コラム

社員の化学日記 −第140話 「星から名前が付いた元素」−

オリオン座の一等星,ベテルギウスがもうすぐ爆発するかもしれない,と以前のコラムで書きました。

どうやらその日が近づいているかもしれないらしいです。

皆さんはこの冬にオリオン座をみられたでしょうか。 オリオン座の右肩に位置する一等星のベテルギウスですが,現在とても暗くなっています。 なんと通常の明るさの1/3まで暗くなっているとのこと。 実際に見てみると,ベテルギウスだけを探そうと思っても他の星よりも暗くて見つけにくいです。 冬の大三角形の一角を担う星ですが,星をあまり見ない人が探すと大三角形が見つけられないほどです。

ベテルギウスは明るさの変わる星で,明るさが変わるのは珍しいことではないのですが,現在のように暗さになるのは観測史上異例の暗さとのことで,これは超新星爆発の前触れの可能性があるとのこと。 天文学者の話では今回の暗くなる現象は超新星爆発につながるものではないとの見解の方が多いそうですが,やはり見てみたいものです。

皆さんは星から名づけられてた元素があることをご存知でしょうか? 原子力でよく知られている元素と言えば,U(ウラン)です。このウランの語源は天王星(ウラヌス)からつけらました。ウランは原子番号92ですが,その次の原子番号93のNp(ネプツリウム),これは海王星(ネプチューン)からつけられており,原子番号94のPu(プルトニウム)は冥王星(プルート)からつけられております。

我々が住む地球から名付けられた元素もあります。 原子番号52のTe(テルル)です。地球を意味するラテン語(tellus)から名前が付けられました。 地球から命名するにはマイナーな元素です。地球上にもそれほど多く存在しているわけではありません。 ラテン語を知っている宇宙人が地球を知ったら,テルルでできた星だと勘違いされるかもしれませんね。

他にも星の名前から名づけられた元素は他にも,
 Se(セレン)=月(ギリシャ語 σελήνη)
 Pd(パラジウム)=パラス(小惑星)
 Ce(セリウム)=セレス(準惑星)

どのような理由で星由来の命名をしたかはわかりませんが,きっと新しい元素の発見や宇宙の解明等,未知の世界への探求心をもった偉くて夢を持った人が名付けたんでしょうね。

【栗林】

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