中小企業より税負担軽い大企業

トヨタは5年間法人税ゼロだった

 豊田社長の記者会見で明らかになったトヨタ自動車が法人税を5年間払っていなかったことが、話題を呼んでいます。

 トヨタ自動車が「法人税ゼロ」となったきっかけは、08年のリーマン・ショックによる業績の落ち込みでした。企業の利益にかかる法人税は赤字企業には課せられません。

 しかし、その後業績は回復し、この5年間に連結で2.1兆円、単体でも0.9兆円の税引き前利益をあげています。

 それにもかかわらず、法人税ゼロとなったのは、生産の海外移転にともなう収益構造の変化によって、大企業優遇税制の恩恵をふんだんに使える体質をつくり出したからです。

優遇税制で中小企業より税負担が軽い大企業…

 日本の法人税実効税率35%は高いから国際競争力をつけるため引き下げるとい安倍首相は言っています。 しかし、現実はどうか?大企業がこの6年間で実際に負担した法人税(国と地方)は本田技研18%、日産10.9%、キヤノン27.8%、三菱商事6.2%、小松製作所13.7%です。(下の一覧表参照)海外子会社からの配当非課税や研究開発減税などでばく大な優遇措置を受けて実際には大企業ほど負担が軽いのが実際です。

資本金ごとの法人税負担率のグラフ(本文参照) 資本金100万円以下の企業では法人税の負担割合は22.6%。1億円超から5億円までの企業では27.0%です。ここをピークにして、資本金が大きくなると、負担割合がかえって下がります。資本金100億円を超える大企業では、19.6%と最も低くなっています。

 98年・99年度の法人税率引き下げの直前の5年間と引き下げ後の5年間の平均値を比較したデータでは、企業の経常利益が2倍以上に増え、株主への配当や社内留保も3倍前後に増加する一方で、従業員の給与は逆に減っています。

税負担は負担能力に応じて

 法人税引き下げを叫ぶ一方で、消費税を来年は10%に引き上げをたくらみ、医療や介護の負担は増やす…天下のトヨタが法人税ゼロという異常な税制度こそ真っ先に見直すべきではないでしょうか?税金は負担能力に応じての原則に戻って制度を改革すべきです。

大企業の実際の税負担率(2008年〜2013年度)
企業名 税負担率
((2)/(1)100)
(1)税引き前
利益
(2)法人税
住民税、事業税
三菱商事 6.2% 1兆8148億円 1126億円
キヤノン 27.8% 1兆3971億円 3888億円
本田技研工業 18.0% 9064億円 1633億円
日産自動車 10.9% 7829億円 855億円
東燃ゼネラル石油 14.1% 4962億円 700億円
小松製作所 13.7% 4108億円 563億円
HOYA 8.3% 3332億円 278億円
三菱地所 24.5% 3148億円 771億円
いすゞ自動車 21.3% 2663億円 566億円
京セラ 13.9% 3271億円 456億円
各企業の2008年〜13年度の6年間の決算(単体)データにより計算

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