コラム

社員の化学日記 −第29話 「花火」−

高校生のころ,体育祭の開会式で花火を打ち上げたことがあった。

それは,花火をただ打ち上げるのでは無く,少し手間を掛けたものだった。

市販されている花火の火薬を筒から一度取り出し,乳鉢でそれをすり潰し粉末にする。 そして粉末になった火薬をまた花火の筒の中に詰め込む,筒の中に花火2,3個分の火薬を詰め組むのだ。 そしてそれを塩化ビニ−ルの筒の中に入れてセッティングする。 点火には,ニクロム線を使用した。ニクロム線に電流を流すと熱を発するためその熱を利用して,火薬に点火する。 スイッチ一つで花火が打ちあがる仕組みだ。

体育祭本番での打ち上げは成功し,大砲のような爆音の迫力にとても興奮した。 しかし,市販の花火を改造したため,爆発の危険性があるという事と火薬取締法違反(火薬の取り扱いは,法令で定められた有資格者が定められた設備で行うことが定められている。)だったため翌年より中止になってしまった。 今思えばよく学校側は実行を許可したと思う。

花火の火薬の中には黒色火薬(硝酸カリウム75%,硫黄10%,木炭15%を混合したもの)が使用されており,摩擦などの衝撃でも発火してしまう。 当時何も考えずに乳鉢で火薬を潰していたと思うと非常に恐ろしい。

弊社で販売している薬品には,過塩素酸塩類等の性質上,あるいは品名上危険物に含まれるものもある。 取扱いには十分注意したい。

【白色林檎】

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