コラム

社員の化学日記 −第19話 「太陽の恵み」−

「次はお前の番」と原稿作成の依頼を受け,さて何を書こうかと思っていると,回りはクリスマス一色で浮かれている。今日は12月24日,いわゆる[クリスマスイブ]。 そういえば昔疑問に思ったことがあった。クリスマス本番,キリストが生まれたのは25日なのに,なぜ前日に騒ぎ立てるのかと。 そこで[イブ]の意味を辞書で調べてみました。(このコラムが掲載されるのは年が明けてからになるので少々時期はずれになりますが)

手元の電子辞書Canon wordtank V80に入っているスーパー大辞典(三省堂)によると, [イブeve]→「祭りの前夜。特にクリスマスの前夜。前夜祭」とある。

同ジーニアス英和辞典(大修館書店)によると→「(祝祭日などの)前夜(祭り),前日」「(重要なことの)直前」後省略。

そういえば大晦日のことをNew Year's Eveとかいってたなぁ。といって12月31日に年賀状は来ないし雑煮も食べない。何故クリスマスだけが特別扱いなのか? 疑問が膨らむばかり。家の宗教はキリスト教ではないし関連する書物も無い。困った,困ったこまどり姉妹。(勝手に使ってすんまへん,島木譲二さん)

でも科学の発達とはすごいもので,現代ならインターネットで検索するとほとんどのことがすぐに解決できるようになりました。出所省略でまとめます。

まずキリストさんが生まれたのは25日ではないという話にびっくり。邪馬台国論争のようにはっきりしていないようです。 日本のキリスト教徒は約1%,この数字100人に一人ですよね,ボクは多いと思ったけれど,ある人によるとこの数字で普及していないとのこと。 原因として江戸幕府のキリシタン迫害や明治初期政府の五榜の掲示が影響しているらしい。(細川ガラシャや天草四郎が有名ですよね)

横道に逸れました。元に戻して・・・ありました。イブに祝う意味,それは・・・・・・ [イブ]の意味として[日没後]という解釈があるらしく,そしてユダヤ暦では日付変更は日没ということ。 現代は24時に一日が終わりますが,ユダヤ暦の考えでは太陽が沈むと新しい日になる, 即ち今騒いでいる24日の夜は当時の25日の朝(暗いから夜?ややこしい)になり,まさしくクリスマス当日にお祝いをする感覚であったらしいです。 (ふーんそうやったんや)

ひとつ疑問→北欧を代表する北極に近い国では一日中太陽が昇らない,又南極では太陽が沈まない,こういう場合は日付けが変わらないんでしょうか?(天邪鬼ですみません)

ちなみに私達はクリスマスというと真冬の雪の中をトナカイが走ってというイメージですが,南半球の国々では暖かいので,海水浴をしながら祝ったり, グリーンクリスマスといって木に白いものをつけたらしい。

雪を知らない子供たちはその白いものがなんだか分からないので親は子供を北半球(主にヨーロッパ)に連れて行き現実の雪というものを見せてやる。 これが本当のクリスマスプレゼントだということを聞いたことがあります。

また話が飛びましたが,12月の25日頃というと一年で昼が一番短い日(ご存知冬至)なので,これから太陽を拝める時間が長くなることを祝う儀式が元になっているそうです。 長い年月と共に徐々に太陽に代わってキリストさんが考え出されてくる。わが日本の神道でも天照大神(アマテラスオオミカミ)崇拝がありますが,起源は同じ。

現代の考えでは,地球上の生き物にかかわらず全てものもが生存できるのも太陽の熱(原子)核融合反応(水素HがヘリウムHeに変換される)のエネルギーのおかげだということ。

当然,昔の人々は核融合どころか太陽のしくみは分かりませんが,命の源として太陽のありがたみをココロで感じていたのではないでしょうか。

現代に生きる我々も古代の人に負けないで,偶然とはいえこの世の中に生存していることをありがたく受けとめるようにすべきだと思っています。

【今田 美貴男】

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