コラム

社員の化学日記 −第30話 「お決まりの・・・」−

今年もいろんなものが流行った。

iPad,スマートフォン,事業仕分けにJAXA((独)宇宙航空研究開発機構)の「はやぶさ」などなど・・・。

流行語としては,「整いました」などタレント,芸人の決め言葉,ギャグが中心である。 「整いました」とは,なぞかけのお題をふられた時のある芸人の決まり文句。 (この芸人はこの決まり文句で今年後半にブレイクしたらしい。)

謎かけといえば,演芸番組などで主に落語家さんが得意とする話芸の一つで
「◯◯とかけて××と解く」
「その心は???」
という決まり文句で進む「言葉遊び」で,ダジャレから非常にウィットに富んだものまで,言葉を芸の手段とする芸人の方々の腕の見せどころである。

今年のノーベル賞では二人の日本人研究者が化学賞を受賞した。 お二人の研究分野は合成化学で,共に金属の触媒をもちいたカップリング反応という,異なる分子を希望する箇所で結合させて目的の有機化合物を合成する方法を確立した。 ここ数年の間,化学賞,物理学賞においては日本人研究者が頻繁に受賞しており,化学,物理学は日本のお家芸と言っても言い過ぎではないかもしれない。

受賞が決定し,マスコミ・報道のインタビューに対して,受賞者からの第一声は決まって「信じられない」という部類のコメントを述べられる。 この意味は「自分のような者が受賞するとは」という場合と,受賞の時期に対して「こんな昔の研究に対して今さら受賞といわれても・・・」という場合とがあるらしい。 もともとノーベル賞の審査基準の1つに「どれだけ世の中に貢献しているか」(化学賞,物理学賞でいえば,科学技術などに応用されているか)というのがあるらしい。 したがって,その研究がなされてから受賞に至るまでは長い年月を経ている場合がほとんどであり,ある受賞者はマスコミの取材に対して後者のような困惑気味の感想を漏らしたと聞いたことがある。 マスコミは受賞者の素直な喜びや感想を期待したのだろうが,それが彼の率直な感想だったのかもしれない。

「あ・うんの呼吸」「ツーカーの仲」といった言葉は,何も決まりごとがなくでも「あ」といえば「うん」,「ツー」に対して「カー」といった”合言葉”が出てくるほど気心が知れているという意味に用いられる。 しかしながら,これは主として個人対個人の関係に適用されることであって,組織やグループの中では統一したルールや規則,個人間の意思統一があることが前提である。

ビジネスの世界では「報連相」という基本的な言葉がある。「報告」「連絡」「相談」の3つで,これらがおろそかにされてしまうと組織としての活動は成り立たなくなってしまう。 会社に限らずどんな組織でもトップが方針・目的を決め,組織の構成員はその方針に従って具体的な行動手順の意思統一を図った上で行動する。

プロ野球でも草野球チームでも,ベンチで監督がバントのサインを出しているのにそれを無視してヒッティングに切り替えた場合,成功すればまだマシだが,大事な局面にボテボテの内野ゴロでゲッツー,ゲームオーバーなんてことになればタダですむわけがない。 グループ全体の作業効率を考えないで何の「相談」,「連絡」もせず,自分の作業手順の都合ややり易さから勝手にルールを決めて実行するようでは組織人としては失格としかいいようがない。 監督がバントのサインを出せば確実にバントしなければならないし,トップが「ツー」といえば「カー」と答えなければならない。 「カー」と答えたくなければ,事前にどうしたいかを「相談」,その旨を共同作業者に「連絡」した上で実行し,その結果をトップに「報告」しなければならない。 それが組織人なのである。

堅苦しい話になってしまったので,最後に”整いました”!!
”「2010年」とかけまして「ベテランデザイナーが所有している色鉛筆セット」と解きます。”
”その心は?”
”今年もいろいろ(色色)ありました。”
おあとがよろしいようで・・・・m(_ _)m(チャカ,チャンリン,チャンリン,ドン・ドコドン・・・・)

【道修町博士】

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