コラム
社員の化学日記 −第207話「もう冷夏は来ない?」
皆さんこんにちは。長かった夏もようやく終わりいよいよ食欲と芸術とスポーツの秋になってきましたね。
今回は前回(25年5月掲載コラム)の続きをと思っておりましたが、ちょっと気になる記事を見ましたので気になって調べてみました。 『超酷暑警報!「トリプル高気圧」で殺人級"42℃の夏"がやって来る!?(週プレNEWS) - Yahoo!ニュース』1)
今までの夏と言えば太平洋高気圧の勢力の強さにより猛暑や冷夏などと言われてきました。 この太平洋高気圧は特に地上から高度5000m付近の高気圧と言われており、これは普段天気予報で見る地上付近の気圧配置からでも確認することはできます。
さらに上空には中国大陸から日本付近にかけて高度の高い10000m付近にチベット高気圧が張り出していることもある程度気象に精通していればご存じの方は多いかと思いますが、 三重大学らの研究2)によりその中間層にオホーツク海から第3の高気圧で南北傾斜高気圧の存在が発表されました。
皆さん「やませ」ってご存じでしょうか?
初夏から夏にかけて冷たい空気を持つオホーツク海高気圧の淵を時計回りに吹く北東の風で北海道から東北や関東にかけて気温を下げる要因にもなるのですが、 南北傾斜高気圧がこのやませをブロックするように風を遮り、ここ数年北海道や東北で35℃超の猛暑をもたらしていると言われております。
ではなぜこの南北傾斜高気圧が発生しているのかとなりますと、本来夏には偏西風が日本の北側まで北上して、ある程度の幅で南北に蛇行するように吹いているのですが、 その蛇行の幅が南北に大きくなることにより北に凸となる場所に高気圧が発生します。
偏西風の高度は約11000m付近ですので、ここから5000m付近の太平洋高気圧と10000m付近のチベット高気圧の間に向かって南北に傾斜する形で高気圧が張り出し、日本付近で3層目の高気圧としてここ数年の猛暑の要因となった、もしくは北海道および東北の猛暑の要因となったようなのです。
気象庁も35℃以上を猛暑日と定義していますが、さらに40℃以上の日の名称を定義することも視野に入れていることからいよいよ40℃を乗り切る覚悟が必要になるかもしれないですね。
ではまた次回もよろしくお願いします。 ※参考URL 1)Yahoo!ニュース(2025年7月4日(金));https://news.yahoo.co.jp/articles/0b871fa8f7009ff057b424e779391fb3fd4b9d0e 2)三重大学R-ナビ-三重大学の研究最前線-; https://www.mie-u.ac.jp/R-navi/release/cat775/post-73.html
【からくり長屋の錬金術師(ペンネーム)】
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