管理業務主任者試験の合格を目指すにあたって、管理業務主任者というのがどのような業務を行う資格なのか、ある程度知っておいた方がよいかと思いますので、ここでは、管理業務主任者の業務の概要について、ご紹介したいと思います。
執筆者 大西雅明 |
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管理業務主任者とは
管理業務主任者は、法律の規定により、マンション管理業者(マンション管理会社)の事務所ごとに一定数の設置が義務付けられており、マンション管理のエキスパートとして、マンションの管理業務を行う国家資格者です。
マンションには、その所有者で構成されたマンション管理組合という組織があり、マンション管理業者は、この管理組合から管理業務の委託を受けて、マンションの管理を行っています。
マンション管理業者は、その管理を受託する管理組合の数に応じて、30管理組合ごとに1名以上の「管理業務主任者」を設置することが義務付けられているほか、この管理業務のなかには、管理業務主任者にしかできない4つの独占業務があるため、管理業務主任者は、マンション管理業務になくてはならない非常に重要な役割を担っています。
管理業務主任者として業務を行うためには、1年に1回実施される管理業務主任者試験に合格した後に、国土交通大臣の登録を受け、管理業務主任者証の交付を受ける必要があります。
この登録を受けるためには、マンション管理の実務経験が2年以上あるか、又は、2日間の登録実務講習を受講すること等が要件とされています。
管理業務主任者の業務
それでは、上述の管理業務主任者の独占業務についてご説明したいと思います。管理業務主任者の独占業務は、以下の4つの業務となります。
管理受託契約に関する重要事項説明
マンション管理業者は、マンションの管理業務について、マンション管理組合から委託を受けて行いますが、管理業務の委託契約を締結する前に、契約の重要な事項(例えば、管理事務の対象・内容・実施方法・費用・支払時期、契約の期間・更新・解除など)について、マンション管理組合を構成する区分所有者等に説明をしなければならないことになっています。
この管理受託契約に関する重要事項説明は、管理業務主任者にしかできない業務とされています。
管理受託契約に関する重要事項説明書への記名・押印
管理受託契約に関する重要事項を説明する際は、あらかじめ「重要事項説明書」を作成し、説明の相手方に交付しなければならないこととされています。
この重要事項説明書には、管理業務主任者が記名・押印しなければならないことになっています。
管理受託契約書への記名・押印
管理受託契約に関する重要事項の説明後、管理組合と管理受託契約が成立した際は、マンション管理業者は契約書を交付しなければならないこととされています。
この契約書には、管理業務主任者が、契約書の内容に間違いがないかどうか確認をして、記名・押印することとされています。
管理事務に関する報告
マンション管理業者は、受託した管理事務の処理状況について、定期的に報告をする義務があります。
この管理事務の報告は、管理業務主任者にしかできない業務とされています。
- マンション管理士との比較はこちら⇒マンション管理士と管理業務主任者の違い【業務内容・試験制度を徹底比較!】
「管理業務主任者」と宅建士、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士との業務内容の違い
不動産業に関連する4大資格として、管理業務主任者のほか、宅建士、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士があります。
これら4つの資格は密接に関連しているため、それぞれのどこがどう違うのか、わかりにくいかと思います。
そこで、簡単に表で整理してみましたので、正確ではない表現もありますが、参考にしていただければと思います。
不動産業関連 4大資格 |
主な業務の内容 |
管理業務主任者 |
分譲マンションの管理業務 <4つの独占業務> @管理受託契約に関する重要事項説明 A管理受託契約に関する重要事項説明書への記名・押印 B管理受託契約書への記名・押印 C管理事務に関する報告 |
宅建士 |
不動産(土地・建物)の取引(売買・交換・貸借)の代理・媒介業務 <3つの独占業務> ・重要事項説明 ・重要事項説明書への記名・押印 ・契約書(37条書面)への記名・押印 |
マンション管理士 |
分譲マンションの管理に関する指導、アドバイス、コンサルティング等の業務 <独占業務なし> |
賃貸不動産経営管理士 |
賃貸マンションの管理業務 <賃貸住宅管理業者登録制度における業務(独占業務ではない)> @管理受託契約に関する重要事項説明 A管理受託契約に関する重要事項説明書への記名・押印 B管理受託契約書への記名・押印 |
以上のように、簡単に表にまとめてみましたが、違いがわかりにくいのは、「管理業務主任者」、「マンション管理士」、「賃貸不動産経営管理士」の3つの資格ではないでしょうか。
まず、この3つの資格を区別する大きなポイントは、業務の対象が「分譲マンション」なのか「賃貸マンション」なのかというところです。
「管理業務主任者」と「マンション管理士」は、「分譲マンション」を業務の対象とするのに対し、「賃貸不動産経営管理士」は、「賃貸マンション」を業務の対象としています。
ちなみに、宅建士は、分譲マンションも賃貸マンションも、どちらも業務対象となります。
では、マンション(分譲・賃貸)を例にとって、4つの資格の業務範囲を確認してみたいと思います。
まず、新築マンションが建った場合、分譲マンションであれ賃貸マンションであれ、入居者の募集をする場面は、宅建士の業務範囲となります。
分譲マンションであれば、「売買」という不動産取引の代理・媒介業務になりますし、賃貸マンションであれば、「賃貸」という不動産取引の代理・媒介業務になります。
次に、マンションを管理する場面(管理受託契約の締結)を考えた場合、分譲マンションの管理であれば、管理業務主任者の業務範囲になりますし、賃貸マンションの管理なら、賃貸不動産経営管理士の業務範囲となります。
そして、分譲マンションの場合は、通常の管理事務に加えて、区分所有者全員で構成されたマンション管理組合の運営の問題や、大規模修繕や建替えなど区分所有者同士の合意形成を図りながら計画的に工事の施工を進めていかなければならないといった問題などが発生しますので、このような難しい問題を解決するためにマンション管理士が登場するというわけです。
その後、さらに分譲マンションを転売したり、新たな入居者と契約を締結したりする際には、宅建士が再び登場するというような形で、これら4つの資格は密接に関連しているということが、おわかりいただけるかと思います。
- 管理業務主任者の資格取得を独学で目指す場合は「管理業務主任者の独学におすすめのテキスト、問題集等」のページをご参照ください。
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