ケブカヒメヨコバサミと遊ぶ! Depth 1〜5m


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スノーケリングを楽しもう!

磯の風景
磯で最も生き物が豊かなのは、水深1mから5m位までの浅場。
水中マスクとスノーケルで、少しだけ潜ってみると、水面から覗き込んだだけでは決して見られない、驚くほど多くの生き物たちの営みを目の当たりにできるだろう。

越前海岸は砂浜が少なく、ところどころに岩だらけの小さな海水浴場が点在しているだけだが、デートやナンパが目的ならいざ知らず、水が澄んでいて駐車場やトイレも整備された小さな海水浴場は、生き物ウオッチャーにとって願ってもないロケーション。
夏休み中は人が多くてちょっと窮屈かもしれないが、9月に入れば磯はガラガラ。
天気が良ければ10月くらいまでは、水着だけでも充分海に入れるが、ウエットスーツがあれば、尚良し!
と、いっても磯で遊ぶだけなら、本格的なものをオーダーする必要はない。
吊りの安物で充分。

秋の休日は、水のきれいな日本海の磯で、スノーケリングを楽しんでみませんか?


日本海は太平洋に比べると干満の差が小さく水面下の環境が安定しているので、ごく浅い所でも、海藻が豊かに茂って、たくさんの生き物たちのよりどころになっている。
澄んだ水を通してきらきら揺れる日差しは、一度潜ればきっと病みつきになるはず。

                  



みーばい亭流生き物ウオッチングの極意


管理人のおすすめは、砂地と岩場の境目
美しい波紋を眺めているだけでも心が洗われる

砂溜まりがおすすめ

スノーケルを咥えていても、潜っていられる時間はせいぜい1分程度。
やみくもに潜っても、なかなか生き物を見つけることはできないし、体力も消耗してしまう。
まず水面から海底をじっくりサーチして、お目当ての生き物を見つけたらそれを目がけて潜行する・・、と言っても、真上から突進したのでは、ナマコやヒトデや貝ならともかく、魚やカニは驚いて逃げてしまうだろう。
目標地点は、目当ての生き物から2m後方!
離れた場所に着底して、そっとにじり寄る。これが生き物たちを驚かせずに観察するコツ。

慣れてくると、生き物そのものをロック・オンしなくても、生き物の潜んでいそうな場所に勘が働くようになる・・はず。
管理人のおすすめは、岩場の間に砂が溜まった左の画像のようなポイント。
環境に変化がある分、生物相が豊かだし、砂の上にぺったりと着底すれば体が安定して写真を撮るのに好都合。

何よりも、白い砂に映るキラキラした波紋を眺めるのが、私は大好きなのだ!

水面から見ていると、岩と岩の間に溜まった砂にしか見えなかったが、潜って横からじっくり観察すると・・・、カレイがいた!
砂と岩が交わる環境を利用して、様々な生き物たちが暮らしている。

隠れているものを探すのも、生き物ウオッチングの楽しみの一つ。
岩の隙間にぎゅうぎゅう詰めのウニたち。
小石や貝殻を棘に付けて隠れているつもりなのだろうが、バレバレ。
こんなユーモラスな姿を見ると、思わず頬がゆるんでしまうが、あまり相好を崩すとマスクに海水が入ってくる。
潜水中は無表情に徹すること(笑)

  



明るい岩場を探す

水深が1mをこえると、波打ち際にあれだけ群れていたホンヤドカリは、全く見かけなくなる。
ケアシホンヤドカリはたまに歩いていることがあるが、スノーケリングエリアでおなじみのヤドカリと言えばケブカヒメヨコバサミ。

「え、どこにいるの?」と、いう声が聞こえてきそうだが、明るい磯で石灰藻が付いたピンク色の岩を探してほしい。
コシダカガンガラやクボガイなどの貝がたくさん付いていますね。
この貝を岩から剥がしていくと・・・、何個かに一個はヤドカリが入っているはず。
ケブカヒメヨコバサミは、ホンヤドカリのようにあまり動きまわらず、貝に交じってじっとしていることが多いヤドカリ。
場所によっては、岩の上の貝のほとんど全部がケブカヒメヨコバサミなんていうこともあって、ヤドカリ好きの管理人は思わず顔がほころんでしまう。

ケブカヒメヨコバサミは、その名の通り全身毛むくじゃらのヤドカリ。
どちらかといえば、地味でおとなしいヤドカリなのだが、紅白ストライプの派手な眼柄がチャームポイント。

夏から秋にかけてが繁殖期なので、スノーケリングシーズンに採集すると、卵を抱えているメスが多い。
水槽で放幼させることもできるが、プランクトン生活を送るゾエア幼生を育てるのは大変。
水中で殻口を上に向けて気長に持っていると、体をうにょ〜と出してくるので、その時に抱卵の有無は確認できる。
育てる覚悟がなければ、抱卵個体は逃がしてあげよう。


岩の隙間は多くの生き物たちのねぐらになっている


隙間を狙う!


