コラム

社員の化学日記 −第179話 「無題」−

毎朝の通勤時、最寄り駅まで歩くときは足元を見ながら歩くようにしている。

別に加齢のため足元がおぼつかなくなってきたからというわけではない(それもないこともないが)。

気にしているのは、鳥の糞の跡である。なぜ気にしているのか。

糞が落ちている場所はハトやカラスなどがよく電線などに止まって上から糞を落としている場所…。そんな場所は避けて歩くようにしている。

昨夏、実際に通勤途中で頭から糞の直撃を受けて一度自宅へUターン、シャワーを浴びて服を着替えて、結果、会社には遅刻してしまったからだ。

野生動物が身近に住んでいる田舎に住んでいるわけでもないのに困ったものだ。

秋ごろになると近くの分譲マンションの駐輪場に植えてある木々にスズメよりやや大きい多数の鳥が止まっているのを目にすることがある。 「キュル、キュル」という鳴き声からムクドリと思われるが、結構な数の群れと思われる。

通勤時に近くを通る時にはいなくなっているが、帰宅時にはまた戻ってきており、夜の10時、11時でも「キュル、キュル」と鳴いている。 マンションの敷地内なので確認できないが、おそらくその木の下は糞だらけではなかろうか。

ムクドリは東アジア(中国、モンゴル、ロシア東南部、朝鮮半島、日本)に分布し、国内ではほぼ一年中見られる。

元々農耕地や公園、山麓や村落付近の林に生息し、3月〜7月にかけて繁殖し、繁殖期が過ぎると大きな群れを形成し夜は一か所に集まってねぐらを形成する。 古くは田畑にて害虫を食べる益鳥であったが、農作物への被害が出始めたり、環境開発によりねぐらに適した場所が少なって都市部の街路樹にねぐらを形成する例が増えている。

群れの大きさは、数千羽、数万羽になることもあり、糞害や鳴声による騒音被害が問題となっており、日本国内では1994年からは狩猟鳥に指定されている。

そのほかの対策としては音(天敵につかまったときの鳴声で忌避行動を起こさせる)やLEDライトを照射することによって追い払うことができるらしいが、ほかの地域に移動するだけで、イタチごっこが続いているらしく、都市部への被害が及ばない地域へ誘導するか、駆除によって個体数を減らすしかないのか。

最近、メディアなので「SDGs」という言葉をよく見聞きする。

「持続的な開発目標」と訳すらしいが、元々「持続的な開発(sustainable development、SD)」という言葉は、1987年に「環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会、委員長:ブルントラント・ノールウェー首相(当時))」が発表した報告書「Our Common Future(われら共有の未来)」中に用いられたもので、「将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たすような開発」という意味がある。

種々の地球環境問題への対応を目的とするものであるが、健康・安全、平等、雇用促進、市場原理の追求といった社会的・経済的側面も含むことによってグローバルに考えていこうというものであった。

現在の「SDGs」では、2030年までに達成すべき17の目標が掲げられているらしい。 長くなるのですべて記述するのはやめておくが、そのうち環境問題に関係したものは4つだけ。 その他13の目標は(簡単に言えば)
「貧困・飢餓をなくそう」
「すべての人に健康と福祉を」
「質の高い教育を平等に」等々。

確かに上述の「Our Common Future」の中でも謳われていることではあるが、こうなってしまうと具体性が全くなく内容が薄っぺらく感じられてしまい、「で、何がしたいの??」と思ってしまう。 いくらメディアで取り上げられてもその真意が広まることはなく、企業PRに利用されておしまいとしか思えない。

参考:国立研究開発法人 農研機構HP
   (鳥獣害情報提供センター「鳥種別の生態と防除の概要」)
   Wikipedia
   国連広報センターHP

【道修町博士(ペンネーム)】

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