問題だらけの「いじめ防止条例案」

すべての子どもの権利の保障こそ必要

 今議会に「いじめ防止法」にそってすすめられる「いじめ防止条例案」および「いじめ防止基本方針案」が提出されています。

 上原けんさくは本会議、文教委員会で問題点を指摘し、一から考え直すよう求めました。

条例のおおもとの法律は?

 いじめ防止法は、子どもに命令し、「道徳教育」を押しつけ、子どもに対する「懲戒」を強調し、保護者には「規範教育」を義務づけ、子どもの出席停止を乱発しかねないなど日本弁護士連合会から20項目に及ぶ問題点が指摘されている悪法です。

 上原けんさくは、教育委員会の「いじめ防止法」に対する基本認識を問いました。

 ところが教育委員会は質問にこたえず「法の理念に沿って」すすめる旨の答弁でした。

いじめの原因は?

 いじめがいけないとわかっていてもいじめる原因は何か?と上原けんさくが質問すると教育委員会からは「自分にとって優位な状況を作り出すために、起こっている」「他者の気持ちに立って考えることができないこと」などが原因と答弁。

 上原けんさくは文教委員会で「自分にとって優位な状況を作り出す」というならそれは、教育委員会が子どもたちに競争教育を押しつけているからと指摘し、国連や文部科学省も、競争教育や過度のストレスがいじめの原因と示していることを理解すべきだとただしました。

いじめ防止に「道徳教育」は限界

 条例案では、いじめ防止の責務として、学校や教職員に対して「児童等の豊かな情操と道徳心を培い」とし、保護者には「子の教育について第一義的責任を有する」「規範意識を養うための指導」を努めるよう求めています。

 上原けんさくは、2011年に滋賀県大津市で起きたいじめ自殺事件の当該中学校は、当時市内で唯一の国の道徳教育推進指定校でした。この事件後作られた、第3者調査委員会は「道徳教育の限界」を指摘し、「むしろ学校現場で教員が一丸となった様々な創造的な実践こそが必要」だと報告していることを紹介し、「道徳教育」「規範教育」を中心にすえるな!と質問しました。

 教育委員会は「集団づくりを通して、相互理解に努める機会を増やすなど、工夫を凝らした実践」にも触れましたが、教員や保護者に「道徳」「規範」教育の責務を負わせることを撤回しませんでした。

教員の多忙化解消は緊急課題

 上原けんさくは、教員が、月に80時間という残業の過労死ラインを超えて働き、わかって楽しい授業の準備をする時間すら確保できずに悩んでいる教員も少なくないと指摘。

 常勤講師の割合が中学校では4人から5人に1人と教員の身分も不安定。正規の教員確保や少人数学級など条件整備をするよう求めましたが、「長時間勤務」は課題というものの、真剣に取り組む具体的な方針は示されませんでした。

 いじめ自殺事件の起きた大津市の第三者調査委員会報告書では、教員の多忙化解消は「緊急課題」と指摘しており、真摯に受け止めるべきです。

いじめの原因には競争、過度のストレス

国連子どもの権利委員会による日本への勧告
教育制度が「高度に競争主義的」であるとし、「いじめ、精神的障害、不登校・登校拒否、中退および自殺」につながることを懸念する
「過度に競争主義的な環境による否定的な結果を避けることを目的として学校制度および学力にかんする仕組みを再検討すること」
文部科学省 学校における「いじめの防止」「早期発見」「いじめに対する措置」のポイント
いじめ加害の背景には、勉強や人間関係等のストレスが関わっていることを踏まえ、授業についていけない焦りや劣等感などが過度なストレスとならないよう、一人一人を大切にした分かりやすい授業づくりを進めていくこと

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