公立図書館の指定管理から直営に戻した自治体を訪ねて

財政削減ありきでなく本来の図書館の役割発揮を! 上原けんさく視察報告

 上原けんさくら日本共産党東大阪市会議員団のうち3名は、1月27日〜28日にかけて、福岡県小郡市、佐賀県佐賀市に視察に行きました。

 どちらも公立図書館をいったん指定管理にしたものの、市直営に戻した自治体です。どんな議論、経過で戻したのか?公立図書館の役割とあわせて学んで来ました。感想を紹介します。

「読書のまちづくり日本一への挑戦」(小郡市)にて本来の図書館とは何か学ぶ

 福岡県小郡市では2006年に公募の結果、財団法人小郡市公園ふれあい公社が市立図書館の指定管理者となり3年間運営してきました。2009年には市の直営にもどしました。

 対応していただいた図書館長からは、37ページにも及ぶ詳細な資料を用意していただき、説明を受けました。

資料の写真

いただいた資料

 図書館の運営に当たって指定管理者と直営でどうだったかを説明。指定管理者の場合は、

  1. 議会など公の場での発言権がなく、直接話ができない
  2. 2つのヘッドが存在すること
  3. 市の情報が直接入らない

などの問題点をあげ、直営だと

  1. 市の政策決定過程に加われる
  2. 議会などで「公」の発言ができ、直接市の各課と交渉が出来る
  3. 職員体制の改善が出来る

ことなどをあげていました。

小郡市で配布しているかばん(袋)の写真

小郡市では10か月児健康診査時に2冊の絵本をプレゼントし、親子で本の楽しむ援助を行っています。小学生も写真のような袋を持って本をたくさん借りに来ていました。

 小郡市では、全小中学校に図書司書が配置されており、市立図書館が学校と連携して読書推進をはかっています。絵本に出てくる食材を学校給食にして、食育と読書がすすむようにしたり、読み聞かせの実演と指導をすすめ小中学生の読書リーダーを育成、保護者が家庭で子どもに本を読み聞かせするなど「家読」をすすめて、親子が本を通してふれあい絆を深める援助など多彩に取り組んでいます。また寝たきりの高齢者に本を届けたり、入院患者さんも本が読めるようにと病院に移動図書館が出かけていったり、本を通したまちづくりが、書ききれないぐらい多彩にありました。

 館長は、公立図書館の運営が指定管理になると、こうした取り組みを進めていく上で、直接意見交換ができない指定管理者では不可能であるとハッキリおっしゃりました。また実践をふまえて、市民ひとりひとりに図書を必要とする方には憲法と図書館法に基づいて無償で提供するのが使命だと館長さんの言葉に感銘を受けました。

図書館に指定管理は止めよ

 東大阪市は2016年度から、図書館に指定管理者制度を導入するつもりですが、図書館は「教育、文化、情報の活力であり、男女の心の中に平和と精神的な幸福を育成するための必須機関(ユネスコ図書館宣言)」であり、資料を収集、整理、保存、提供する図書館法に則った運営をしなければなりません。この立場に立つならば指定管理者導入は止めるべきだと思いました。

指定管理者制度とは

 自治体が公の施設の管理運営を、株式会社やNPOなどに代行させる制度。公の施設の管理、運営に民間等のノウハウを導入することで、効率化を目指すのが目的とされている。

 しかし、特に図書館や博物館など社会教育施設をはじめとする公の施設の本来目的と株式会社などの営利目的が異なるために、「公共図書館とか、まして学校図書館なんかは、指定管理になじまない」(片山総務大臣2011年1月5日 閣議後記者会見)など問題点が指摘されています。

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