コラム

社員の化学日記 −第18話 「無題」−

先日から風邪をひいてしまった。

まさか,新型のインフルエンザか?!と思い,あわてて医者の診察を受けたが,ただの風邪だった。ホッと胸をなぜ下ろしたが,それからが大変だった。

年齢を重ねるにつれて治りが悪くなった。若いころであれば市販薬で治してしまうか,医者にかかって風邪薬を1週間分もらっても全部飲みきったことはなかった。 しかし,今では前回もらってきた風邪薬は全部飲みきってしまったが,まだ完治せず咳き,鼻水などの症状が完全に治まらない。

くしゃみ,咳き,鼻水などの症状はいずれも外部から侵入したウィルスに対する体の防衛反応(免疫反応)であるが,咳きだけはどうもいただけない。 咳き込むたびに体力が奪われてしまう。特に就寝中など体が暖まってくると余計に出やすくなるようだ。咳き込んで目が覚め,なかなか寝付けなくなってしまう。 若い頃ならば玉子酒等で乗りきれたがこれが現実のようだ。

この間はたまらず仕事の合間を見つけて近くの薬局に飛び込み,薬剤師の方に栄養ドリンクを選んでもらって飲んでみた。 成分などはよくわからなかったが,こうなれば少しでも楽になりたい。「信じる者は救われる」である。飲んでしばらくすると体はかなり楽になってきた。 薬剤師の方の説明によると「牛黄」(「ゴオウ」と読むのだそうだ)という生薬成分が効いているとのこと。

この牛黄という生薬の正体は何かというと,なんと牛の胆石(聞くんじゃなかった)だそうで,牛1000頭に1頭の割合でしか発見されないため,非常に貴重らしい。 アメリカ,オーストラリアなど大規模で食肉加工する設備を有する国が主産国となっているが,やはりBSE問題で北米産のものは使用禁止になっているとのこと。

風邪をひくと,昔は軽く焼いたネギを手ぬぐいにくるんでのどに巻いたり,天日干ししたみかんの皮を煎じて飲んだりしたものである。 こういった民間療法でも有効なものはいくらでもあったようだ。 みかんの皮を乾燥させたものは漢方でも「陳皮」(「チンカワ」ではなく「チンピ」と読む。くれぐれも誤解のないように。)という名前がついた生薬で,咳止めなどの効果があるらしい。

この原稿を書いているときもまだ咳きが完全に治っていないようなので,日常的にマスクをつけている。 最近では新型インフルエンザ流行の影響で,通勤電車の中でもマスクをつけている人は珍しくなくなった。 でも,咳き込んだり,頻繁にくしゃみをしたり,鼻水をすすったりしているのにマスクをしていない人を見かけると,そばにあまり近寄りたくないものである。 自らへの感染防止もあるかもしれないが,周囲への感染予防も最も基本的なマナーとして心がけてほしいと考える今日この頃である。

【Y(ペンネーム)】

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