磯には、夜行性の生き物が多い・・・、というより、魚以外の生き物のほとんどが夜行性といっていいだろう。
水中ライトを片手に、夜の磯に潜ってみると、ちょっとびっくりするような光景を見ることができるのだが、これは危険と隣り合わせだから、あまりおすすめはしない。

多くの生き物は、昼間は天敵に見つからないように、石の下や岩の隙間にじっと隠れている。
海中で岩の隙間を見つけたら、そっと覗きこんでみよう。
サザエ、ウニ、ヒトデ、そして大きなヤドカリたちが潜んでいることもある。
ただし、見つけても起こさないようにそっと観察するだけにした方が無難。
こういう場所には触ると水膨れになるシロガヤが必ず付いているし、ウニやタコや大型のカニなどが潜んでいて思わぬ怪我をすることがある。
とは言っても、手を出さずにいられないのが生き物好きの性(^^;
まあ、自己責任で楽しんでもらいたい。

ちなみにシーズン中、私の手首や甲は切り傷や水膨れだらけだが、生き物に対して卑怯な気がするのでグローブは着用しない。
少々の怪我は、生き物たちの暮らしに踏み込んで磯で遊ぶための対価だと思っている。



サザエを一個引っ張り出したら、中身はヤマトホンヤドカリだった
臆病な個体は一度引っ込むとなかなか出てこないので、
観察するなら一旦バケツに入れたほうが良い
ただし飼育は難しいので、念のため







ナガサキスズメダイの幼魚
秋の日本海では意外な魚に出会うことがある

秋の磯を彩る熱帯魚

8月に入ると、対馬海流に乗って南方からやってきた死滅回遊魚たちの姿を見かけるようになるが、その数が増えるのは何といっても秋。
ゴツゴツとした岩に褐藻類が茂る茶色の海底に、時として現れる原色の魚たちには、ハッとさせられる。
ソラスズメダイやキンチャクダイなどのお馴染みさんの他にも、キンギョハナダイ、オヤビッチャ、ミナミハコフグ、カゴカキダイ、ホンソメワケベラ、ミノカサゴなどサンゴ礁域の魚がたくさん流れ着く。
そのほとんどが、厳しい冬の日本海に呑み込まれて死んでいく運命。
厳しいようだがそれが自然の営みだ。

甲殻類の無効分散についての報告は聞かないが、探せば必ず見つかるはず。
岩の隙間を覗き込んで南方系のヤドカリを探すのも楽しいかもしれない。

ただし、当年生まれの漂流個体は、米粒ほどの大きさしかないだろうから、探すにはルーペと根性が必要。




     


スノーケリングのスキルを身につけよう

スノーケリングはスクーバと違って、3点セット(マスク・フィン・スノーケル)があれば誰でも手軽に楽しめますが、実際に海でスノーケリングをしている人を見ていると「危ないなぁ」と、感じることが少なからずあります。
スクーバの場合は、講習でそれなりの知識と技術を身に付けてから海に入るのですが、スノーケラーの多くが、何の訓練も受けずに自己流で潜っているように見受けられます。
スノーケリングは「海」という、千変万化に変化する自然を相手にしたスポーツです。
海に対する最低限の知識と潜水技術を身につけないで海に出るというのは、交通法規の知識や運転技術なしで公道を走るのに等しい行為ではないでしょうか?
実際、スノーケリング中の悲しい事故は毎年後を絶ちません。
磯遊びが悲劇にならないためにも、お近くのダイビングサービスなどに相談して、しっかりとスキルを身につけて安全にスノーケリングを楽しんでください。



ミヤコウミウシ
越前海岸はウミウシの宝庫
ちょっと潜れば宝石のようなウミウシが次々に見つかるだろう
ただし、飼育は難しく体が軟らかいので、
手は触れずにそっと観察するにとどめて欲しい
ウミウシは鰓が花のように開いてる姿が一番美しい
驚かせて鰓を引っ込めさせるようでは生き物ウオッチャー失格




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