員で構成されたマンション管理組合の運営の問題や、大規模修繕や建替えなど区分所有者同士の合意形成を図りながら計画的に工事の施工を進めていかなければならないといった問題などが発生しますので、このような難しい問題を解決するためにマンション管理士が登場するというわけです。
その後、さらに分譲マンションを転売したり、新たな入居者と契約を締結したりする際には、宅建士が再び登場するというような形で、これら4つの資格は密接に関連しているということが、おわかりいただけるかと思います。
- マンション管理士の資格取得を独学で目指す場合は「マンション管理士の独学におすすめのテキスト、問題集等」をご参照ください。
- 独学の学習が不安な方は「マンション管理士のおすすめ通信講座【人気6社比較ランキング!】」をご参照ください。
<ホーム>