コラム

社員の化学日記 −第60話 「雨」−

雨は天の恵みといいますが,現在の雨はそれだけでは無いようです。

雨はとは水の循環の一部分であるため,循環の過程により大気汚染物質である硫黄酸化物や窒素酸化物などが酸として取り込まれています。

そして二酸化酸素濃度が330ppmの大気と平衡にある雨(pH5.6)よりも酸性になっている雨が酸性雨です。

酸性雨によって,河川が酸性になり特に淡水生態系を破壊し(次亜塩素酸ナトリウムが含まれていた水道水で金魚が死んでしまうこと思い浮かべればイメージしやすいと思う),土壌中の栄養素であるカルシウムイオンやマグネシウムイオンが溶け出し陸上の植生態系を破壊してしまう。

ちなみに,pH約4以下の河川を酸性河川といい地理学上では酸性毒水いわれる事があるようです。

ただ日本での酸性河川は火山や温泉,鉱物などからの無機強酸性物質の供給に基因するようです。

自然界への影響だけでなく人工物への被害もあります。

コンクリートの主成分である炭酸カルシウムが溶け出し,建造物の軟化を引き起こしたり,同じような成分で出来ている石像など美術品への被害があります。

現代の雨は大気汚染の影響などにより,さまざまな被害を我々に与えますが,貯水や農作物などへの水資源としての大切な役割を持っています。

恵だけを甘受できる時代ではありませんが,雨に唄えばでも聞きながら綺麗な雨が降ってくるのを祈るばかりです。

【白色林檎(ペンネーム)】

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